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【1周年】転生伝記 ~異世界転生した男の人生~  作者: がりうむ
アルマダ山脈編

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第二十一話 「ジュエリードラゴン」

宝石聖竜(ジュエリードラゴン)』が吹雪の中から姿を現すと同時に、

その口からキラキラと輝くブレスが放たれた。


「――っ!」


ブレスの範囲は、あまりにも広い。

俺たちは間一髪で回避したが、直撃した大岩は、キラキラと光を放ちながら、瞬時にマグマのようにドロドロと溶け落ちていった。

その光景を目の当たりにしたいくつかのパーティーは、悲鳴を上げながら一斉にふもとの方へと逃げ出していく。

残ったのは俺たちのパーティーを含め、わずか3パーティーだけだった。


「来るぞっ!」


俺たちは急いで臨戦態勢に入る。

俺は前方に『聖水壁(ウォーターウォール)』を展開したが、直後に放たれたブレスによって、大量の水はキラキラと光りながら一瞬で蒸発してしまった。

ギャバスやミラも剣や弓で応戦しているが、まるで効いている様子がない。

その時、ランスターが冷静に言った。


「『宝石聖竜(ジュエリードラゴン)』の鱗は、一般魔術じゃ硬すぎて傷一つ入らん。一点集中で叩けば何とかなるかもしれない」


何とかなるってなんだよ。

とりあえず、俺は、一点集中の魔術を考えた。

そう思いながらも、俺は必死で一点集中の魔術を考える。

散々学んできたはずなのに、極限状態では何も思い浮かばない。


「ああ…くそっ!思い浮かばない…。俺の今までの魔術の練習って何だったんだ?」


そんな中、ギャバスが『宝石聖竜(ジュエリードラゴン)』の左腕へと斬り込んでいた。

ごくわずかだが、確かに傷がついている。


「……今しかない!」


俺は無理やり頭の中から引きずり出すように魔術を思い出した。


「『聖水竜巻(ウォータートルネード)』!」


当たる範囲さえ調整すれば、超高火力の一点集中攻撃となる魔術。


放たれた聖水の竜巻は、『宝石聖竜(ジュエリードラゴン)』の左腕を捉えそのまま、吹き飛ばした。


ガルゥ!!


左腕を失ったドラゴンは激怒し、口に莫大な魔力を溜め始める。

白く、キラキラと輝くそのエネルギーは、まるで巨大な真珠のようだった。

次の瞬間、それが一気にブレスとして放たれる。


その反動で、撃った本人である『宝石聖竜(ジュエリードラゴン)』でさえ、10mは後方へと弾き飛ばされた。

俺たちは事前に避けていたため、ブレスは地面へと直撃する。

半径20m以上の底が見えないほど深い、大穴が穿たれていた。


「……あ……」


恐怖が、理性を超えた。

俺は、失禁していた。

やばい…。やばすぎる…。

周囲を見れば、多くの人間が同じように恐怖に支配され、動けずにいた。


だが、その中で、ランスターだけが、微動だにせず『宝石聖竜ジュエリードラゴン』を見ていた。

次の瞬間、ドラゴンは最も近くにいた別パーティーの魔術師へと大口を開けて迫る。

魔術師は慌てて炎属性の攻撃を放ったが、

それは一切『宝石聖竜ジュエリードラゴン』には効かず、体をねじるように引き裂かれ、殺された。

さらにその死体を踏み潰し、ドラゴンは低いうなり声を上げる。

ガルゥ!!

まるで、殺しを楽しんでいるかのようだった。

その光景を見て、ランスターが怒りを滲ませて言った。


「……貴様は、何人殺した?」


「その罪には――永遠の罰が必要だ」


その声に反応したのか『宝石聖竜(ジュエリードラゴン)』はランスターの方を向き、ブレスを吐こうとエネルギーを溜め始めた。

誰もが、ランスターの死を確信したその時。


「……撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだ」


「殺すだけの存在は死んで当然だ」


「さあ、死を味わえ」


ランスターの杖の先から、黒紫色の禍々しい何かが放たれる。

同時に、『宝石聖竜ジュエリードラゴン』のブレスも放たれた。

二つが衝突した瞬間、周囲は黒煙に包まれる。

……やがて、煙が晴れた。


俺が最初に見たのは頭部がぐちゃぐちゃになった『宝石聖竜(ジュエリードラゴン)』が見えた。

ランスターは小声で


「お前は俺を怒らせた」


そう、小さく呟いた。



俺たちは急いで『宝石聖竜(ジュエリードラゴン)』の死骸のところに行き、骨や鱗を夢中で集めた。

俺達は急いでふもとのキャンプ場に帰ると大きな歓声とともに多くの人に祝ってもらえた。

ふもとのキャンプ場へ戻ると、待っていたかのように歓声が上がった。


「やったのか!?」

「本当に倒したのか!」


無数の声に囲まれながら、俺たちはようやく実感する。

ギルドの査定結果は、俺たちの人生を根底から変えるものだった。 『氷結聖竜』の素材が1万マーラ。 そして、『宝石聖竜』の鱗と骨は1000万マーラというとんでもない数字を叩き出した。


「本当ですか!?」


「ええ。これはとても貴重なものです」


ギルドの職員は笑顔でそう言った。

ランスターに分け前の500万マーラを差し出した時、彼は言った。


「500万? そんなものは俺には必要ない、お前にやる。さっさと借金を返せ。……もう5年だ。早く家族に会いたいだろ?」


その背中に、俺は何度も頭を下げた。

早く神聖マーロ帝国に帰って家族に会いたいな。

俺たちはグリバッツ国の王都に戻る馬車に乗った。

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