キューブの形をしたスキル?
カツン……カツン……カツン……
ズリ……ズリ……
はぁ……はぁ……
ゴホッ……ゴホッ……
「こいつ……何を食ったら、こんなに重くなるんだよ……?」
「うぐっ……」
「なんで俺がこんな目に……」
「くそっ……勇者様のシナリオなんて……!」
はぁ……はぁ……
「普通こういう時って、王子様が姫を抱えて運ぶもんじゃないのか!?」
「なんで俺が運んでるんだよ!?」
「まるでまた奴隷に戻ったみたいだ……!」
……
「……封印?」
【通知】
【はい。】
「でも、どういう意味だ?」
「俺には普通に見えるんだけど……」
【回答】
【彼女の魔力に異常が発生しています。】
【しかし、対象者ハリールは魔法を使用できないため、その異常を正常な状態として認識しています。】
……
「おい……」
「今、俺のこと馬鹿にしてないか?」
「忘れるなよ。お前なんて、俺の役に立つことすらほとんどないガラクタなんだからな!」
【通知】
【いいえ……あなたの思い込みです。】
……
「は?」
「『思い込み』ってどういう意味だ?」
「役立たずじゃないって言いたいのか?」
……
「……沈黙?」
「なるほど。」
「お前自身も、自分が間違ってるって分かってるんだな。」
……
「まあいい。話を戻そう。」
「この封印は、いったい何なんだ?」
【回答】
【確定した回答はありません。】
【複数の可能性が存在します。】
……
「やっぱりな。」
「本当に必要な時に限って役に立たないんだな……」
……
「それで、この封印……解除できるのか?」
【通知】
【検索中……】
【検索中……】
【回答】
【封印の解除は可能です。】
……
「おおっ!」
「ようやく朗報だ!」
【通知】
【対象者ハリールは、封印の解除を希望しますか?】
……
「……他に選択肢があるのか?」
「もちろん、ある。」
……
「どうやら俺は、勇者様のヒロインを救う役目を任されたらしいな。」
「ふむ……」
「報酬は何だ?」
「金?」
「城?」
「使用人?」
……
「それとも……」
「モブ専用のハーレムとか?」
……
「ははははは!」
「俺は歴史上初めて、すべてを手に入れたモブになるぞ!」
……
「よし。」
「この封印の中にいる古き呪いよ……」
俺は彼女へ手を伸ばした。
「解放されろ!」
……
……
【通知】
【封印の解除に失敗しました。】
……
「……」
「ふむ……」
「どうやら、やり方を間違えたらしい。」
……
「よし。」
「二回目だ。」
……
「古き呪いよ!」
「俺が命じる!」
「ここから出ろ!」
「砕けろ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
……
……
【通知】
【封印の解除に失敗しました。】
……
「もしかして……」
「まだ解除方法を覚えてないからか?」
……
「おい、案内役。」
「何か特別な方法があるのか?」
【回答】
【対象者ハリールには、封印を解除する権限がありません。】
……
「ああ……」
「そういうことか……」
……
「……待て。」
……
「何だ?」
……
「権限がない……だと!?」
……
「ふざけるなあああああああああああああああ!!」
「俺に権限がないなら……」
「なんで最初から試させたんだよ!?」
【通知】
【私は対象者ハリールに、封印を解除する意思があるか確認しました。】
【解除できるとは言っていません。】
……
「……」
……
「なんで……」
「なんで最初にそれを言わなかったんだよ……?」
……
「なんて恥ずかしい……」
「俺、解除する力すらない封印に向かって叫んでたのかよ……」
……
「モブにだってプライドはあるんだぞ!」
【通知】
……
「黙れ!」
「もう何も言うな!」
……
「よくそれで案内役を名乗れるな。」
「普通のガラクタのほうが、まだ役に立つぞ。」
【通知】
【対象者ハリールが、彼女の身体から封印を取り除く方法が存在します。】
……
「……」
「何?」
……
「は?」
……
「今度こそ、そんな戯言を信じると思うか?」
……
「おーい、制作陣……」
「誰かこの機械をメンテナンスに送ってくれないか?」
「数少ない機能まで、通知するたびに減ってる気がするんだけど……」
【通知】
【その方法は存在します。】
……
「方法?」
「よし……」
「今回は聞いてやる。」
「だが、よく聞けよ。」
「もしまた俺を観客の前で馬鹿にするような真似をしたら……」
「お前を削除する方法を探してやる。」
【回答】
【対象者ハリールには、私を削除することができません。】
【私は対象者ハリールと恒久的に接続されています。】
……
「……」
「なんて腹立つ答えだ。」
「まあいい。」
「どうやら、お前を処分するのは思ったより難しそうだな。」
【通知】
【対象者ハリールは、現在、封印の力を10%低下させることができます。】
……
「何?」
「待て……」
「今、俺ができるって言ったのか?」
【回答】
【はい。】
【対象者ハリールは、固有スキル『黄昏の停滞』を所持しています。】
【このスキルは、あらゆるエネルギーの核を10%抑制することができます。】
……
「スキル……」
