雪解け直前、いざメープルシロップ作り!
春が近づいてまいりました。
雪解け直前の晴天の朝、ハクロウ村の村人達はいそいそと噴水広場に集合していた。
子供達はすでに大はしゃぎで、獣型で走り回っている。
「 ねぇ、お姉ちゃん。メープルシロップって甘いんでしょう?パンケーキにかけるんだよね?
早くたべたいっ 」
時おり思い出したように美波に駆け寄っては、未体験のメープルシロップに目を輝かせて、おやつをねだる。
「甘くて美味しいよ、後で皆で食べようね 」
ツルツルかつモッフモフなユキちゃんを撫でながら言うと、くすぐったそうに身を捩りハクの元へと駆け出す。
雪の上をじゃれながら転がる二人は、本当の兄妹のようで微笑ましい。
「 美波、そろそろ出発しようか。準備が出来たようだ 」
ミナトさんの指差す先には、ナイフやバケツを積んだソリがある。
サトウカエデの木の幹をナイフで傷付け、その樹液をバケツに溜めるのである。それを煮詰めればメープルシロップの出来上がり!の予定だ。
おそらく上手くいくだろう。
「 はい、出発しましょう!場所はミチル達が分かるはずです 」
秋の始めに見付けたサトウカエデは、村からそう遠くない所にあった。木工細工の材料としては使用しない木なので、そこそこの大木があちこちにあるらしい。
とりあえず確実にある場所を目指し、そこを拠点に採取する予定だ。
「 よし行くぞ!ソリに続け!」
ものすごい盛り上がりである、未知の甘味に惑わされているようだ。
そして例によって美波はソリの上、子供達を抱き締めて猛スピードに耐えることになった。
数十分後、目的地に辿り着いた。木々の間をソリで進んだので、思ったよりも時間がかかったようだ。
美波の鑑定能力と、地球で見たテレビの映像の記憶を引っ張り出して、最初の一本にロープを巻きバケツを取り付けてから木の幹をナイフで傷付ける。
バケツは美波作で片側が木の幹にフィットするようカーブしているので、無駄なく樹液を溜められそうだ。ついでに蓋を斜めに固定できるので、ごみも入らない優れものである。
「 どうだ、こんな感じで大丈夫か?美波 」
イツキさんの手元を覗くと、ほぼ透明の樹液が染みだしてバケツの底に溜まっていくのが見える。
「 良いと思います、こんな感じでした。あとはどのくらいの時間で溜まるかですね、こればっかりはやってみないと何とも……」
「 よし。みんな聞いてくれ!これを見本にして樹液を採取してくれ。あんまり遠くに行くなよ!」
ミナトさんの号令で、村人達は一斉にサトウカエデを探しに森へ向かった。
美波はトロリと流れる樹液を見詰め、溜めるのにかかる時間と完成品が何分の一になるのか考えている。鑑定ではそこまで出ないし、何となく知っている程度の知識では手探りである。
「 まぁ、何とかなるでしょ。何とかしなきゃね、みんな期待してるし 」
指で掬って舐めてみた樹液はほんのりと甘い、同じ様で同じでない植物だがどうにかなるはずだ。
「 美波、溜めた樹液を入れる容器を作ってくれるか?ソリに積んでおこう 」
ミナトさんに呼ばれ、ウォーターサーバーの水の容器みたいな物をとりあえず四つ作った。
煮詰めたらおそらく半分以下になるはずなので、これが一杯になればそれなりに纏まった量が出来るだろう。
「 一時間位か、結構溜まったな 」
最初のバケツに八分目まで溜まるのに、およそ一時間かかった。よくあるサイズのバケツなので、結構早い気がするが異世界仕様かもしれない。
こうして続々とバケツを抱えた村人達が集まり、この行程を二回繰り返すと巨大な容器は一杯になった。
とりあえず村に戻ってお昼ご飯を食べて、シロップ作りは午後から行うことになった。
メープルシロップ作りは、大体こんな感じというくらいです。
以前何かの番組で見た記憶を頼りに、書いてみました。あまり突っ込まないで下さいね。




