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26/58

スキルが一つじゃない……俺は異常存在なのか!?

この章から、ヴィンの物語は新たな段階へと進み始めます。


水面下で動き始めた隠された出来事が、彼を予想もしなかった変化へと少しずつ導いていきます。


では……


これからヴィンを待ち受けるものとは?


彼はどのような道を歩むことになるのでしょうか?


ここまでこの物語に興味を持ち、読み続けてくださった皆様に心から感謝します。


皆様の応援は、私にとって本当に大きな支えになっています。


これから始まる新たな旅も、楽しんでいただければ幸いです。

一週間後……


……


ゾニック先生:


「今日の授業は剣術についてだ」


「これは、お前たち全員にとって重要な一歩になる」


「スキルというものは、ただ与えられるものではない……」


「努力によって手に入れるものだ」


生徒:


「ですが、俺たちは貴族ですよ?」


「剣術なんて、生まれつき身についているようなものです」


別の生徒:


「ケケ……」


「その通りだ」


「あの平民とは違うんだからな」


……


「オーリン……」


ゾニック先生:


「この授業では……」


「貴族もない」


「平民もない」


「剣は、お前の身分など気にしない」


「家名にも興味はない」


「ただ一番努力した者だけを認める」


生徒:


「ですが、ゾニック先生……」


「生まれ持った才能というものも存在するのでは?」


「俺の兄、アルナルドは同世代の中で首席で卒業しました」


ゾニック先生:


「ふむ……」


「その兄は……」


「生まれた時から剣を握っていたのか?」


生徒:


「……いいえ」


ゾニック先生:


「なら……」


「それが答えだ」


「剣術とは、身につけるものだ」


「剣の振り方を最初から知って生まれてくる者などいない」


……


「分かったか……」


「ユラン・ダリコン?」


ユラン:


「はい、ゾニック先生」


ゾニック先生:


「よし」


……


「始める前に……」


「もう一つ伝えておくことがある」


……


「今日……」


「罰を終えた生徒が、授業へ戻ってくる」


……


「入れ」


……


コツ……


コツ……


コツ……


……


はぁ……


……


そう……


……


今日……


……


新しい始まりだ。


……


間違いなく……


……


俺はもう一度、この一歩を踏み出す。


……


そして俺は……


……


そう……


……


この世界が待ち望んだ……


……


勇者になる!!


……


ドォォン!!


バァン!!


……


そう……


……


これが勇者の登場だ。


……


特殊効果。


……


爆発。


……


劇的な復活。


……


そして、皆が俺を憧れの目で見る。


……


……あれ?


……


違う。


……


これは……


「なんでこいつが戻ってきたんだ?」


という目だ。


……


「女子たちは……」


「きっと感動しているはずだ」


……


女子生徒:


「チッ……」


……


「あ……」


……


「計算を間違えた」


……


「見るな……」


「これは蛇の構えだ」


「攻撃する前の姿勢……」


ゾニック先生:


「おい、ガキ」


「ここを舞台か何かと勘違いしているのか?」


……


「いいえ、先生!」


……


くそ……


……


近くで見ると……


この人の顔、怖すぎる。


ゾニック先生:


「俺が嫌いなものが一つある」


ヒュッ……


……


おい……


……


俺を侮辱する気か?


……


待て……


……


これは鼻なのか?


……


それとも……


空気取り込み口なのか?


