――私と、セフレになりませんか?
「…………はぁ」
それから、数十分経て。
デイゴと若葉が織り成す穏やかな住宅街を、見ているだけで気が滅入るであろう暗鬱な息と共に一人歩く僕。さて、告白の結果は……まあ、言うまでもないか。この有り様だし、そもそも僕だし。……まあ、あれを告白と言って良いのかは定かでないけど。結局、好きの一言すら言えてないんだし。
……でも、後悔してるかと問われれば全くそんなことはなく。むしろ、あれだけでも言えて本当に良かった。もう未練がない、なんて強がりでも言えないけど……それでも、言わなかったらきっと後悔してた。うん、これでちゃんと諦められ――
「――卒然にて恐れ入ります。少々、お時間宜しいですか? 三崎先輩」
「…………へっ?」
ちゃんと諦められる――そんな思考を以て前を向こうとした刹那、ふと後方から届いた声。ハッと驚き振り返ると、そこには――
「――初めまして、三崎先輩。私は一年A組、白河冬雪です。以後お見知りおきを」
「……あっ、はい……」
そう、ニコッと柔らかな笑顔を見せる女子生徒。肩ほどまで伸びる艶やかな黒髪に、澄んだアクアブルーの瞳――そして、陶器のように透き通る肌を備える清麗な少女で。……だけど、そんな彼女が僕に何の用で――
「さて、単刀直入に申し上げますが――私と、セフレになりませんか?」
「………………はい?」