「ああっ!」
「完全に忘れてた!」
「俺、固有スキル持ってたんだった!」
「ははは……なんて恥ずかしいんだ……」
……
「くそっ!」
「俺が固有スキルを持ってたのって、いつからだ!?」
「おい、ガラクタ!」
【回答】
【はい?】
「ふざけるな。」
「俺がスキルを持っていたのは、いつからだ?」
【回答】
【対象者ハリールは、森の中でゴロウの魔物を討伐した後、複数のスキルを獲得しました。】
……
「ゴロウの魔物?」
「崖の上から落ちてきた、あれのことか?」
【回答】
【はい。】
【それ以降、対象者ハリールは、特定の条件を満たすことでスキルを獲得するようになりました。】
……
「そういうことか……」
……
「つまり俺は……」
「この最悪な旅が始まった時から、ずっとスキルを持ってたってことか?」
……
「それなのに……」
「自分に能力があることすら知らなかったのかよ!?」
【回答】
【対象者ハリールは、スキルについて質問していません。】
……
「……」
「はは……」
「ははははは……」
「なるほど。」
「でも、念のため聞いておく。」
「確か前に、お前に魔法が使えるかどうか聞いたよな?」
【回答】
【その通りです。】
【対象者ハリールには、魔法を使用できないと回答しました。】
【しかし、その質問は固有スキルに関するものではありませんでした。】
……
「なるほど。」
「原因は俺のほうだったのか。」
「なんて間抜けな抜け道だ……」
……
「くそったれ!」
「この役立たずの機械め!」
「いちいち全部聞かなきゃいけないのか!?」
……
「一度に全部説明してくれてもいいだろ!」
【通知】
【案内役は、質問された内容にのみ回答します。】
……
「……」
「神様……」
……
「俺、今までずっと……」
「自分の唯一のスキルは……」
……
「独り言を言うことだと思ってたぞ。」
……
「くそおおおおおおおおおおおおおおお!!」
……
「さて、皆さん……」
「長くなるので、この辺にしておこう。」
「ははは……」
「ちょっとだけ、俺と案内役の間で長い話し合いがあったんだ。」
……
「別に、スキルを持ってることなんて重要じゃない……」
……
「まあ……」
「たぶん、かなり重要だけどな。」
……
「この話は一旦飛ばそう。」
【通知】
【対象者ハリールのスキルを表示する方法があります。】
……
「何?」
「なんで最初から言わなかったんだよ?」
【通知】
【対象者ハリールが要求していなかったためです。】
……
「……」
「もう何も聞きたくない。」
「お前、本当に俺の怒りを煽るのが上手いな。」
【通知】
【対象者ハリールがスキルを確認する場合、次の言葉を発してください。】
【『展開』。】
……
「よし。」
「少なくとも、自分が何を隠し持っていたのか見てみよう。」
「展開。」
……
「……」
「おおお……」
「なんだ、これ……?」
……
「糸が……」
「何本も重なって……」
「おおっ!」
……
「これ……キューブなのか?」
「待て……」
「このキューブ、動いてるぞ?」
カチッ……
「上に……」
カチッ……
「今度は横……」
カチッ……
「下にも……」
……
「間違いない……」
「これ、完全にルービックキューブじゃないか。」
「しかも、ちゃんと色まである。」
「でも……」
「この色はいったい何を意味してるんだ?」
【回答】
【それぞれの色は、異なるスキルの分類と、その機能を表しています。】
……
「なるほど……」
……
「説明は簡単だったけど……」
「全然分からない。」
……
「……待て。」
「スキル!?」
……
「俺に特殊スキルがあるのか!?」
「俺に!?」
……
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ついに来たあああああああ!!」
「聞いたか!?」
「俺の人生が、ついに変わるぞ!」
……
「感情を抑えられない!」
「うおおおおおお!!」
……
ゴホッ……ゴホッ……
「うぐっ……」
「よし……」
「ちょっと興奮しすぎたか。」
……
【通知】
【対象者ハリールは、固有スキル『黄昏の停滞』を選択してください。彼女の状態が悪化しています。】
……
「あっ!」
「そうだった!」
「完全に忘れてた!」
……
「待て……」
「キューブに触れる必要があるのか?」
「それとも、スキル名を言うだけでいいのか?」
【回答】
【対象者ハリールは対象に手を向け、その後『黄昏の停滞』と発声してください。】
……
「なるほど。」
……
「よし……」
「始めよう。」
「黄昏の停滞。」
……
カチッ……
……
「ん?」
「黄色のところで止まった?」
……
「今、何が起きてるんだ?」
……
「これは……」
「封印の核なのか?」
【回答】
【はい。】
……
「つまり、こいつが彼女の回復を邪魔してるのか……」
……
「変だな……」
「こんなものが見えるなんて、思ってもいなかった。」
……
【回答】
【封印の力を10%低下させました。】
……
「たった10%?」
……
「まあ……」
「何もないよりはマシか。」
……
「さて……」
「ここから出ないとな。」