……


「失礼ですが、ゾニック先生……」


「俺の匂いに何か問題でも?」


ゾニック先生:


「俺が嫌いな匂い……」


「それは……」


「許可なく這い回る……」


「ネズミの匂いだ」


……


生徒:


「ケケ……」


「あははは!」


「所詮は平民だ」


「誰があいつを認めるんだよ」


……


くそ……


……


これ以上、状況を悪化させるな。


……


俺は先週だけで十分苦しんだ。


……


でも……


……


何も言えない。


……


よし……


……


使うしかない。


……


俺が持つ……


……


最強の能力を。


……


なぜか……


……


アクティブスキルとして分類されたことは一度もない。


……


なのに……


……


数え切れないほど俺の命を救ってきた。


……


そう……


……


究極の生存スキル。


……


土下座……ではなく。


……


お辞儀。


……


「偉大なる先生……」


「尊敬すべき……」


「強大な力を持つ……」


「そして、その恐ろしい鼻の持ち主である先生……」


……


「……」


「もういい」


……


「この小さなネズミは……」


「自分が存在していること自体を……」


「ここにいる資格がないことを……」


「心より謝罪いたします」


あのクソゴリラめ……


……


絶対に許さない。


……


あいつのせいで……


……


俺の人生はこうなった。


……


いや。


……


今じゃない。


……


涙よ……


……


耐えろ。


……


俺はまだ生きている。


ゾニック先生:


「少なくとも……」


「自分の立場は理解したようだな」


「ここにいる多くの奴らとは違って」


……


「席につけ」


……


「では……」


「授業を続ける」


「二人組になれ」


「互いに剣術の練習を行う」


「俺は観察する」


「最後に……」


「お前たちの間違いを指摘する」


……


「分かったか……」


「ユラン・ダリコン?」


ユラン:


「はい、ゾニック先生」


……


よし……


……


今だ。


……


消えろ。


……


周囲に溶け込め。


……


もっと……


……


もっと……


……


もっと……


……


くそ……


……


ここにいるのは貴族ばかりか。


……


どうやら俺のスキル……


《背景に溶け込む》


……


この環境では発動しないらしい。


ユラン:


「おい、平民……」


「この変態め」


……


――はい。


……


やっぱり効果なし。


……


「はい、ユラン様」


ユラン:


「二度と俺たちの邪魔をするな」


「さもなければ、その役立たずな頭を叩き潰すぞ」


……


よし。


……


究極スキルを使う時間だ。


……


「はい、ユラン様」


「できる限り後ろで大人しくしています」


「だから……」


「この小さな召使いを、授業終了まで生かしてください」


……


くそ……


ユラン:


「ケケケ……」


「罰を受けている間に、少しは礼儀を覚えたようだな」


「お前もだ、役立たずの平民」


「オーレン」


オーレン:


「君の邪魔をしないようにするよ」


……


はぁ……


少なくとも……


俺以外にも馬鹿にされている平民がいる。


一人で惨めになるよりはずっとマシだ。


……


勘違いするなよ。


俺は勇者が嫌いなわけじゃない。


ただ……


俺の役割を奪ったことが嫌なだけだ。


オーレン:


「ヴィン、今日は随分楽しそうだね」


「もうあんな悪口は気にならなくなったのか?」


……


「あはは……」


「いや」


「ただ……君がいてくれて嬉しいだけだ」


「少なくとも……」


「一緒に馬鹿にされてくれるからな」


……


待て。


……


くそ。


忘れていた。


……


こいつは未来の勇者だ。


数年後には……


誰もが彼を称賛する。


その頃も……


俺はきっとモブキャラのままだ。


ゾニック先生:


「よし、ヒヨコども」


「殻から出る時間だ」


「始めろ!」


オーレン:


「始めようか、ヴィン」


……


ああ……


本当に……


物語よ……


俺のキャラクターを少しだけ昇格させてもよかったんじゃないか?


見ろよ。


俺は未来の勇者が正しい道を歩けるように手助けしている。


少しくらい昇格してもいいだろ?


オーレン:


「ヴィン?」


「どうしてぼーっとしているんだ?」


……


「あはは……」


「ごめん」


「先週のことを思い出していただけだ」


……


カン。


カン。


オーレン:


「あはは……」


「今でも信じられないよ」


「君が半裸で女子更衣室に入っていたなんて」


……


ヒュッ!


カン!


