ドラゴンの来訪 ①
文章が途中で切れている事に気付き、修正しました。
パーティーメニューの説明の後が抜けていました、すいません(。>д<)
何故こうなったのか……
「美波、小鳥が来たぞ。」
その手にはローザ様からの小鳥、銀製でデフォルメされた愛らしいシルエットの掌サイズの鳥だ。
精緻な細工とルビーの嵌まった円らな瞳が可愛らしい。カチリ、と小さな音をたてて開いた小鳥の中から、手紙を取り出し目を通す。
「美波、二日後にローザ様とドラゴンの長であるコクガ様とソウキ様ご夫妻がいらっしゃるそうだ。」
「ドラゴンに会えるんですね!ご夫妻でいらっしゃるんですか?」
「あぁ、長命なドラゴンの中でも最年長のお二人だ。失礼のないようにしなければな。
レンガとシールは出来るだけ沢山作って欲しいそうだ。持ちきれなければ、往復してもかまわないらしい。」
ミナトさんはおもてなしの手順を考え、メモをとっている。
ドラゴンて何を食べるんだろう……
疑問が顔に出ていたらしく、シロガネ様が教えてくれた。
「安心しなさい美波、ドラゴンの方々は人化できる。広場に降りてもらって、その後は人型で過ごされる筈だ。何でも召し上がる方々だから、メニューは任せるぞ。
必要ならコザクラ町へ買い出しに行ってもかまわない。」
責任重大だ、美波が料理長らしい。
美波は昼食後にミナトさんや料理上手の女性達と話し合い、当日のメニューを決めることになった。
翌日はひたすらにレンガとシールを生産し、夕方からは料理の仕込みを行う。
初めてのドラゴンの来訪に浮き足立つ村人達と共に準備に追われ、慌ただしさの中で夜が更けていく。
小鳥の知らせから二日後、到着予定は昼頃らしい。
噴水広場にはテーブルと椅子が並べられ、妙なテンションで美波が作り上げたバルーンアートが花を添えている。
何やらメルヘンチックな会場が出来上がったようだ。ソウキ様が濃紺の髪とサファイアの瞳をしていると聞いたので、白からブルーの濃淡で統一している。
ビュッフェ形式にしたので料理を乗せたテーブルの回りはすっきりと、周囲に点在するテーブルと椅子のそばにはフワフワと揺れるヘリウム入りのバルーンと、アーチ型に組んだバルーンをベースにしたバルーンアートが設置されている。
ウエディングパーティーか……
「もうすぐですよね、間に合うかな…」
そのお皿こっち!取り皿はここね!セッティングに追われる女性達を横目に、美波はミナトさんと最終確認だ。
吟味した結果、本日のメニューは新しいものがメインになっている。
赤ワインでじっくり煮込んだ三角牛のビーフシチュー。
エルフも食べられる野菜コロッケ。
一定温度に保てる卓上コンロ的な物を自作し、チーズフォンデュ。これは村のチーズと白ワイン、ニンニクでベースを作り、パンやボイル野菜、ウインナーなどを別に盛り付けてある。
各種パンも並んでいる、クリームパンに干し葡萄パンは勿論、様々なサンドイッチも揃えた。
エビフライにお魚フライ、勿論タルタルソースも。
デザートには、きび酒漬けの干し葡萄入りのミルモンアイスに双子ベリーのミルクアイス。
好評だった秋の味覚タルトと、ミルクレープも作ってみた。
皆が協力して仕上げた力作だ。
「完璧だよ、すごいご馳走だ。きっと喜んで頂けるだろう。」
ミナトさんも満足げである。
その時、噴水広場に大きな影が差した。
上を見上げると巨大なドラゴンが、学校裏手の広場に降り立つところだった。
慌てて皆で広場に向かうと、そこには二頭の巨大なドラゴンがいた。西洋的なドラゴンで全長十メートル位あるだろうか、大きな羽と長いしっぽ、鉤爪のついた手に大地を踏みしめる大きな後ろ足。
黒いドラゴンは、よく見ると金粉を混ぜ込んだような輝きを放っている。こちらがコクガ様だ。
もう一頭は、黒と見紛う濃紺に銀粉を混ぜ込んだ体色、若干小柄なこちらがソウキ様だ。
コクガ様の背中から、ローザ様がひらりと飛び降りた。
「お久し振りです皆さん。本日はコクガ様ソウキ様と共にお邪魔しました。よろしくお願いします。」
ローザ様の挨拶を受けて、二頭のドラゴンは人型へと変化した。ドラゴンレベルだと洋服を着替える必要はないらしい。非常にスマートな変化だ。
「よろしくな、シロガネ。お前が美波か。
我等は王都からの使者でドラゴンの長、コクガと妻のソウキだ。」
「初めまして、美波と申します。よろしくお願い致します。遠いところお疲れでしょう、ささやかですが歓迎の席を設けさせていただきました。ご案内致します。」
予め考えておいた挨拶を何とかこなして、噴水広場へ案内する。緊張しすぎてきちんと歩けているか怪しいくらいだ。
ここへ来てから美形に対する免疫はできていた筈だが、ドラゴンの番は規格外だ。大人の色気プラス長命種の威厳で、眩しすぎて直視できない。
「まぁ、美波。今日のメニューは何かしら、楽しみだわ!我が君とお二人には、プリンとバターケーキを食べていただいたのよ。とてもお気に召したようだったわ。」
ローザ様もテンションが高い、食に関しては自制が効かないエルフさんである。
「あれは美味かったぞ、今日も楽しみにしてきたんだ。帰ってからレオンに自慢話をせねばな。」
コクガ様はちょっと悪そうな笑みを浮かべている。
美波はローザ様に耳打ちされて、ドラゴンの番が国王を名前で呼ぶ仲だと知り青ざめた。
大丈夫か?今日のメニューが気に入らなかったらどうしよう……
傍目には分からないだろうが、内心パニックの美波をよそに、一行は噴水広場に到着した。




