ミルモンアイスをお祭りで売るために
翌日さっそく試作したミルモンアイスは、絶品だった。何しろミルクと卵の鮮度は飛びきりだ。
本当の絞りたて、生みたてで作ったアイスクリームが美味しくない訳がない。
「私の人生で一番美味しいアイスかも…」
美波はうっとり呟く、村人達もメロメロだ。
何より、このアイスクリームメーカー1つで三十人分×二回分、つまり六十人分は余裕で作れるのが素晴らしい。更に、絶え間なく混ぜる事で格段に滑らかだ。
余ったアイスのおかわりを要求する村人達に対し、一度に沢山食べるとお腹を壊す事、しばらく保存して味の変化をチェックする必要があることを説明して公民館の大型冷凍庫にしまった。数日後に味をチェックして、作りおきが可能かテストするのだ。
さて、アイスクリーム販売のメドがたったところで、アイスクリームを入れるコーンの作成について女性陣と話し合う事にする。
祭で販売するとなると、容器を大量に用意しなければならない。使い捨てという概念のないこの世界では、陶器やガラスの器を使用後に洗って使い回すのが基本だが、今回はいわば屋台販売。器を洗うスペースが確保できないのだ。
そこで思いついたのが、カップ型のワッフルコーンだ。薄く焼いたクッキー生地を熱いうちに型にはめてカップ型にして、冷ませば完成だ。
器にもなって食べられるアレである。
しかしながら、完成図は分かってもレシピがない、
お菓子作りの基本だが、材料はきちんと量る必要があるのだ。美波はかなりの料理好きなのだが、さすがにレシピを暗記しているのは一部のお気に入りだけだ。とはいえ、おおよその材料は予想出来るので完成品の説明と作り方の手順を説明し、料理自慢の女性達に相談する。
「そうねぇ、アレはどう?キュリルよ。もう少し厚みを減らせば、出来るんじゃないかしら。」
「確かに!卵の分量を少し増やしてみましょうか。」
どうやら似たようなお菓子があるらしく、薄く焼いたクッキーを熱いうちに麺棒に乗せてカールさせた、瓦せんべい的なお菓子のようだ。
配合を変えて、何パターンか試作してくれる事になった。美波は温度設定できるオーブンを幾つか作り、公民館の調理場に設置した。
「では、よろしくお願いします。」
頼りになるお姉さん達にコーンの作成をまかせ、イツキさんのいる村の木工工房へ向かう。アイスクリームのスプーンを作ってもらうのだ。
「という訳で、容器はどうにかなりそうなんですけど、スプーンが必要なんです。家具作りの端材などで簡単な木のヘラを作ってもらえないでしょうか。アイスクリームを食べる為の物なので、平面でかまいません。使用後は回収して、薪の焚き付けに使えると思うんです。」
美波のお願いに、イツキさんは快く引き受けてくれた。
「今回の高級品はまかせられないワカゾー達が何人かいる。そいつらに練習がてら作らせよう、仕上がりはこんな感じでいいか?」
あっという間に作られた木さじは、パーフェクトな仕上がりだ。
「充分です、ではお願い出来ますか?」
任せとけ!と胸を叩くイツキさんに木さじの作成をお願いして、どうにかミルモンアイス販売のメドがたった。