……


「おい!」


「事故だったって言っただろ!」


「友達なら信じろよ!」


……


ヒュッ!


カン!


カン!


オーレン:


「あはは……」


「落ち着いて」


「ただからかっただけだよ」


ガイド:


《上段斬り》


ヒュッ!


カン!


……


おお……


……


成功した。


……


自分でも驚きだ。


ガイド:


《後退》


《水平斬り》


ヒュッ!


カン!


オーレン:


「でも……」


「先週、何があったんだ?」


「全然姿を見なかったけど」


ガイド:


《体を後ろへ引け》


……


《低い攻撃が来る》


ヒュゥゥゥ……


……


「頼むから……」


「思い出させるな」


「あれは本当に地獄だった」


ガイド:


《前進》


ヒュッ!


オーレン:


「いや……」


「前に出るのは――」


ガイド:


《しゃがめ》


……


《剣の刃を上へ向けろ》


ヒュッ!


……


カン!


……


オーレン:


「え……?」


「君……」


「今、僕を斬りそうになったよね?」

「結局……」


「剣術を教えてくれたのは、君だからな」


オーレン:


「でも……」


「君の成長速度は本当に異常だよ」


「正直……天才って呼ばれてもおかしくない」


……


「あはは……」


「さすがに褒めすぎだよ」


「俺がやったことなんて……」


「君に教えてもらったことを真似しただけだ」


……


本当は……


戦っているのは……


あの錆びたポンコツだ。


「俺は……」


「ただ錆びた鉄くずに操られている人形だ」


……


カン!


ヒュッ!


カン!


……


オーレン:


「本当に上達したね」


「あはは……」


「最初に始めた頃なんて……」


「剣を持つことすらできなかったのに」


ガイド:


《大きく振り下ろせ……後退》


ヒュッ!


……


「おい……」


「俺を馬鹿にするな」


……


オーレン:


「あはは……」


「本気で言っているよ」


「実は……君が少し羨ましいくらいだ」


ヒュッ!


カン!


……


羨ましい……?


俺を……?


……


勇者が……


モブキャラを羨ましがる?


……


ん?


……


そんな展開……


普通の物語にはないぞ。


……


勇者が羨むのは……


強者だ。


……


背景キャラじゃない。


ガイド:


《上段斬り》


ヒュッ!


……


「なあ、オーレン」


「まさか……」


「俺を可哀想だと思っているんじゃないだろうな?」


「俺は一応……モブキャラだけど……」


……


「えっと……」


「ここで……」


「まだ俺には誇りがある」


……


と言おうとした。


……


でも……


……


俺にまだ誇りなんて残っているのか?


……


くそ……


……


自分でも分からない。


……


カン!


カン!


オーレン:


「可哀想?」


「どうしてそう思うんだ?」


「僕は……」


「君は本当に面白い人間だと思っているよ」


「それに……」


「そうじゃなかったら……」


「イラリア・コンティ・グラン様が、わざわざ君をこの学院へ連れてくるはずがない」


ヒュッ!


カン!


……


「おい!」


「俺の前であのゴリラの名前を出すな!」


「あいつが俺の人生に入り込んでから……」


「何もかも悪い方向に進んでいるんだぞ!」


……


カン!


ヒュッ!


ガイド:


《半回転》


フワッ!


……


オーレン:


「えっ!?」


ガイド:


《素早く後退……反対側から攻撃》


ザンッ!


カン!


オーレン:


「あ……」


「良いフェイントだ」


「でも……」


「あのタイミングで成功させるには……」


「経験が必要だよ」


……


「あはは……」


「買いかぶりすぎだよ、友よ」


……


正直……


評価されるべきなのは……


この錆びたバケツだ。


……


自分でも驚いている。


……


ようやく役に立ったんだからな。


……


カン!


ヒュッ!


カン!


カン!


オーレン:


「そういえば……」


「この学院で気に入ったものは見つかった?」


……


ヒュッ!


