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第02節 ワサビ家邸宅にて ~にゃんにゃんにゃん~

 道中明らかになったのは、ヴァルミエ家とワサビ家では、派閥が違う対立関係にも関わらず、魚の取引があったらしいことだ。

 そしてマルボロ・ワサビは子爵家の嫡男という話だった。

 姉のミルクが放っていた淡く青白い光、あれは煮干しの粉末だったらしい。

 ますます姉の猫疑惑が深まるのだった。


 リュカは内部被ばくしていないことが確定して、心底安堵した。


 馬車の家紋ではわからなかったが、ワサビ子爵邸の正式な家紋は、魚が青白く輝いている。

 ワサビ家の器は、姉のどんぶりのような外見で、淡く青白い光を放っている。


 え、ちょっと待って。

 魚が被ばくしていたら、結局俺も被ばくしている可能性が!

 イネも期待したのに、これも淡く青白い光だったじゃないか……もう勘弁してくれよ!


リュカ「レアナ、もしかするとにゃ?イネも魚も被ばくしてるかもしれないにゃ!」

レアナ「何を唐突に言ってるにゃ?リュカ……このつやつやの光、これこそ至上の魚にゃ!」


 レアナ、お前もかよ!

 異世界転生者なのに、どうして寿司の話になったら通じなくなるんだよ!


 そこにマルボロがやってきて説明する。


マルボロ「この青白い光、これこそワサビ領の魚にゃ!うつわにイネと魚とミーソ汁、鰹節を入れると至高の料理になるにゃ!」


 おい、レアナに続き、マルボロまで「にゃ」とか言い始めたぞ!

 この世界マジでどうなってるんだ――ってか、俺も「にゃ」って言ってた!


レアナ「それ、『ねこまんま』だにゃ!絶対美味しい奴だにゃ!」

マルボロ「おお、レアナ様は『ねこまんま』をご存知でしたかにゃ!そして、わかってくださるかにゃ!」


 こいつらダメだ、早くなんとかしないと……。


マルボロ「レアナ様、早速ですがにゃ?炊いたイネと塩を混ぜた『塩むすび』を料理長に教えてほしいにゃ!」

リュカ「あの、マルボロさん?なんで皆語尾が『にゃ』なんですかにゃ?」

マルボロ「ああ、これはワサビ家の屋敷内ルールだにゃ、命律端末で決めてるにゃ」

リュカ「そんにゃ、命律端末ってそんな使い方もできるのかにゃ?」


 マルボロ、お前は好青年だと思ってたのに、煙草にワサビに猫属性とか、属性てんこ盛りすぎるだろう⁉


マルボロ「ところで、塩むすびとミーソ汁は合うと思うかにゃ?」

レアナ「当然だにゃ!だけど塩分摂り過ぎには、注意にゃ!」

マルボロ「塩分の摂りすぎは、確かに健康によくないにゃ」

レアナ「ならば、塩むすびにしなきゃいいにゃ!」


 あかん、レアナも完全に猫化しているぞ……自分の提案した塩むすびの存在意義を全否定とか……。


リュカ「ところで、この語尾に『にゃ』がつく呪い、どうすれば解けるんですかにゃ?」

マルボロ「気にしないでいいにゃ、呪いなんかじゃないにゃ、加護にゃ!屋敷から出れば元に戻るにゃ」

リュカ「っていうか、無性に『ねこまんま』食べたくなってきたにゃ」

レアナ「お寿司も食べたいけど、なんか今は猛烈に『ねこまんま』の気持ちにゃ」

マルボロ「わかってくれるかにゃ!『ねこまんま』ならたっぷりとあるにゃ!」

リュカ「なんでかにゃ?もう『ねこまんま』のことしか考えられないにゃ!」


 そうして、鍋いっぱいの『ねこまんま』を食べた三人であった。

 庭では、猫たちも『ねこまんま』を巡って争っていた。

 にゃーにゃー。


 食事の後、レアナはリュカの肩に手を伸ばし、そわそわと毛を繕おうとして、レアナは言った。


レアナ「ちょっと待つにゃ、今……リュカの毛がにゃ?ちょっとにゃ?」

リュカ「もしかして、レアナは毛を繕ってるのかにゃ?」

レアナ「何か落ち着かなくてにゃ――もう駄目にゃ!我慢できないにゃ!」


 結局、一晩ずっと三人で毛を繕いあって過ごしたのにゃ。

 なんだか皆の髪がつやつやになったのにゃ。


 まるで、猫カフェのアイドルのようだにゃ。


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