02.邂逅
猫もどき?がこちらに獲物を定めたようにゆっくりとした足取りで近づいてくる。
逃げなきゃいけない状況なのに、私の目は黒猫に釘付け。
そう、何を隠そう私は猫好きなのだ!決して猫になつかれることのない猫好き。
ふっ、所詮は片想いなのさ!
なんて現実逃避していると、もうすぐ手を伸ばせば触れる位置に。
ここで私は振り切れた。どうせ黒猫に襲われて終わるくらいなら、
この猫をじっくり目に焼き付けてから死のうと。
そう覚悟を決め、猫を観察する。
するとどうだろう。この漆黒の中にもキラキラと星が散りばめられたような美しい瞳。
ながいお髭にかわいいもふもふの耳!
「まるで星が散りばめられたような美しい瞳!なんて尊い!
それに見て、このピンとしたお髭!なんてかわいい!!
それから形のいい耳に、もっふもふの耳!!なんて、なんてかわいいんだーーー!
胸の毛ももふっとしてるけど、毛づやがいいし。それから、それから足の爪まで漆黒。
ピカピカしててすごく鋭そうで、なんてカッコいい爪!できることなら裏の肉球まで見てみたい!!」
ここまで一息である。
するとどうだろう。
なぜか黒猫が喉をごろごろ気持ちよく鳴らしちょっとキリっとした顔をしている。
先程まで殺気もとい獲物を仕留めるオーラがとんでもなかったのに霧散している。
よくわからないけど、私にとっていい方向に転じたっぽいので、
ここまで来たらそのもふもふ堪能するまで!と思い、そろりと黒猫に手を伸ばす。
すると、黒猫の方からそっと近寄ってきてもふもふの毛並みが手に触れた!
手に触れたのである!大事なことだから2回言う。
今まで野良猫には私を視界に入れた途端逃げられ、猫カフェでも全く猫に近寄られることのない私がだ!!
まさかこんな巨大な猫ちゃんが自らすり寄って来てくれるなんて!!
思わず片手で口を押さえ感動に浸る。
ゆっくり毛並みを撫でると、サラサラとしてかつ太陽の光で毛づやが反射して。
もう、もう、もう何も言えない!ひたすら尊い。
「ニャっ!」
「猫ちゃん、どうしたの? うん?」
猫が地面に顔を近づけている。見るとそこには先程落としたチューイングキャンディ(ハイ○ュー)が。
「ダメだよ、食べちゃ。人間の食べ物は動物にとって毒になるかもしれないから。
食べちゃ、メっだよ。」
そう言うも猫に伝わるはずもなく、、、、。
パクっと食べてしまった。
「あっダメ、ペッしなさい、ペッ!!」
そう言っている間に、もう飲み込んでしまったのようだ。
もう目がこれでもかとキラキラ輝いてチュ○ルをあげた猫のようになっている。口の周りをペロペロと舐めご機嫌そうに鳴いた。
※よい子は絶対に人間のお菓子を猫にあげてはいけないよ~。
とそこへ、斜め前方にある木がガサッと揺れた!
途端に黒猫は唸りを上げ始めた。
揺れた木を目を凝らして見るとなんだかガラス玉が太陽の光に反射し光っている。
「ん?」
もう少しよく見ようと前へ身を乗り出したその時、突木から白い糸が私に向かって伸びてきた。慌てて瞬時に身を反らし、なんとか奇跡的に交わした。
また木が大きく揺れ、葉から緑いろの脚が覗く。
「え゛っっ!」
私が驚いている間に黒猫が葉から覗く緑足に向かって飛びかかった。
飛びかかられた相手は、木からジャンプし別の木へ飛び移る。
飛び移る際にバッチリ正体がわかってしまった、、、。
それは私が苦手な虫、そうカマキリだった。
さっき目を凝らして見えたガラス玉はカマキリの目玉だった、、。体長は2m近くあり、色は緑一色。
脚の鎌がすごく鋭そう。
「どうしよう、、、。もう私の人生終わった。」
黒猫の次は巨大すぎるカマキリに命を狙われそうになってるなんて、、、、。
私が絶望に染まっている間も猫とカマキリは戦い。
なぜかカマキリが吐き出す糸も華麗に避け、猫の鋭い爪で脚や胴体に攻撃を入れていく。
そして猫が一際大きくジャンプし、雷鳴のようなバリバリという音をさせながらカマキリに雷を落とした。
瞬間、辺り一体にドーンという爆音が広がり思わず耳を塞ぐ。
鳥たちが一声にバタバタ羽ばたいていく。
恐る恐る目を開けると、カマキリが地上にひっくり返りプスプスと煙が出ている。
どうやら、終わったらしい。




