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Number18 ~転生エース~  作者: J・P・シュライン
序章
8/81

第8話 -痛みと喜び-

「痛てぇ!」


 俺は痛みと共に目を覚ました。

 寝ぼけた目をこすって枕元の時計を見ると、デジタルの表示はAM7:00を示している。


(また、野球の夢か)


 欠伸(あくび)をしながら何気なく頭を()いた俺の頭部に、ヒリヒリとした痛みが広がった。


(えっ!?)


 混乱したまま、痛みの中心にゆっくりと手を当てると、ピンポン玉を小さくした位の範囲が1cm程盛り上がっている。

 俺は飛び起きてクローゼットの扉を開けた。

 中にあるのは、安物のくたびれた紺のスーツや学生時代から着ている私服だ。


(野球用品はない…よな!?)


 部屋の中も見回してみるが、いつもの味気ないワンルームの陳腐(ちんぷ)な内装に変わった所はない。

 安物のデスクに置かれたスポーツ新聞を手に取った。


(やっぱりLoosersなんてチームはないか…)


 俺は苦笑いを浮かべながら、デスクの上に置きっぱなしになっている5個100円のクリームパンを口の中に放り込むと、水道水で胃袋に流し込む。

 キツネに抓まれたような落ち着かない気分で、手早く身支度を整えると、会社へと急いだ。



**********


「お早う、鈴木くん!」

 会社に着いた俺は、後ろから声を掛けられた。


(北原さんだ!)


「お早うございます、北原先輩!」

 振り向いた俺に、北原さんは満面の笑顔を向けていた。

 その隣にはアホの小島課長が不愛想な顔で突っ立っている。


(ゲッ、小島かよ~)


「鈴木!」

「あ、はい、お早うございます課長」

「豊島自動車さん、今年のカレンダー、ウチに発注してくれるそうだぞ」

 ぶっきらぼうにそれだけ伝えると、小島は自分の席に戻って仏頂面(ぶっちょうづら)で薄いお茶を(すす)り始めた。


「えっ!?豊島自動車?」

 豊島自動車は、俺が先々週から新規開拓の営業に出ていた所だ。

 俺は信じられない気持ちで北原さんを見る。


 北原さんは親指を立てると、悪戯(いたずら)っぽく笑って言った。


「すずき~!よくやった~!!」

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