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ピザパーティー

何とか全てのミッションを終えて、夕食の為に公民館へ向かう。雪道を歩いていると、すでにチーズの焼ける香りが漂ってくる。


「 良い匂いだわ、楽しみね!」


「 美味しいですよ、ローザ様。野菜だけのピザも色々ありますから、食べてみて下さいね 」


ミチルもピザにハマっているらしい。

今頃オーブンはフル稼働だろう。今夜はお手伝い出来なかったので、村の女性達が頑張ってくれている。


「 楽しみだわ。それに美波、明かりが綺麗ね。

王都も上空から見下ろすと、とても美しいのよ。

レンガの光は王宮を囲むように円を描いているの、今度いらっしゃいな、背中に乗せて飛んであげるわ」


ドラゴンの背中に乗って空を飛ぶ……

ファンタジーの王道だ。


「 是非お願いします!雪対策としても役立っているでしょうか、こことコザクラ町では効果を確認出来ているのですが 」


「 勿論よ。今回は王宮の周りだけだけれど、お城の兵士達は雪掻きをしなくてすむので、その分他の仕事が出来るって喜んでいるわ 」


ソウキ様に言われて、美波はほっとする。

問題ないだろうとは思っていたが、やはり少し不安だったのだ。


「 そうよ、美波。多分春になったら正式な依頼がいくと思うわ、その時にお金の話もするはずよ 」


「 ありがとうございます。思い付きで作ったものが役に立っているようで、嬉しいです。

お金が欲しくて始めた事ではないので、陛下にはそんなに高額の謝礼は必要ありませんとお伝え下さい」


そう言うと、お二人は顔を見合わせて溜め息をついた。


「 本当に欲のない子ねぇ。国としては税金で払う訳だから安い方が助かるけれど、ちゃんと払うつもりなのよ。シールもレンガもとても役に立ってるんだもの 」


ローザ様に言われて、先日の会話を思い出した。

ミナトさん達にも同じような事を言われていた。


「 分かっています。無料でとは言いませんよ、ただ普通にこの世界の人が開発して売り出す場合よりは、安くして下さいということです。

何しろ材料費ゼロですからね、私の時間分だけで充分です。頂いたお金で次のアイデアを形にするつもりです。既に幾つか作っているんですよ、春には完成品をお見せできると思います 」


まだ試作段階だが、荷車と車椅子を見せたときのリアクションを想像すると、今からワクワクする。


「 それは楽しみが増えたわね。期待しているわ 」



公民館に着くと、大半の村人はもう集合していた。テーブルの上には飲み物とサラダ、取り皿が並んでいる。


「 美波、着替えをありがとう。良い色だ、ソウキの色だろう?」


コクガ様は例の服を身に付けている。

ごくシンプルなデザインだが、本人が美しいのでそのままファッション誌のページを飾れそうだ。

ぴったりフィットする布が、ギリシャ彫刻の様な完璧な肉体美を強調している。


「 はい、コクガ様。すごくお似合いです、ソウキ様にはコクガ様の色で作らせていただきました。

後でご覧になって下さい 」


「 それは楽しみだ。どうだソウキ、似合うか?」


ソウキ様を軽く抱き締めて、コクガ様が問う。


「 勿論よ。とても素敵……」


もうお互いしか目に入っていないらしい、いつもの事だが……


「 相変わらず仲いいよな、二人とも。

ほら、早く座って!もうすぐピザが焼けるんだから、焼きたてを食べるのが絶対なんだぞ!」


ユーリは二人の世界に入っているドラゴンの番をベリッと引き剥がして、椅子に押し込んでいる……

やはりただ者ではない。


「 すごいな、ユーリ……

ローザ様も座って下さい、ピザは焼きたてが美味しいんです。あとこのサラダは例のビニールハウスで採れた野菜です、結構順調に育ってるんですよ。

明日の朝にでもご案内しますね 」


美波はローザ様をソウキ様の隣に案内して、焼きたてのピザを運ぶべく、調理スペースへ向かう。

一回目のピザは、直径四十センチ位のものが八枚である。野菜だけの物、ベーコンやウインナーをトッピングした物。冷凍しておいた川海老をのせた物もある。

手早く切り分けている間に、第二段のピザがオーブンの中へ。

手際の良い女性達のお陰で、あまり待つことなく次が焼き上がるだろう。


「 お待たせしました!熱いうちにどうぞ!」


ピザがテーブルに並べられると、宴会の始まりだ。


「 まってました!アツッ、でも、ウマッ!」


ユーリは真っ先に手を伸ばし、ジャガイモとマヨネーズのピザを頬張っている。


「 コクガ様、ソウキ様、どれにしますか?

ローザ様、この辺りが野菜のピザですよ 」


美波はゲスト三人に具材を説明していくが、自分で取るスタイルが珍しかったようで、セルフで大丈夫と言われたのでお言葉に甘えることにする。


「 これは旨いな、手で食べるのも面白い 」


コクガ様は厚切りベーコンにバジルっぽいハーブを効かせたピザを味わっている。ソウキ様は海老とゆで卵のピザだ。


「 美味しいわ、やっぱりワインが欲しくなる味ね。

今度はワインを持って来ましょうね 」


村の備蓄分のワインをお出ししようと思っていたのだが、ドラゴンの酒量はとんでもないので、全てのワインを飲み干しても足りないらしい。

少しだけ飲む方が辛いらしく、今日はアルコール抜きなのだ。


「 オーブンがあれば簡単ですよ、後でレシピをお渡しします。春になったらトッピング出来る野菜も増えますが、それまでは王都でも楽しんでみて下さい 」


「 ありがとう美波。帰りにもらっていくわね、コレ本当に美味しいわ 」


ローザ様はゆで卵とマヨネーズに、茹でて冷凍しておいたインゲンぽい野菜とハーブのピザを堪能中だ。


「 気に入ってもらえて良かったです。まだまだ焼けますから、沢山食べて下さいね 」


この日の宴は三時間ほど続き、コロンコロンのお腹で仰向けで眠る狼達が大量発生した……

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