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秋祭り二日目のお買い物

さて、秋祭り二日目の朝である。

今日はありったけのミルモンアイスを積み込むが、クッキーや他の商品は既に運び込んであるので、馬車一台で出発する。

美波は馬車の上でもボールを作る事にして、隣に座ったミチルとクロが出来上がったボールを大きな袋に詰めていく。

一時間半作り続けてコザクラ町に到着し、皆が開店準備をする中、昨日の透明ケースにボールを作りながら詰めていく。九時直前まで粘り縁まで一杯になったところで、大きいボールも大量に作った。


「ふぅ、これだけあれば大丈夫かな。」


「ありがとう美波、充分だと思うよ。

できたら昼過ぎに一度、様子を見にきてもらっていいかな。万が一足りないようなら、その時に少し補充してくれると助かるよ。」


ミナトさんの言葉を快諾して、本日のボール販売担当者に手順を説明し終えた頃、祭の開始を告げる特別な鐘が鳴り二日目がスタートする。

本日は自由行動だ、異世界のお祭りを満喫すべく、美波はミチルとクロと共に町へ繰り出した。


祭の出店は、町のメインストリートの中央部分に左右に別れて背中合わせになるように設営されていて、客はメインストリートを往復すれば全ての店を見ることが出来る様になっている。

ハクロウ村は町の入口すぐのスペースを二ブース借りているので、ほぼ正方形の広いスペースを確保している。町の上層部の期待の表れだそうで、一番目立つ一等地だったりする。

三人はそこを起点に右側から見て回る事にした。


「あっ、ここの店見てもいい?」


美波が目を付けたのは、ドライフルーツとスパイスの店で、ここから南へ半日位の所にある港町カザミ町から来た店だ。船を使って商品を売買する商人の町で、遠方の珍しい品を多く取り扱い、今回の祭りにも数店が出店している。


「村で作れない物で、使えそうな物を試しに買ってみたいんだ。どれにしようかな…」


森で採れる双子ベリーやクランベリー風のドライフルーツ以外で、お菓子やパンに使えそうな物を探す。


「どんなものが欲しいんだ?」


クロの問いに、レーズン的な物を探していた美波は品物を物色しつつ答える。


「ワインの原料になる果物を乾燥させた物を元の世界ではレーズンって言って、色々とつかえるんだけど。ワインを葡萄から作るのはこっちも一緒?」


「そうだな、原料は葡萄だったはずだ。干したやつはあんまり見た事ないけど、聞いてみよう。」


褐色の肌に黒髪の、可愛らしい人間の店員さんに聞いてみると、試食用に何粒か掌に乗せてくれる。

見た目は淡いグリーンで、一般的に思い浮かべるレーズンの二倍位のサイズだ。


「ん、美味しい。ちょっと大きいけどレーズンだよこれ。」


クロとミチルも味見しているが、初めて食べるようだ。


「うん。甘くて美味しいけど、このまま食べる以外にどうやって食べるの?」


ミチルの疑問に満面の笑みで答える。


「これをお湯でちょっと柔らかくしてからパンに混ぜ込んで焼いてもいいし、クッキーに入れても美味しいの。あとラム酒があればラムレーズンアイスになるし、ブランデーがあればレシピを暗記してるとっておきのバターケーキが作れるよ。」



大人専用のアルコールを使ったお菓子は、こちらには無いようで二人とも興味を持ったらしい。


「村の名物になるかもしれないし、ちょっと多目に買おうかな。普段は手に入らないんでしょう?」


「そうだな、多分カザミ町まで行かないと無理だろう。こんな時の為に親父から軍資金を預かってるから、必要なだけ買っていいぞ。」


どうやらクロはミナトさんから、美波が新商品に使えそうな材料を見つけた時の為に、お金を渡されていたらしい。今回は村の資金にゆとりがあるので、銀貨二十枚もあった。


「いいの?私、自分のお金で買うつもりだったんだけど。」


びっくりして尋ねると、クロに肩を叩かれた。


「美波は多分そう言うだろうから、試作品を作って村の皆で食べて終了じゃなくて、冬の間に新製品を作って次の春祭りで売り出すくらいのつもりで買ってこいって、親父の指示だよ。

シロガネ様も了承済だから、失敗を怖れずに試したい物は試しとけってさ。」



「なるほどね、さすがミナトおじさん。もう次のお祭りの事まで考えてるのね。

美波、そういう事なら思い切って買っちゃいましょう。パンやクッキーは自信あるんでしょう?」


ミチルの言う通り、パンとクッキーは間違いなく美味しい物が出来るだろう。どうやらこちらでのドライフルーツは、非常食や携帯食としての意味合いが強いようで、そのまま食べる以外の食べ方は知られていないらしいのだ。

これはヒットの予感がする。


「うん、行けると思う。この干し葡萄って幾らぐらいするんだろう、あんまり高くないようなら多目に買っていきたい。」


すかさずクロが黒髪のお姉さんと交渉すると、干し葡萄はあまり人気のある品ではないらしく、よく外国の市場でスパイスが入っているような、高さ一メートル位の袋一つを銀貨三枚で売ってくれると言う。

お手頃価格だったのでお店にあるだけ全部、三袋の干し葡萄を購入し、シナモンっぽいスパイスも見つけたのでこちらも購入しようとすると、干し葡萄を買ってくれたからと、シナモンはサービスしてくれた。

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