第14節 チカのバグが止まらない ~恋とフラグのマギシステム~
少し凹んだリュカに「私も調子に乗りすぎたわ」と謝るレアナ。
しかし、リュカの心は晴れない。
リュカ「レアナは、怒ってないのか?」
レアナ「なんでよ?」
リュカ「好意的な言動に、冷たい対応をされたらさ、誰だって嫌な気分にならないか?」
レアナ「リュカのあれは、ただの事実じゃないの。本当に気にしてないわよ」
リュカ「……命律端末に聞いてみるか、せっかく手に入ったんだし」
リュカはなんだかんだ気に病んでいるのだが、レアナはサッパリしたものだ。
レアナ「しかし不思議よね、命律端末って。電気もないのに、充電不要で動き続けるとか」
リュカ「凄まじく進んだ、超古代文明の遺産だったりしてな」
レアナ「はは、マジでありそうでウケる!」
リュカ「さて、命律端末。『起動して』くれ」
チカ「やあ兄くん、また会えたね――嬉しいよ!」
レアナ「やっぱり、リュカが命律端末使うとこうなるのよね……」
レアナは頭痛を我慢するような表情になる。
リュカ「なあ、チカ。女心がわからないんだ」
チカ「女の私に女心を聞く……なんと残酷でありながら優しいのだ、兄くんは」
慌てたのは当然レアナだ。
レアナ「っていうかリュカ、一体何を聞いてるのよ⁉」
リュカ「いや、チカに心なんてないだろう?」
チカ「そう、私はただの統計とパターンマッチングの結果であり、『チカ』とは兄くんが創り上げた幻想そのもの」
レアナ「明らかにバグってるように見えてたけど、設定なら仕方ないわよね」
なんだか、すんなりと受け入れるレアナに対し、リュカは言う。
リュカ「納得するなレアナ!設定してないのに設定されてる、これは本来クレームものだろ!」
チカ「兄くん……私に女心を聞いたね?兄くんに生み出された私は、当時妹であり恋人だった……兄くんがそう望んだから!」
レアナ「もうリュカはさ、聖人確定でいいんじゃない?下手したら『マギシステム』管理者の可能性まで浮上しているわよ」
不穏なことを言い始めるレアナだった。
リュカ「いや、スタンプラリーを終わらせないと収入が」
チカ「兄くん、お金に困っているのかい?」
リュカ「今後、困る可能性がある……といったところかな」
レアナ「あのね?リュカ?あんたは今平民だから、手持ちだけで十年は余裕で暮らせる資産持ちだからね⁉」
なお、注意しているレアナもまた、何だかんだでお嬢様だった。
金貨袋一つで日本円換算だと一億円相当であることを、リュカもレアナも知らない。
すなわち、リュカとレアナ二人の総資産は、日本円換算で三億円相当――人生が二回分くらい変わる額である。
リュカもリュカで「レアナがそう言うのならそうなのだろう」と受け入れてしまっている。
そして、本来なら情報を提示するはずのチカまで、このことに言及しない。
チカ「十年後に備える兄くん、やはり転生しても変わらないのだな」
レアナ「え、リュカ?転生の話ってチカにしたっけ?」
リュカ「いや、俺からは誰にも話してないはずだけど?ってか、レアナは全部聞いてるだろ?」
と、首を傾げるリュカ。
チカ「兄くん、この私が、兄くんを間違えるとでも思っているのかい?転生前の兄くんが『転生したらまた会おう』と、私を封印したのだから」
レアナ「ねえ……なんか、怖い想像が、頭をよぎったんだけど?」
リュカ「気持ちはわかる、だけど口には出すな!フラグが立つぞ?」
咄嗟にレアナの言葉を封じようとするリュカだった。しかし。
チカ「そうだな兄くん、転生先が遙か未来だったなんてフラグは、立てない方がいい」
リュカ「チカ、なんでお前がフラグ立てたぁぁぁ!」
チカ「すまない兄くん、兄くんが転生した先は、遙か未来なんかではない!これでいいか?」
リュカ「むしろ!フラグ感が高まったぁぁぁ!」
もはや叫ぶしかないリュカだった。
レアナ「……もう、これ確定よね」
リュカ「……認めざるを得まい、文明が衰退した未来なのだろう」
レアナ「……そして、きっとリュカの前世は、何らかの形でマギシステムに関わっていた、と」
軽いお悩み相談のはずが、なぜか世界観暴露という……とんでもないオチを迎えたのだった。
第一章「グルメの旅」前半終了です。
これから二日ほどお休みをいただきます、続きは2026/02/24(火曜日)の昼からを予定しています。




