風景
文化祭はなくなったが、今年最後の思い出にミニ展示をしよう!
とで決まった、特に面白くもない展示物、クラスのみんなで黙々と作業をする。
誰も話さない、はしゃいでもいない教室。
ふと人が冗談を言った
くす
くすくす
あははははは
一気に笑いが伝播する。
手首が光った。
人。
「みんな手首を見せろ!」
さっとみんな手首を返す。
長野、首。
屋島、右足の付け根。
国枝、右肩。
紫苑、左膝。
竹田、腹。
名村、両足脹脛。
教室がざわめく。
「両足」
俺は全員に尋ねた
「切られるのと死ぬのどっちがいい?」
無機質な声で、感情を消しているのか消えているのかが分からない。
長野と竹田以外、全員切られる方を選んだ。
淡々と作業をしていく右足の付け根、どうるるるるるん。
右肩、どうるるるるるん。
医療チームが駆け寄ってくる。
左膝、ぎゅいいいいいん。
両足脹脛、どうるるるるるん。
どうるるるるるん。
医療チームはせっせとその場にいたやつに、どこを怪我しているのか聞いて、見えない傷の処置をしていく。
名村のカウントは残りだった。
秒後長野の首と、竹田の腹が内側から爆発した。
ぼこぼこ、ぶちい、ばあん、ぶしゃあ。
竹田の腹の中身が散乱している。
長野の近くにいたクラスメートは全員バケツいっぱいの血を被ったようになっている。
その中で隣にいた畠は、右目を抑えている、抑えた左手の隙間から血がぼたぼたと落ち始める。
そのまま畠はよろよろと歩き出す、医療チームの方に向かって、歩歩血を大量に垂れ流しながら。
「きゃあああああ」
「うわあああああ」
教室は阿鼻叫喚と化した。
俺はもう誰の名前も呼ばないことに決めた。
俺の手首が明滅する。
。
左足小指。
今度も俺はなんの躊躇もせず、医療チームに借りたメスで、小指を一思いに切った。
誰かが展示物の血を拭き取りながら
「これってもう回つくれるよね?」
と言った。
誰かが「去年の文化祭よりましだよ」
と呟く。
誰も長野と竹田の名前を口にしなかった。
血や臓物は基本的に清掃部隊が片付けてくれることになっている。
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