カン!


……


「うーん……」


「正直に言うと……」


「面倒なことしかないな」


「本当に……」


「なんで問題の方から俺を追いかけてくるんだ?」


「静かに暮らすことって、そんなに難しいことなのか?」


ガイド:


《素早く後退》


《両手で剣を構えろ》


……


「え?」


「なんで急に指示が増えた!?」


「おい……」


「あいつ、飛び上がりすぎだろ!」


カン!


……


「痛っ……」


「今のはかなり強かったぞ、オーレン」


オーレン:


「僕の方が驚いているよ」


「君が本当に僕についてこられるなんて」


「前にも言ったけど……」


「君が羨ましい」


「でも……」


「憧れている、の方が正しいかもしれない」


……


「おい……」


「どっちの言葉も好きじゃないんだけど」


オーレン:


「僕は十年間……」


「剣を振り続けてきた」


「魔法が使えないなら……」


「剣で戦うしかない」


カン!


「もし唯一能力を持っていないなら……」


「それでも努力を続ける」


ヒュッ!


「いつか……」


「自分自身の力で手に入れるために」


カン!


カン!


「だから……」


「何年もかけて身につけるものを……」


「一ヶ月にも満たない時間で習得した君を……」


「尊敬せずにはいられないんだ」


……


カン!


カン!


ヒュッ!


ガイド:


《後退》


……


「なるほど……」


「そういう設定か」


……


「勇者は……」


「無力さを感じている」


……


「魔法なし」


……


「ユニークスキルなし」


……


「特別な力なし」


……


「……」


……


「ハーレムなし」


……


「……」


……


「それから……」


「尊厳については……」


「触れないでおこう」

「でも……」


「どうしても……彼に同情できない」


「どうやって哀れめっていうんだ……」


「いずれ世界最強になる奴を……」


「くそ……」


「このベタな展開め」


オーレン:


「ヴィン!」


……


「ん?」


「何?」


「ああ……悪い」


「聞いてなかった」


オーレン:


「君に聞きたいことがあるんだ」


「ずっと迷っていたんだけど……」


「でも……」


「もう待てないと思って」


……


「おい……」


「おい……」


「おい……」


「まさか……」


「ここでモブキャラが勇者パーティーに加入する流れじゃないだろうな?」


「くそ……」


「まだ心の準備ができていない」


「そんな悲惨な役割を生き残るためのスキルが……」


「まだ足りないんだ」


オーレン:


「ヴィン……」


「君は……」


……


「待て……」


「待て……」


「まさか……」


「俺に命を捧げろとか言わないよな!?」


オーレン:


「君は……」


「ユニークスキルを持っているのか?」


……


「え?」


……


オーレン:


「……え?」


……


「……え?」


……


「ちょっと待て」


「今……」


「ユニークスキルって言ったよな?」


オーレン:


「命を捧げる……?」


「何を言っているんだ?」


……


「あはは……」


「いや」


「何でもない」


「ただの冗談だ」


「忘れてくれ」


……


「くそ……」


「心臓が止まるかと思った」


「ついにあの展開が来たと思ったじゃないか」


オーレン:


「それより……」


「教えてくれ」


……


「ん?」


「ああ……」


「ユニークスキルのことか」


……


「さて……」


「どう答えるべきだ?」


「たぶん俺は……」


「普通より多く持っている」


……


「なあ、オーレン」


「答える前に……」


「一つ聞きたい」


オーレン:


「いいよ」


……


「一人の人間が持てるユニークスキルは……」


「最大でいくつなんだ?」


オーレン:


「うーん……」


「僕の知る限りでは……」


「二つ以上のユニークスキルを持つ人間はいない」


……


「二つだけ……?」


オーレン:


