第四十話「ラング捜索」
夜が明けて俺はすぐにラングを探しに行った。
俺と一緒に流れていったはずだから、この辺にいるはずなのだが…もしや死んだのでは...。いや、そんなことはないはずだ。あのイケメンでスタイリッシュなラングが死ぬはずない。
だが、その可能性は少しあるように思えてきた。なぜならここは魔物がうじゃうじゃいる荒野だ。俺だってもし、魔物に襲われたら命が助かる保証はない。
おれはそんなことはないと信じ、3時間がたった。
もう、数キロ分は歩いた。これで見るからないのではやはり死んだのではないか…と疑い始めていたその時どこからかコヨーテの唸り声が聞こえた。
俺はその声が聞こえた場所に『聖風竜巻』で向かうと、そこのはラングの姿があった。服がぼろぼろで上裸のラングがいた。間違いないラングだ。だが、ラングは俺に気が付いていないようだった。
俺はラングがいつ気づくのか?と疑問に思い、そのまま立ってみていることにした。ラングの二刀流のナイフさばきは鋭く素早い。そんな刃をくらったコヨーテたちは一瞬で輪切りになってしまった。
コヨーテの群れすべて倒し終えるとラングがそのコヨーテの肉を何個か持ってこちらに向かってきた。やっと、ラングも俺の存在に気付いた。すると手に持っていた肉をすべて放り投げて俺のほうに走ってきた。
「大丈夫だったか?」
「あっうん。大丈夫だよ。ラングも大丈夫?」
「あ~まぁ大丈夫だ」
と大丈夫なようだった。ふぅ。一安心だ。だが、まだ安心できないエリーナはまだどこにいるのかもわからないし上官やダッチさんも無事かどうかわからない。ダッチさんらが無事でいることも願わねば。
俺はラングにコヨーテの皮をあつめて作った服を着せた。裁縫系魔術はまだうまくできないのだが、さすがに上裸よりかはマシだろう。
俺たちはラングの狩ってくれたコヨーテの肉を焼いて食べた。やはりコヨーテの肉はいつ食べても堅い。食えなくはないが、筋肉で堅くぱさぱさしている。
肉を食い終わると俺はラングと一緒に『聖風竜巻』で街の方へと飛んだ。ラングは飛ぶのは初めてなようで。興奮気味に
「すげぇ~」
と何度も目を輝かせながら言っていた。やはり剣士だけあって体幹はすごい良いようで、体勢を崩さずに俺よりもスムーズに飛べていた。
街方が見えてくるとやはり、敵軍に占拠されていた。だが、街から離れたところで何やら100人くらい団体が街から離れた方向へ向かって行っているのが見えた。俺たちはそちらに向かって方向転換した。
少し近づくとあちらも俺たちの存在に気がついてようで手を振ってきた。その中に手を振っていなかったが周りの者たちとは違う赤髮の少女が見えた。きっと、あれがエリーナに違いない。俺達はそこに向かって急降下して着陸するとそこには長官やダッチさん、エリーナもいた。するとダッチさんが寄ってきて
「君たち。知っていると思うが我が国話負けてしまった…すまない…。兵もここにいる100名ほどだけだ。私たちはこれからどこか遠くで村を作ってそこに住もうと考えてているのだが、君たちも一緒に住まないか?もし、一緒に住んだくれるのなら心強いのだが?」
と言ってきた。やはり負けていたか...と落胆するとダッチさんの後ろからエリーナが
「いやよ!そんなの。お母さまやお父さまに会いたい!」
と言って泣き出してしまった。するとラングが
「まだ負けていません。まだ、100人もいるじゃないですか!私もこのまま逃げたくはありません。もし、このまま逃げるくらいなら敵軍に突っ込んで死んだほうがましです。一緒にやりましょう」
ときっぱりと放った。その言葉に兵でダッチさんや兵士たちも感動したのか。
「そうだな。よしっ!明日わが国を取り戻しに行くぞ!」
とダッチさんが叫んだ。その声にラングや兵士たちが
「「おう!」」
と大きく叫んだ。
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