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平和国家ユートリア ―人類の終着点―  作者: Kk


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第五十九話 対面する

◆ノクシア王


次に、ノクシア王国が到着した。


ここが。


ユートリア。


無数のルーク。


感情の薄い人々。


穏やかすぎる空気。


不気味だった。


ルークに裏切られてから。


生きた心地がしない。


あの日からずっと。


今回もきっと。


ルークの手のひらの上だ。


それでも。


進むしかない。


国家のために。


ノクシア王は静かに歩く。


そして。


会議室へ入った。


席には。


ルーク。


そして。


バルゼインの外交官。


さらに。


その後ろ。


“バルゼインの放電現象”


ヴィクトール。


ノクシア王の背筋が冷える。


セレニア連合国を壊した怪物。


天才エヴァルトすら適わなかった存在。


あれが、ノクシアを攻撃してくれば。


国は一瞬で終わる。


「ノクシア王」


「どうぞこちらへ」


ルークが穏やかに言う。


ノクシア王は無言で席へ座った。






◆グレン


続いて、リグナ王国が到着した。


不気味だ。


それしか感想が出てこない。


「ここが」


「レイナのいるユートリアか」


グレンが呟く。


セラが答える。


「そうね」


静かな声。


グレンは横を見る。


「しかし」


「お前が外交官とはな」


セラは出世していた。


もはや。


国家の未来を左右する外交を任されるほどに。


セラが小さく笑う。


「あなたは子守りだから」


「よろしく」


後ろを見る。


兵士。


……いや。


違う。


兵器。


α。


β。


γ。


そして。


ζ。


子供たちは周囲を見てはしゃいでいた。


「私、他の国に来たの初めて!!」


「僕も!!」


「なんか皆元気ねぇな!!」


グレンは目を伏せる。


名前で呼べない。


兵器番号。


子供だぞ。


セラが小さく言う。


「昔を思い出してる?」


グレンが睨む。


セラは少しだけ目を逸らした。


「……ごめん」


「今のは私が悪かった」


グレンは鼻で笑う。


「お前が謝るとはな」


そのとき。


後ろから声が飛ぶ。


「お姉ちゃんがいるんだよね!!」


ζ。


……シオン。


無邪気だった。


グレンは苦しくなる。


そして。


会議室へ入った。


そこには。


「お姉ちゃん!!」


シオンが走る。


一直線に。


レイナの元へ。


「シオン!?」


レイナが目を見開く。


グレンとセラも固まる。


「レイナ……」


「グレン……セラ……」


レイナもこちらを見る。


気まずそうだった。


シオンが真っ直ぐ聞く。


「お姉ちゃん」


「戻ってこないの?」


空気が止まる。


核心。


レイナは少し黙った。


そして。


静かに答える。


「……ごめんね」


「私は、もう戻らないの」


シオンの顔が曇る。


だが。


それ以上に。


レイナの顔が苦しそうだった。


そのとき。


不意に声が響く。


「なーに?」


「邪魔なんだけど、あなたたち」


全員が振り向く。


そして。


固まった。


「……は?」


そこには。


裸の太った女が立っていた。


手にはスナック菓子。


肌は荒れ。


吹き出物だらけ。


異様な存在感だった。


……というか、裸。


グレンが叫ぶ。


「おい!!」


「なんで裸なんだ!!」


次の瞬間。


――ボコッ。


衝撃。


グレンの身体が吹き飛ぶ。


壁へ叩きつけられた。


「がっ……!?」


セラだった。


セラが。


本気で殴った。


セラは深々と頭を下げる。


「大変失礼いたしました」


「アン様」


グレンは混乱する。


アン?


すると。


女が笑った。


「いいのよ」


「私の美貌に驚いただけでしょ?」


本能的な嫌悪感が走る。


だが。


次の言葉で。


空気が凍った。


「もし」


「私の気に障る言葉だったら」


少し間を置く。


「千万の兵が」


「国を潰すわよ」


背筋が凍る。


トリプレッツの部屋。


最悪の三つ子。


その一人。


ルークが静かに言う。


「申し訳ありません、アン様」


「子供もおりますので」


「どうかお召し物を」


すると。


別のルークが服を持ってきた。


「最高級の絹を使用しております」


準備済み。


最初から。


アンは少し黙る。


沈黙。


そして。


「準備がいいわねぇ」


「いただくわぁ」


誰もが、無意識に息を吐いた。


誰も逆らえなかった。


アンは服を着る。


サイズも完璧。


完全に用意されていた。


グレンはルークを見る。


レイナを変えた男。


これが。


ルークか。

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