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ロクでなしの魔女  作者: 木介


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決闘

【登場人物】

・ハウス

魔女に会うため屋敷を訪れる。

レアルタに決闘を挑まれた前日にリリスから彼の過去について話を聞く。


・レアルタ

かつて地主であるフィリア家に仕え、初代当主である恩人を殺害し、見えないナイフを得る。

暗殺が得意な彼がハウスへ不利な決闘を申し込んだ理由とは。

「ここまでが彼の話よ」


「ここまでってまだ途中なんじゃ…」


「もう話し疲れたわ」


リリスからはもう話さないという意思を感じるがハウスには聞いておかないと納得できない事があった。


「何でその話を俺にしたんだ?」


「さぁ?何でかしら?話したかったから?」


自分の事なのにまるで他人事のように話すリリスをハウスはそれ以上追及しなかった。


今回リリスが意図的に話さなかった屋敷に来てからの出来事、そしてシーラの話でも出てきたフィリア家、この二つが今の状況に深く関わっている事は明らかであるが、その話をリリスの口から聞くことが出来るのは遠い未来の話である。


ーーー


翌日、ハウスは朝早くからボンドの元へと向かった。


「決闘って何するんだ!?」


結局レアルタに挑まれてからハウスは何も聞かされず当日を迎えている。

ボンドが言っていた「俺が取り持つ」という言葉を頼りに彼を尋ねたのだ。


「朝から騒がしいな、まぁ良いけどよ、決闘っていうのは一対一の戦闘で…」


「いや、ちげぇよ!そうじゃなくて何で当たり前のようにやる流れになってるんだよ!」


「レアルタがやるって言ったからな、それともあれか?お前は嫌なのか?」


「いやって訳ではないけど…」


「はっきりしねぇな、けどなんだよ?」


「お前もあの場にいたから分かるだろ、正々堂々と挑んでくる意味が分からない」

「こっちの手の内を知っても対策は出来るだろ?本気で殺しにくるのなら得意な方法で挑むのが普通だろ、わざわざ暗殺とは正反対なやり方を選ぶか?」


「…裏があると?」


「俺はそう思ってるって事だ」


「お前がどう思おうが知ったこっちゃないが日時が決まってるんだ、裏があると思うならそれこそ対策を練れば良いんじゃないか?」


「なんか冷たい言い方だな…お前はどう思うんだよ」


「…アイツも男だったってだけだと思うぜ」


「意味わかんねぇな」


「それはガキだからだよ」


「なんだよそれ…あんなに頭が良くて色々な経験を重ねている大人が、最後に理に適って無い事するんだ、意味わかんねぇだろ…」


「言っただろ、男は皆ガキなんだよ」


「…」


ハウスはボンド以上の答えを持ち合わせていない、何より理解は出来ないが、納得出来る答えであったから。


ーーー


正午、屋敷の正面入口ではレアルタが剣を一本携えて待っている。その光景を使用人達とリリスまでも見守っていた。

そこへ現れたのはいつも通りの装備で固めたハウスである。この時点でレアルタの敗けは確定であった。


「…では始めましょうか」


そう言ってゆっくりと距離をとりハウスと相対するように構えるレアルタを見て、ボンドの身体も二人の間に立ち勝負の行く末を見届けるように構える。すると突然「その剣一本で戦る気か?」とハウスはレアルタへ質問をぶつける。


「えぇ、決闘ですから」


「そうか」とハウスは返事をするとジャケットを脱ぎ、銃や短剣を地面に置くと最後は裸足になって「俺にもアイツと同じ武器をくれ」といつもの場所に鎮座しているボンド首へ言った。


ボンドは少し微笑み、シャミヘ指示を出す。

しばらくするとシャミがレアルタと同じ剣と黒皮の靴を持ってきた。


「みっともないからってリリス様から」


この言葉を聞き、ハウスがリリスの事を見つめたが彼女はいつになく真剣な面持ちであった。

受け取った靴を履き、剣が滑らないように黒い手袋をする。


「それは…」


「あぁ、あんたがくれた手袋だ、返そうと思ってたんだが、まさかこれを見越して渡してきたんじゃないだろうな?」


この返答にレアルタは「いえ、そうゆう物では無いですが…」と少し嬉しそうに笑う。


「結果がどうなろうと後悔はしませんね」


そう言うボンドは先程とは打って変わって殺気を纏い剣を左手で構える。


「あぁ!どうなろうと後悔はしない!」


ハウスも慣れない剣を両手でしっかりと構えてボンドの合図を待った。


合図が出ると共にお互いの剣を交えた瞬間に理解した、察しの良い人達は結果を分かっていたのだと。

レアルタが暗殺ではなく決闘を選んだ理由も

リリスが急にレアルタの話を始めたのも

暗殺を試みた時に受けた傷、あれによって彼は右手が使えないのだ。それでさえよわい六十を過ぎた老人が若者であるハウスに力で勝てる筈もなく、剣を交える度に押し退けられよろめく。


だが何度弾かれようと諦めずに向かってくる。

彼は勝てないと分かっていても最後は正々堂々と挑みケリをつけたかったのだ。

それはハウスとの決着では無い、今まで影から支えていたこれまでの人生にだ。


「おあぁーー!!」


人生で一度も上げた事が無いであろう大声を出して無理やり両手を使い、隙だらけの剣を大きく振りかぶった。

ハウスはその剣を避ける事など容易かったが受け止めその重みを肌で感じる。


「はぁーーー!!」


ハウスは受け止めた剣を押し退け隙だらけのレアルタの首を落とす。

こうして永く感じた一瞬の決闘は幕を閉じるのだった。

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