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六十八話 消えた二人です!

 二人は俺のことを何も言わずに見つめている。しまった。俺のことは兵士に見えているんだ。このまま攻撃されてもおかしくない。


「……いつの間にいたんですか!」


「そうですよ! めちゃくちゃ探し回ったのに。」


おお! よかった。もうちゃんと俺の姿で見えているようだ。マナ王妃の計らいは、いい方に転がりもしたが、随分と苦労させられた。


 後ろを振り返っても、城の入り口はがらんとしている。兵士たちはみんな追ってこれないらしい。


「聞きたいことは何個かあるし、君たちにも俺に聞きたいことがあるだろうけど、とにかくみんな無事でよかったよ。」


 俺たちは、山を降りて下の街へと向かった。


「ーそれで、カティーヌは王女さまと消えちゃった。」


「愛の逃避行ってやつですかね。」


「それは別にいいんですけどね。私たちを巻き込んだ責任をとってもらわなくちゃ。このままだと私たち閉じ込められちゃいますよ。元の場所へ帰る方法が分からないんだから。」


次の目標はすでに定まっている。


 どこかへと消えてしまったカティーヌとリリィ王女を探すことだ。彼らを見つけなければ、こんな知らない国で俺たちは何もすることができない。


 何より、彼らの無事を祈るマナ王妃の伝言を彼らに伝えなければならない。


「どこにいるか、見当はついているんですか?」


「まったく。」


「そんなんでどうやって探すんですか?」


「でもあのひ弱そうな王女さまを連れていたからな。この短い間にそう遠くへは行っていないだろう。少なくともこの城下町のどこかにはいるだろうな。」


「ざっくりしてますね……。」


文句を言われたところで、どうしようも無い。知らないものは知らないのだ。あの野郎、突然何も言い残すことなく飛び出して行ってしまったから、本当に手がかりがないのだ。


 俺たちは、まっすぐ伸びている一本道から、引き返すように下の町へと降りていく。


「追っ手はすぐに来るでしょうから、急ぎましょう。」


「そうですよ。さっきのした連中の他にも警備兵なんて山ほどいるんですから。」


これが本来の盗賊というものなのだろうが、ハードすぎる。走らされっぱなしじゃないか。人の目から隠れることがいかに大変なことか。


 ここからは、さらに広くはなるが、かえって隠れやすい。建物がそこら中に建っている上に人混みに隠れることができる。


 町へと走っている間に、俺の知らない二人の城の中での出来事を聞いた。


「ああ、ええとですね。いろいろあったんですけど。」


「ほんと大変でしたよ。トルクさんがあんな入り方したせいで、私がトルクさんを見つけた時にはすでに敵に囲まれてましたもん。」


「で、どうやって切り抜けたのさ。」


「ぶっ飛ばしましたよ。」


やっぱりパワープレイしか知らないみたいだな。


 「でも、そしたら余計に敵を集めちゃったらしくて、二人そろってすたこらさっさと逃げましたよ。」


俺と同じような展開になってるじゃないか。


「でもミヤビちゃんの足が速すぎて、僕が完全に足手まといでしたよ。」


「仕方ないですよ。私は杖で、トルクさんはハンマーですから。重いものもって盗賊やるなんて、今更ながらに無理がありますよね。」


本当今更だな。


 「それとですね。もう一つ不便だったのが、『隠密』がなぜか使えなくなっていたんですよ。」


そうだったな。俺だけじゃなかったんだ。


「そうなんですよ! ロータスさんは使えました?」


「いや、俺もダメだった。」


俺に問題があったわけではなく、やっぱりあの城に特殊な仕掛けがあったようだ。


 謎の仕掛けに苦しめられたのは三人共通だったようだ。


「そのせいでまた見つかって、そこから頑張って逃げて……。」


「結局物陰に隠れながらやり過ごすっていうね。大変でしたよほんと。」


「そんなこと言いながらミヤビちゃん、隠れた部屋にたまたまあった宝箱を見つけて中身を持って来ちゃってるんですよ。」


ほう、それは興味があるな。


 ミヤビは得意げだった。


「ロータスさん、私の持ち物一覧見てもらえますか?」


「ああうん。」


言われて走りながらにミヤビの持ち物を見ると、みたことがないものが確かに一つあった。


「『???』! なにこれ?」


「そうなんですよ! 見た目は完全にドレスだったんですけどね。名前が表示されないんですよね。凄いものだとは思うんですけど。めっちゃ豪華な箱に入ってたから。」


名前さえ分からない装備品ってのは初めてだ。効果が分からないってのはあるけど。


 というか、城から物を奪ってくるなんて、盗賊らしいことやってるじゃないか。この中だと一番盗賊に向いているよな。




 下り坂だったので、下りるときはそんなに時間はかからなかった。チラホラと一般民も見かける。


「さて、カティーヌたちを探さなきゃ。」


「どうやって手がかりを見つけ出すんですか?」


「私は手がかりといえば聞き込みってイメージがありますかね。」


「盗賊が聞き込みしたらまずいだろ。自分たちが見つかっちゃうよ。」


「じゃあどうするんですか?」


「盗賊が隠れそうなところを探すんだよ。俺たちだって盗賊だろ?」





 

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