「そう」


「少なくとも……」


「世間ではそう信じられている」


……


「それはどういう意味だ?」


「俺は……」


「異常な存在なのか?」


「それとも……」


……


「勇者なのか?」


……


「あはは……」


「いやいや」


「そんなわけない」


「勇者なら……」


「目の前にいるじゃないか」


オーレン:


「でも……」


「例外は存在する」


……


「本当に!?」


オーレン:


「うん」


「聖女……」


「神々に選ばれた者……」


「そして勇者」


……


「ああ……」


「なるほど」


……


「また神か」


「この世界の話は……」


「結局いつも神に行き着く」


「分からない……」


「でも……」


「簡単には受け入れられないな」


オーレン:


「それから……」


「もう一つ存在する」


「ヴェラークスと呼ばれる集団だ」


「そのメンバーの多くは……」


「複数のユニークスキルを持っている」


……


「ヴェラークス……」


「ああ……」


「それって……」


「あの子が所属している部隊か」


オーレン:


「え!?」


「そ、そうだけど……」


「彼らはエリート部――」


「え?」


「な、何の話!?」


……


オーレン:


「な、何を言っているんだ!?」


「僕が彼女を好きだなんて……」


「一言も言ってない!」


「彼女は……」


「ただの幼馴染だ」


……


「へぇ……」


「分かりやすいな、オーレン」


……


「ははは……」


「冗談だよ」


……


「まあ……」


「本当のことはもう分かっているけどな」


「好きな女の子に追いつこうとして必死な男」


「それを何と呼ぶか……」


「俺は知っている」


オーレン:


「あ……」


「ヴィン……」


「僕をからかうのはやめてくれ」


……


「悪い」


「ははは」


……


「それで……」


「ヴェラークスの人間は……」


「一体いくつのユニークスキルを持っているんだ?」


オーレン:


「僕が知る限り……」


「最も強いメンバーは……」


「五つのユニークスキルを持っている」


「それが僕の知る最高記録だ」


「それ以上の人間がいるとは思えない」


……


「五つだけ……?」


……


「それは誰なんだ?」


オーレン:


「聖女サニヤ」


……


「聖女……」


……


ガイド:


《正解》


《サニヤと呼ばれる個体は、五つのユニークスキルを保有している》


《現在確認されている中でも、最も危険な存在の一人》


……


「くそ……」


「逃走対象リストに……」


「また一人追加だな」


オーレン:


「でも……」


「どうしてそんなことを聞くんだ?」

「いや……」


「ただ気になっただけだ」


「一人の人間が持てるユニークスキルの最大数って……」


「どれくらいなんだ?」


「それと……」


「ユニークスキルがどこから生まれるのか知っているか?」


オーレン:


「昔、本で読んだことがある」


「遠い昔……」


「ユニークスキルは最初……」


「魔法だけでは補えなかった不足を埋めるために……」


「生まれたものだって」


「でも……」


「今では、それだけが目的じゃない」


……


コツ……


コツ……


……


「本当に?」


オーレン:


「うん」


「今では、人間が持つ本来の可能性を引き出すためのものになっている」


「そして魔法と組み合わせれば……」


「人をまったく別の領域へ引き上げることもできる」


「ただ……」


「それは本当に珍しいことだ」


「ほとんどの人間は……」


「一生に一つのユニークスキルしか目覚めない」


……


「なるほど……」


「それなら……」


「少しは納得できる」


……


「それ以外に……」


「何か別の分類はあるのか?」


オーレン:


「うーん……」


「聞いたことはないな」


……


「じゃあ……」


「なぜ俺には、こんなに多くの種類がある?」


「俺は……」


「異常な存在なのか?」


「神々が……?」


……


「いや……」


「神が関係しているとは思えない」


……


「待て……」


「彼は言った」


「ユニークスキルは、魔法では補えないものを補うために存在する」


「だとしたら……」


「俺に魔力がないから……」


「こんなにも多くのスキルを得たのか?」


……


「いや……」


「それでも説明できない」


「だってオーレンですら……」


「まだユニークスキルに目覚めていない」


ガイド:


