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インターバル2


電話が鳴っている。それをとったものかどうかしばらく悩んだ末、留守番電話になっているから大丈夫だとわたしは判断した。居候のわたしが出た方が、やっかいなことになる場合もあるからだ。


「はい。木佐貫です。ただいま留守にしております―」

『……あら、留守なの? もう。携帯もオフになってるみたいだから家の方にかけたのに』


録音されている応答メッセージに混じって、若そうな女性の声が聞こえた。


『よしくん? あすかです。至急とまでは言わないけど、お話があります。このメッセージを聞き次第電話ください。今日中なら時間はいつでも平気です。……もしもこれ聞いたのが和佳さんだったら、悪いけどよしくんに伝言お願い。……それじゃ』


電子音のあとに吹き込まれたメッセージから電話してきた相手を推測しようとしたが、とりあえずわたしが知らない人で、ひろ兄と和佳ちゃんの両方を知っているだということしかわからなかった。

 


電話から一時間ほど後、和佳ちゃんが帰宅した。そして留守電の録音を聞くと

「また電源入れ忘れてるのかしらお兄ちゃん」

と呆れた顔をして、それからわたしに

「これかかってきた時、きえは家に居た?」

と訊いてきた。


「いた。けど、とっちゃダメかと思って……」

「そっか。……気になる? この相手が誰なのか」


どうやら電話をとったか否かではなく、内容に関心を持ったかが訊きたかったらしい。


「訊いてもいいんなら」

「奈良崎あすかさん。3年前に転勤して今は遠距離恋愛中の、お兄ちゃんの彼女よ」


薄々そんな気はしていた。というか、それ以外にはないだろうと思う。そんなわたしの考えを読むかのように、和佳ちゃんは

「あれでも一応、れっきとした三十過ぎの成人男子だからね」

と呟いた。



「……和佳ちゃんは、そういう人いるの?」


ついでとばかりに好奇心で訊いてみると「ノーコメント」と返されてしまった。でも、多分いると思う。

和佳ちゃんは、素敵な大人の女性だし。






 

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