第五十八話 「8ヶ月の旅」
ヴァルデリア国に入ってから8ヶ月が経った。
俺たちはこの8ヶ月間1度も馬車から出ずに生活している。もう少しでヴァルデリア帝国帝都ヴァルッツに着くところだ。
しかし、俺はこの8ヶ月の馬車生活に疲れを感じている。
この馬車にはベッドもあるため、身体は疲れていないが8ヶ月も同じ空間で過ごすと精神的に疲れてくる。
それに、この馬車には1人になれるプライベートの空間がシャワー室しかなく、シャワーは2日に1回しか使えない。
もう、みんな体臭が臭くて仕方がない。しかも、唯一のプライベート空間であるシャワー室はなんと1回3分しか使えない。
それでは、俺がシャワーをしてオナる時間がほぼない。なので、俺はある秘策を思いついた。
それは、『浄化』で体を一瞬で浄化させて残った数分で45る方法だ。
この方法を使ってから俺はとても清潔になり、みんなから清潔と言われるようになった。
気持ちくなれて、清潔と言われるまさに、一石二鳥だ。
それと、俺はカーミラによって吸血鬼にされた。
この世界の吸血鬼は日に当たっても多少は大丈夫とクロノアが言っていたように、馬車の窓から日に当たると確かに肌が、すこし焦げただけだった。
俺が慌てて日陰に戻ると肌はすぐに再生した。
(漫画やアニメのように一瞬で灰になるわけではないんだな)
と俺は少し安心した。
さらに、吸血鬼になったか魔力や体力も向上しているような気がする。
吸血鬼になった8か月経ったが、ほとんど魔術は使っていないため、魔力が増えているのかどうか確かめようがない。
だが、吸血鬼カーミラや吸血鬼リリスと戦ってみた感じとしてはきっと非常に多い魔力量を持っていることは確かだ。
と考えていると、馬車が急に止まった。
俺は(ついに来たか)と思い窓を見ると、外はもう真っ暗で窓の外には100m以上はありそうな大きさの壁があった。
「これが…ヴァルデリア帝国の帝都…」
と驚きのあまり声が出なかった。
「はい。この都市は世界一の人口であり、多くの魔族が住んでおります」
とクロノアが言うと
「クロノア。検問でしょ。早くいってきなさい」
「はっ!?ありがとうございます、お嬢様」
と言って急いで馬車の外へ出た。すると、ラングが
「これがヴァルッツか。でかすぎだろ…」
「ええ。だってこの壁は3000年前の魔族十国時代に建てられただからよ」
とカーミラが言ってきた。俺は魔族というものが分からずに聞いてみると
「1万年前から3000年くらいまでの7000年間このヴァルデリア大陸が10国に分かれて統一を目指して争っていた時代のことよ。そして、3000年前に弱小国と呼ばれていた国の王子として生まれた魔帝ヴァルデリアがほかの国を倒して大陸を統一したの」
とカーミラの説明にうなずいていると
「けど、なんでこんなに大きな壁が建てられたんだ?」
とラングが聞くと
「3000年前は有史以来最も強いと呼ばれた魔族が多いの。例えば、放った矢はどこへでも届き大山をも貫くとされている弓神のアルテ、数万年先の未来を知るとされている大賢者アテーナ、大陸をも真っ二つにするとされている剣神のアーレスとかのほぼ神みたいな力を持っている魔族が各国にごろごろいた時代だったの。だから、当時は少しでも被害を抑えようと大きな壁を築いていったてわけよ」
と話した。俺たちがふーんと頷いているとエリーナが
「へぇ~。すごいわねグレイス。でっ?今は?」
と珍しくエリーナが話してきた。
「いまはほとんどが戦いに負けて戦死したり、寿命で死んだり、行方不明になったりといろいろね。」
「ふーん。つまんないな~」
と言って去っていった。
ここ最近エリーナはこの旅のストレスからか、まったく俺たちと話さなくなくなっていたところだったのだが、話してきてくれて一安心した。
ちなみに、シビルは元気なんだが、ずっと寝ている。
俺たちが話し終えるとクロノアが戻ってきて
「今から入れるそうです」
と言って馬車が動いた。ここに着いたということはあと数か月で聖マーロ帝国に着くということだ。
楽しみ過ぎて夜しか眠れなくなってしまっている。
キャラクター紹介
【ラング・ノクス】
種族:人
性別:男
魔術:中級魔術まで(詠唱あり)
剣術等:剣術のみ最上級。その他は不明
年齢:17歳
身長:180㎝
外見:薄い青髪。普通にイケメン
幼いころに両親が他界しており、路地で暮らしていた。剣の腕は路地で追いはぎしていたころに身に着けた。ヴァルデリア大陸に飛ばされたからはグレイスなどの仲間がいてこの生活を幸せに感じている。性格は本人曰くさわやかイケメンな性格らしい。
※58話時点
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