第一話 結婚式
わたしはイブリン。タルナート伯爵家の娘で年は22歳。自分で言うのもなんですが、金髪碧眼で細身の巨乳とかなり魅力的な見た目をしています。ですがキツイ性格ゆえに悪役令嬢と影で呼ばれ、貴族女性にもかかわらず独身。婚約者すらいませんでした。貰い手がないと言われているわたしですが、実家は裕福な伯爵家のうえに、わたし自身が優秀なので欠片も困ってはいなかったのです。
ですが国王陛下は違う意見を持っていました。
手っ取り早くいってしまうと王命により、わたしは結婚する羽目になってしまったのです。
そして今日。晴れ渡っていてクソ暑い八月のある日。
わたしたちは結婚式の真っ最中です。
神殿での式を終え、わたしは新郎と共に神殿のバルコニーで晒し者……もとい、お披露目をしています。
バルコニーの下は新郎新婦の友人たちやら、親族のお付き合いのある方たちやらでごった返しています。
「おめでとうイブリン!」
「末永くお幸せに!」
「アウリス! お前も幸せになれよ!」
わたしの隣に立っている新郎はアウリス・フェリントン侯爵令息。わたしと同い年の22歳。貴族社会は狭い社会なので幼馴染のようなものです。アウリスもわたしと同じく婚約したことすらない真っ白な経歴の持ち主でした。宰相の息子で賢く優秀、将来を嘱望されています。見た目も銀髪に赤味の強いアメジスト色の瞳を持つ長身細マッチョの美形と悪いところはない貴族男性なのですが、彼もまた訳アリなのです。
そんなわたしとアウリスに白羽の矢が立って、契約結婚をすることになりました。でも契約結婚であることは内緒です。皆はわたしたちが長年にわたってこじらせた恋をようやく結実させたと思っているようですが、違います。多分、違う。違うんじゃないかな……。ま、そこはどうでもいいです。
とにかく王命によって、わたしたちは夫婦になりました。
王命だからって八月の暑い盛りに結婚式を挙げなくてもいいと思うのですが、これには理由があるのです————。




