第六十八話 「故郷」
30分ほど投稿が遅れて申し訳ございませんでした。
今俺たちがいるのは聖ロース帝国の帝都であるグラッツだ。
エリーナを家に帰し、俺たちはついさっき、俺を裏切ってどこかの売人に売り飛ばしたジーカをぶち殺したところだ。
「ふぅ~すっきりした~」
「俺もだぜグレイス。無茶苦茶気持ちよかった」
と俺たちが話しているとクロノアが
「そろそろ出発しませんか?グレイス様の故郷のマルカー地方に」
「そうですね。出発しましょう。夜明けだしちょうどいい」
と言い俺たちは馬車に乗り俺の故郷であるマルカー地方に向かって走り出した。
1日がたった。俺がいた2年ほど前よりも道が整備されているおかげか、すぐに着くことができた。
あたりは夜であまり遠くまで見えないが、それでも俺の故郷だと一目見て分かる。
「グレイス様の家はどちらにあるのでしょうか?」
「もうすぐでつくと思うよ。見たらわかる。」
とクロノアに答えると俺の視界に俺の家が入った。いつもと変わらぬ雰囲気で窓から生活の光が漏れている
「あっ。あれだ!」
と俺は俺の家を見つけて大きな声で言った。
クロノアが馬車を止めると俺は急いで外に出た。
懐かしさに浸っていると俺の家のドアがゆっくりと開き
「誰ですか?」
と俺の父であるダレンが顔を出してきた。俺たちの姿を見るなり
「わぁ!!」
と腰を抜かして倒れてしまった。(何やってんだこいつ…)と思ったが、仕方がないのかもしれない。なぜなら、マティミエス国の魔族のシビルと吸血鬼である、カーミラとリリス、人間とエルフのハーフである、クロノア、剣士のラングそして、吸血鬼になってしまった俺。
こんな俺たちが夜に扉を開けて目の前に現れたら腰を抜かすに決まっている。
ダレンの声を聞きつけたナンシーは俺たちの姿を見るなり
「きゃぁ!!」
と声を出してその場に倒れてしまった。すると、ラングが
「あの~怪しいものじゃないんで。大丈夫ですか?」
と二人に手を差し伸べた。
二人が落ち着くと
「グレイスなのか…。行方不明になったと聞いて今度こそ死んだと思っていたのに…生きていたなんて!!」
と泣き出してしまった。俺が二人を落ち着かせ、俺たちは家の中に入った。
「さぁどうぞ皆さん座って」
とダレン案内され、俺たちはソファーに座り話をすることになった。
6人もソファーに座るとギチギチで今にもソファーがつぶれそうだった。
「あんたもっと端に行きなさいよ!」
「お姉様のほうが広く座ってるじゃない!」
とカーミラとリリスが喧嘩をしていたが、
「まぁまぁ。お嬢様、妹様私が立つので喧嘩をしないでください」
とクロノアは席を立った。そして、俺はすべてのことの経緯を話した。
話し終えると、ダレンが
「そうだったのか…。まさかヴァルデリア大陸に行っていたなんて…。よく生きてたなぁ」
と感心された。
「まぁ。生きてただけよかったわ。吸血鬼になっても息子は息子よ」
と俺はナンシーにぎゅっと抱きしめられた。2年ぶりの母の温かみを感じた。
「で。皆さんはこれからどうするんです?」
とナンシーが言うと
「えっと、母さん。ラングだけはここに住んでいいかな?」
と俺はナンシーに頼み込んだ。
「それぐらいいいわよ。ねぇあなた?」
「うん。もちろんだよ。息子とここまで旅をしてきたんだ。もう息子みたいなものだよ」
とラングは住むことになった。
すると、ナンシーはカーミラたちのほうを見て
「えっと、あなたたちはどこに住むのかしら?」
と聞くと
「この辺りに住みますわ。ねぇクロノア」
「はい。あと、3時間ほどで夜明けなので急いで取り掛かりましょう」
とすぐに家を建てる気だった。そんな話を聞いて俺は
「大丈夫?」
と聞くと
「私は1000年以上生きた吸血鬼よ。家を出すくらい簡単よ」
と言って外に行ってしまった。俺は大丈夫か?と思いつつ疲れていたので俺とラングはすぐに寝ることにした。
俺が起きるともう夕方だった。吸血鬼の俺にとって日の出ている時間は屋外で行動できない。
(あと2時間で夜ってとこだな)と俺が自室から出ると、ラングが俺の妹のマレンナと仲よく遊んでいた。
「おっ!?起きたのか。グレイス」
マレンナと会うのも2年ぶりだ。
「マレンナ元気にしてたか?」
と聞くと
「うん!お兄ちゃん」
と答えた。マレンナ喋れるのか!?と感嘆していると
「あら。グレイスじゃない。起きたのね。夕食はあと少しでできるから待っててね」
と言われ。俺はラングとマレンナと3人で遊びながら待っていると、すぐに夕食の時間になった。
「今日は久しぶりにいっぱい作ったわよ!いっぱいお食べ!」
とテーブルには一面大量の料理が並べられていた。2年ぶりのナンシーの手作り料理に俺は涙を流しながら食べた。
俺たちが食べ終えるとちょうど外は暗くなっていった。
「ラング。そういえば、カーミラたちは?」
と聞くと
「カーミラたちはなんか巨大な屋敷を立ててたぜ」
と言われ俺はラングとその屋敷に見に行った。
俺が外に出ると、俺の家の前の畑があった場所に真っ赤なオーラを放つ屋敷が建っていた。
「はぇ~すっげぇ」
と俺が声を漏らすとクロノアが現れ
「グレイス様。どうぞ入ってください」
と言われ屋敷に案内された。
内装はヴァンパ国のときの屋敷と全く変わっていなかった。部屋に案内されると、
「あら。グレイス来てくれたのね。うれしいわ」
「なんの用なんだ?」
と言うと
「何もないわよ。ただ、あなたの向かいの家の主としてあいさつしたかっただけよ。何もないなら出て行ってちょうだい」
と追い出されてしまった。
(やっぱり。カーミラって分からないな)
と俺はそのまま家に帰った。
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