《対象ヴィンを肉体および精神面から評価》


《魂の解析に失敗》


《原因:魂情報の読み取りエラー》


……


「魂の……エラー?」


「おい……」


「そんな重大なことを……」


「まるで小さな不具合みたいに言うな」


ガイド:


《情報不足》


……


「相変わらず……」


「答えが中途半端だな」


「この錆びたポンコツめ」


……


「それにしても……」


「なぜ俺には、こんな分類が存在する?」


「アクティブスキル……」


「アドバンススキル……」


「コンバットスキル……」


「そして……」


「最後の名前は何だった?」


ガイド:


《青:オリジンスキル》


……


「ああ……」


「そうだった」


「もしこの分類自体が、この世界に存在しないなら……」


「一体どこから来た?」


ガイド:


《推測》


《対象ヴィンは、この世界の出身ではない可能性が高い》


《類似した事例は確認されている》


《ただし、発現形式には個体差が存在》


……


「本当に!?」


「くそ……」


「じゃあ、どうして最初から言わなかった!?」


ガイド:


《対象ヴィンが質問しなかったため》


……


「この錆びた鉄くずめ!」


「前にも言っただろ!」


「知っていることは全部教えろって!」


ガイド:


《……》


……


「今さら黙るな!」


オーレン:


「ヴィン……」


「ヴィン……」


「ヴィン!」


……


「ん!?」


「何だ?」


オーレン:


「君……」


「まだ答えていないよ」


「どうしてそんなことを聞くんだ?」


……


コツ……


コツ……


……


「何でもない」


「ただの興味だ」


……


まさか……


自分が複数のスキルを持っているなんて言えるわけがない。


オーレン:


「そうか……」


「じゃあ、これだけ答えてくれ」


「君は……」


「ユニークスキルを持っているのか?」


……


正直に話すのは危険だ。


……


「うん……」


「たぶん、一つ目覚めたと思う」


「痛覚適応だ」


オーレン:


「え?」


「痛覚適応?」


「どういう意味?」


……


「あはは……」


「つまり……」


「ただ痛みに慣れただけだ」


……


「くそ……」


「名前だけで心が傷つくんだけど」


オーレン:


「そんなスキル……」


「聞いたことがない」


「でも……」


「まるで……」


「苦しみから生まれたスキルみたいだね」


……


「おい……」


「それを良いことみたいに言うな」


「ぐすっ……」


「なんか傷ついた」


オーレン:


「それでも……」


「ユニークスキルを持っている方が……」


「何も持っていないよりはいいと思うよ」


「そんな目で見るな」


「痛覚適応のどこが祝福なんだよ」


「それに……」


「一番怖いのは……」


「たぶん物語は……」


「この一つのスキルだけでは終わらないことだ」


「欲張りな主人公め……」


---


ゾニック:


「ほう……」


「どうやら二人とも楽しそうだな」


……


「しまった……」


「今じゃない」


「俺にはまだ……」


……


「ああ……」


「くそ……」


「教官だ」


---


ゾニック:


「ははは……」


「すまないな」


「何か大事な話でも邪魔してしまったか?」


オーレン:


「申し訳ありません、ゾニック先生」


……


「おい……」


「俺の役割を奪うな」


「生き残るために頭を下げるのは……」


「俺の仕事だろ」


「勇者の役じゃない」


---


ゾニック:


「もし二人で話す余裕があるのなら……」


「お前たちの剣術は……」


「この授業で求められる水準を」


「すでに下回っているということだな」


「そうだろう?」


「小さなネズミ……ヴィン」


……


「分かった……」


「ここは俺の最大のスキルを使う時だ」


《土下座》


《生存スキル発動》


……


「申し訳ありません、ゾニック先生」


「俺の剣術は……」


「底辺という言葉すら届かないほど……」


「遥か下にあります」

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