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新たな動き

  翌日、町では祭りのごとく騒いでいた。そう、先ほど、モンタギュー家とキャピュッレット家が和解を発表したのだ。勿論、反対する者はいたが、だいたいの人間は争いにうんざりしており、結局、反対した者も認めたのだった。ある人物を除いてーー



「どう言うことだっ!あの両家が和解だと!?」


「そうです、大公様。大変、喜ばしいことではありませんか」


「馬鹿を言うなっ!!もういい…でて行け…」


「はっ、はい」


 …何故だ。何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だっ

 突然、何故だ!?何百年も争ってきたのに、そう易々(やすやす)と和解するはずがない。目的は何だ?まさか、プライドさえ捨てれば、トップになれることに気づいたのか??

 俺は、絶対に認めない。いや、認めたくない。



 ****


 そして、午後にはロミオとジュリエットの結婚が発表された。町全体が祝福モードになったが、ただ、若者たちは二人の結婚にひそかに涙したとかしなかったとか。

そして、ソフィアは一人、庭にいた。


 今、私は、とても感動しているの。あ、それは、皆さんも解ってるよね。でも、まさか本当に、二人の結婚が祝福されるなんて!!

 でも、油断は禁物。いつ、歪みを戻そうと世界が動き出すか分からないし、もし、大公を降ろせなかったらどうなるか分からないわ。

 でも、とりあえず、大公だけは降ろさなければならないの!!あの男ったら、真面目に(まつり)ごとなんかろくにせずに、賭博に女への貢物に高価な宝飾品を買ったりと、贅沢三昧な日々を過ごしていて、そのくせ、威張る。本当に、マキューシオ達が言ってた通りね。



 すると、そこにマキューシオが現れた。


「ソフィア、今日も君に会えてうれしいよ!!」


「そ、そうですか。では、さようならっ」


「あ、逃げないでよ!!てか、敬語を言ったよね。じゃあ…」


 そう言うと、逃げるソフィアを追いかけだした。


 ハアハアハア、疲れた…ここまで来れば大丈夫よね。それにしても、全速力で走るって生まれて初めてだなあ。前世も、病弱だったからそもそも、走らせてくれなかったし、現世もそんな機会は無かったしね~

そういえば、前世の親も現世の親も今頃、何してるんだろ~


「みいつけた!!」


「ぎゃー」


な、何で!?ここって、絶好の隠れ場所なのに…


「驚いた?そうそう、これ…」


そう言うと、どこからかダリアの花を取り出し、すっと、ソフィアの髪に挿した。


「何です…いや、何?」


「何って、ダリアだよ。綺麗なピンクダイヤモンドでしょ」


「で、これが何でここにあるの?庭のものじゃ…」


「あ、バレたか。そうだよ、追いかけてる途中に見つけて、ソフィアに似合いそうだと思って、勝手に一本貰ったんだ」


「やっぱり。折角、丹精込めて育て…!?」


突然、マキューシオがソフィアの口を押えてきたのだ。ソフィアは驚き慌てふためいた。


「しっ!しずかに!!」



そう言うと、手をソフィアの口から外した。すると何処からか、ヒソヒソ声が聞こえてきた。


『…これで刺せ。そして、ロミオの仕業と見せかけろ』


『ジュリエットをこれで刺して、ロミオに仕業に見せかければいいんですね』


『ああ。分かったなら行け!決行はロミオが来るであろう夜だ。奴が目を離したすきにやれ』


そして、二人はどこかに消えて行った。



えっ…ウソ、ウソよね?こんなにも早く、事態は動き出すなんて…

…世界は、歪みを元のように戻そうと動こうとするのね。…このピンクダイヤのダリアの花言葉のように、世界は不安定で先は判らない。



ちなみに、ピンクダイヤのダリアの花言葉は、移り気・不安定です。

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