初めての町、コザクラ町
約一時間半後、揺れがない分スピードが出せたらしく、いつもよりかなり速く着いたようで、現在九時だ。
コザクラ町はその名の通り、小振りな桜に似た木に囲まれた町だった。春には花が咲き、その実はジャムやお酒になるそうだ。
春になったら絶対にお花見に来るぞ!と心に誓う。
この規模の桜なら絶景だろう。
馬車は町の入口を入って、駐車スペースへ向かい、狼になっていた村人達は口に自分のバックをくわえ、着替えの為のスペースへ。
走ってくる人や、飛んでくる人の為に男女別の更衣室があるそうな。何ともシュールな光景だ。
「美波、お待たせ。」
柔らかな素材のブルーのカットソーに美波の作ったぴったりした黒のパンツ、ミチルは今日も美しい。
足元も美波作の黒のスニーカー(紐無しで履ける伸縮自在の素材)だ。
最近村では美波作の服や靴がちょっとしたブームで、リクエストされれば作ってあげていた為、本日の村人達はほとんど皆様々な色のスニーカーに、細身のパンツや体にフィットしたワンピースを着ている。
みなさん美しいので、めちゃめちゃ目立っている。
美波自身は黒のレギンスに、ブルーにテキスタイル風の柄物のチュニック、白のスニーカーだ。
下着も自作している、フリルやレースが無ければ作れるので、女性達に好評だ。
男性に人気なのはボクサーパンツ、ハクに履かせていたのを見て依頼が殺到、量産しました。
意外にみなさん派手目の柄がお気に入りだ。
今日はアイデア料という事でお小遣いをもらっているのでミチルと一緒に店を回り、アクセサリーやちょっと凝ったデザインの服を購入する予定だ。
「ミチル、すごく素敵。似合ってるよ。」
「ありがと、美波もとっても可愛いわ。」
「美波、楽しんでおいで。ミチルから離れないようにするんだよ。
集合は二時だから遅れないようにね。」
ミナトさんに見送られ、ミチルと二人でお目当ての店へ向かう。
コザクラ町はちょっとしたショッピングモールの様な町で、メインストリートを中心に様々な店がある。二階建ての店が多く、レンガ造りのヨーロッパ風な町並みだ。
ミチルの行きつけの服屋さんでいくつか服を購入し、アクセサリーショップをハシゴして、シンプルなシルバーに青い石のついたピアスと、ブレスレットを購入する。
貨幣は銅貨や銀貨、金貨で紙幣はない。価値としては銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚分だ。
円換算なら銅貨一枚十円、銀貨一枚千円、金貨一枚十万円といったところか。
因みにピアスもブレスレットも、それぞれ銀貨一枚だった。
手を繋ぎミチルと歩きながら、物価やこの世界の品物について説明してもらう。魔石と魔方陣があるとはいえ、全体的な印象は明治時代くらいか。主な移動手段は馬車だし、明かりはランプだ。




