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秋祭り最終日

秋祭り最終日、前日に大量生産したミルモンアイスとカップ、ジャンケン用の大量のボールを載せた馬車で村人達がコザクラ町へと出発した。


美波は昨日の食材を使い、さっそく新しいレシピを試してみる事にして、料理上手な女性達の協力のもとぶどうパンと琥珀酒漬けの干し葡萄入りバターケーキを作った。

ミルモンアイスも一回分作って、子供用を避けてからキビ酒に漬けた干し葡萄を混ぜ込む。

あとは夜の宴会用に先日好評だったポテトグラタンを仕込み、冷凍しておいた三角牛の肉とイノシシの肉をミンチにしてハンバーグを作り、トマトソースで煮込んでおく。二種類の肉を混ぜる事は無いそうで、これも新しい味になるだろう。


子供用のおやつにと思い立ち、ジャガイモから片栗粉を作り(すりおろして水と混ぜ、沈澱したデンプンをルリさんに乾燥してもらった)卵と砂糖と混ぜて卵ボーロも作ってみた。素朴な味だけれど間違いなく美味しい、本日のお菓子は大人仕様なので子供達へのサービスだ。


今夜は秋祭り最終日で明日は休みなので、宴会も派手にやりたい!という居残り組の熱意で噴水広場のライトアップを更に足してみる。

こぶし大の丸いライトを大量に作り、上にあけた穴にロープを通して一つ一つ固定する。これを広場の所々に置いた円錐形の高さ四メートル位の照明

のてっぺんを通して張り巡らせたのだ。

ライトアップされた夏のビアガーデンの様な仕上がりに、村人のテンションも上がる。テーブルと椅子を出し、様々な料理を並べて準備完了だ。

遠吠えで確認した通りの時間に、町へ行っていた村人達が帰ってきて大宴会が始まった。


シロガネ様から労いの言葉と、今回の祭の利益が告げられる。用意した品は全て完売したそうで、総額金貨九枚にもなった。内訳は懐中電灯が一番高くて、一つ銀貨二十枚が三十個売れたので金貨六枚分だった。魔法瓶用の木材も森で採れたので、材料費はほぼタダだ。


「村の蓄えとして半分残し、もう半分は後日配布する。また今回は売り上げが多かったので、ボール販売分の銀貨九十枚を孤児院に寄付する事が出来た。

村人全員の頑張りで成し遂げた成果だ、これからも皆で力を合わせていこう!乾杯!」


シロガネ様の挨拶のあと、村人達は思い思いに料理を食べ、酒を飲んで宴会を楽しんでいる。


「お姉ちゃん、このハンバーグっていうの美味しいよ!グラタンも美味しいねぇ。」


ハクも嬉しそうで、傍らには美波特製の卵ボーロがある、湿気らないようにプラスチックっぽい容器を作り、子供達にプレゼントした特別製だ。

優しいハクは、回りの大人達にも小さな手でお裾分けしている。

なんていい子!また作ってあげるからねっ!!

相変わらず美波はハクにメロメロだ。


「このケーキすっごく美味しいわ。お酒が効いてて大人味っっ!!」


順番を無視してデザートから食べ始める女性もいて、ケーキの評判も上々だ。ラムレーズンアイスならぬミルモンアイスキビ酒風味の干し葡萄入りも大人気で、食べられない人が出ないか不安になる。


「よくやってくれたな、美波。貧しい訳ではなかったが寄付をする余裕が出来たのは初めてだ。

ありがとう。」


同じテーブルについていたシロガネ様の言葉に、慌てて返す。


「私は大した事はしていませんよ。皆で成し遂げたんです。この村の一員として私も頑張りましたけど全員の力です。」


「そうだったな、皆の力だ。」


シロガネ様は美波を見詰めて優しく微笑む。新しい料理も一通り味見してくれて、今日はとても調子が良さそうだ。


「美波~、このケーキとアイス美味しすぎ!

明日は絶対森へミントとレモンを取りに行って、モヒートっていうの作ってよ!約束ね!」


お酒に強いはずのミチルだが、すでにだいぶご機嫌だ。デザートから攻めたらしい。


「ミチル、酔っぱらってるでしょ。ケーキとアイスにもお酒結構入ってるんだからね。大丈夫?」


大丈夫よぅ。と、確実に酔っぱらっているミチルに連れられて村人達の間を回り、料理の感想を聞きお酒をすすめられたりして、この日の宴会は夜遅くまで続いた。


翌日、珍しく飲みすぎて二日酔いに悩まされる村人が続出したが、お休みだしお祭りだしね。

たまにはこんな日があってもいいでしょう。

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