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ユーリと美波

「おぉっ!凄いな、昨日から気になってたんだよ。

俺もやって良いか?」


答えを待たずに、ユーリはトランポリンルームへと駆け出す。あのあとユーリにねだられるまま、村内の新しい設備を案内する事になったのだ。

一番目立つ学校からスタートしたらこうなってしまった……


覗き窓から窺うと、華麗な回転技を決める残念なエルフが見える。

ミチルは仕事があるので別行動だ。ユーリに口説かれたら、グーで殴るようアドバイスしてから去っていった。

ミチルのキャラも崩壊気味である。


「はぁ、何か疲れた。」


大人用スペースのビーズクッションに腰を下ろし、足を伸ばす。

美波は今までの人生であまり関わることのなかったタイプのユーリに、どう対応していいのか分からない。


「良い人なんだよね、ユキちゃんを連れてきた訳だし…

そうだ!エルフだと思うから駄目なんだ、世間知らずのちょっとチャラい大学生だと思おう。

シロガネ様も気を使わなくていいって言ってたし。」


割りと失礼な対ユーリマニュアルである。


「これすごいな、美波。滅茶苦茶楽しい!」


ひとしきり遊んで満足したのか、ユーリが出てきた。相当激しい遊び方をしたらしく、後ろで結んだ髪がぐちゃぐちゃだ。


「ユーリ、髪がすごいことになってるよ。

あみこんであげる。」


美人は美しくあるべきだという信念の元、ユーリの手を引いてビーズクッションに座らせる。

自分の髪も長いし、女子高時代は友人の髪で色々と遊んでいたので、ヘアアレンジは割と得意なのだ。

リボンをほどき、ポケットから出した櫛で長い髪をとかす。


「両サイドを編み込んで、後ろでひとつ結びで良いかな?」


サクサクと編み込んで、あっという間に仕上げてしまう。


「ゴムがあれば楽なんだけどなぁ…

リボンで結ぶの、難しい。」


慣れないリボンに手こずりつつ、満足のいく出来上がりだ。


「はい、出来た。すっきりするでしょ、普通にしてれば崩れないと思うよ。」


「ありがとな、美波。じぶんでやるのは無理そうだ。」


鏡が無いので、手で両サイドを触って確認したユーリは上機嫌だ。


「このビーズクッションてやつもいいなぁ。

俺も欲しい。」


「あげても良いけど、ユーリは放浪中なんでしょ。

サイズ的に無理でしょ。」


残念がるユーリに他の設備についても説明する。

ボールプールで遊ぶのは、さすがに禁止だ。

これは子供用です!ちょっと残念そうだったが、見なかった事にする。


少しずつユーリの取扱いが分かってきたらしい。


「そろそろ子供達の授業が始まるから、外に出よっか。次は何が見たい?」


授業の邪魔になるので二人で外に出て、ビニールハウスの仕組みを簡単に説明し、噴水広場へ戻る。


「ここのライトアップは自信作だよ、今夜見てみてよ。」


「うん、楽しみだ。じいちゃん家のランプもすごく明るかったけど、便利だよな。」


噴水の中を覗き込み、子狼の首に下がった照明をじっと見詰めている。

珍しいものに触れて、楽しくて仕方ないらしい。

干し柿小屋へ案内し味見しようとする手を叩き、まだ出来上がっていないからと言いつつ 露天風呂へ。

水は豊富にあるし、人口魔石のお陰でお金もかからないので、基本的にかけ流しで二十四時間入浴できる。

二日に一回水をとめて、当番制で掃除しているのだ。


「 昨日も気になってたんだよ、今夜は絶対に入るぞ!」


「気持ちいいよ。今じゃ皆も毎日入ってるし、すっかり馴染んでるよ。私の我が儘で作ったような物だけど、村の皆が喜んでくれたし、作って良かったな。」


そのあとは、美波の家に案内する事にした。

ミチルは心配していたけれど、ユーリの口説き文句は挨拶みたいなものだ。

下心と言うか生々しさがないのだ。

感覚的なものだけれど、おそらくまちがっていない。

この男の子は安全だ。女の勘というか、経験則でそう判断して、家に上げることにした。

まぁ、例のバリアがあるのだから、危険などありはしないのだが。


「はい、どうぞ。靴はここで脱いでね。」


大人しく指示に従い部屋に入ったユーリは、呆然と辺りを見回している。

その後は質問されるままにパネルヒーターやドームハウスそのものの説明をし、冷蔵庫やオーブンも見せた。バスルームと洗面所の大きな鏡にも驚いていた、ちなみに鏡は壁と一体化している。

ロフトも案内して、置きっぱなしのハクの服も見せてあげる。


一通り見たところで、リビングに戻りお茶を出す。


「これ昨日作ったんどけど、よかったらどうぞ。」


新スイーツ秋の味覚タルトを出してあげる事にした。忘れかけていたけれどエルフだし、甘いものは好きなはずだ。


「うまっ!何これ、うますぎ。」


期待通りの反応にちょっと笑ってしまう。


「野リンゴとサツマイモのタルトだよ。

結構良い出来でしょ?」


うっとりと目を閉じてタルトを味わう姿が、ちょっと可愛いと思ってしまったのは、ミチルには内緒だ。

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