第二十四話 日本人!
魔王信仰軍との戦いが近づいてきていると気づいたユウガたちは獣族の里から一週間かけて王都へ来ていたのだが
「いやーまずいよなー」
ユウガは一人で王都を歩く人たちを見ていた。
なぜ一人なのか、それは―
「まさかアイツらが迷子になるとは。」
否迷子になったのはユウガである。ユウガは久しぶりに来た王都で少し興奮してしまい、気づいたら周りから仲間たちがいなくなっていたのである。
「とりあえずあそこの店入るか。」
ユウガは、たまたま目にはいった少しオシャレなカフェのような店に入った。
「あれ、あの人黒髪。ん?もしかして」
カフェのような店に入ったユウガは黒髪の白い服を着た青年に話しかけられた。
「ねえ君、もしかして日本人?」
彼の第一声はユウガにとって驚くようなものであった。
「え、お前ももしかして日本人なのか!」
興奮するユウガに
「うん。そうだよ。俺は日本生まれの日本育ちだったはずのカミヤ・レンだ。よろしく!」
「俺はアマミヤ・ユウガだ。」
ユウガはこの世界で日本人に会うのは二度目だったが、レンはどうなのだろうか。そう考えていたら、レンが―
「いやーよかったー今までも黒髪の人に話しかけたことはあったんだけどさー皆こっちの世界の人でさーユウガと会ったのが初めてなんだよねー日本人で。」
レンが嬉しそうに語った。そこでまたレンが
「なあユウガー良かったらこれから一緒にダンジョンにでも行かない?」
「いや、悪いんだが俺は仲間とはぐれてしまったとこでな。それとこれから少し用事があるんだ。」
それを聞いたレンはガッカリしていたが
「じゃあさー少しだけ話してかない?俺と。頼むよー俺今すごい嬉しいんだよー」
「まあ少しならいいぜ。」
そこでユウガはレンの可哀想な話や楽しそうな話をたくさん聞かされた。その途中でもちろんユウガも自分のことを話していた。
「お前、ほぼ可哀想なエピソードしかなくね?楽しそうな話しに聞こえるのもだいたい他よりはマシってだけなんだが。」
それを聞いたレンは沈黙した。
「…俺ってもしかして不運?この世界に来てもらった能力が身体能力の強化だけで魔法も使えないしスキルも使えない。これって日本人皆じゃないの?え?」
そう、レンはこの世界に来てスキルを獲得することもできず、魔法も使えず、ただ魔力を身体に纏わせるだけで生き抜いてきたのだ。
「そういえば、ユウガさっき魔王信仰軍の話した?俺色々知ってるけど教えてあげようか?」
レンはなぜか魔王信仰軍についてよく知っているようだった。それはなぜかと考えていたら悲しい話を聞かされた。
「俺今まで十回くらい遭遇しててさ、魔王信仰軍。軍団長とも会ったことあるよ。毎回死にかけるしひどい目にあうし、ほんとにぶっ殺してやりたいって何回思ったか。」
レンは異世界に来た三年間で十回も魔王信仰軍に遭遇していた。ほんとに運がないやつだ。
「教えてあげるよ。俺が遭遇したのは全部で四人かな。」
「お前、よく生きてたな。」
「まあね。まず一人目は『知将』ゼウノス・ゼルロス。二人目は『悪魔』ルシファー・アーク。三人目は『魔人』ゾルディオス・ノワール。四人目は『龍帝』ヤトノカミ。」
『害毒』ヨルムンガンドの情報がないか少し期待したユウガだったが、その名前は出てこなかった。
「ユウガ、魔王信仰軍と戦うのは別にいいと思うけどさ、『龍帝』とは戦うな。俺はユウガに死んでほしくないからね。」
レンのこの感じからして恐らく『龍帝』は他の魔王信仰軍とは格が違うのであろう。だから聞くことにした。
「『龍帝』はそんなにやばいのか?」
「うん。俺も『龍帝』と戦った時は傷一つ与えられずにボコボコにされた。アイツの大剣の威力は半端じゃない。腕が斬られて大剣が腹に突き刺さったときは死を覚悟したよねー」
「なんでお前生きてんだよ。」
「それはね、身体能力が高いから生命力もすごくなってるんだよ。もはやゴキブリ並。腕はたまたま俺の死体もどきを通りかかった冒険者が治してくれたんだー」
それを聞いたユウガは『龍帝』と戦ってみたいと少し思ってしまった。頭がおかしい。そして、背後から怒鳴り声が聞こえてきた。
「ユウガ!どこ行ってたの!」
それは怒っているエリスの声だった。
「ユウガ、クロスさん達に呼ばれているのにどこに行ってたんですか。まったく。」
エージが呆れていた。
「ユウガ、そこの黒髪は?」
それを聞いたのはガルディアだった。
「紹介するよ。コイツは俺と同じ日本人のカミヤ・レンだ。」
「やあ、初めまして。ユウガの仲間の皆さんですよね。こらからまた会うことがあるかもなので、その時はよろしくです。」
レンが挨拶をし、エリス達も挨拶をしたとき、ユウガは無理やりエリスに引っ張られていた。
「何すんだ。痛い痛い離してくれ。」
抵抗するユウガにエリスは
「このまま話してたら遅刻するでしょ!」
「じゃあなー!レン!てか耳から手を離してくれ痛い痛い。」
こうして、ユウガたちはクロスたち騎士団の待つ騎士団の本部へ向かった。そして、その場に取り残されたレンは
「え、ユウガ?君、コーヒーとかパンとか色々食べてたよね?え?お金は?え?え?」
こうして、ユウガの分もお金を払うはめになったのだった。




