表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

最後は一気にご都合主義で

最終話です。


一の君は外から見ると鬱蒼うっそうとした森に入っていきます。

しかし不思議ながら、一の君が森の中を進むとそれに合わせ複雑に絡み合う茨の蔓がスルスルと解け道を開けていくのです。


不気味です。誘い込まれているようで、嫌な予感しかしません。


どれ程進んだ頃でしょうか、森の中に突然お城が現れました。


一の君は茨に導かれるように迷うことなくお城の中を進みその一室の前にたどり着きました。


扉を開けると、そこは幾重にも薄布が張られた天蓋てんがい寝台しんだいがあるだけの部屋でした。


その部屋は文献が確かであれば200年ほどの前から訪れるものがなかったはずの王女の寝室ではないかと思われました。


王子は部屋を進み寝台へと近づきます。

寝台の薄布を持ち上げるとそこには15・16歳くらいの小柄な少女が横たわっていました。


一の君はとりあえず少女に声をかけたり、揺り起こしてみたりしましたが一向に起きる気配は有りません。


そこで文献にあった通り一応少女に口付けてみることにしました。


一の君は少女に軽く触れるだけの口付けを落とします。


するとどうでしょう。


先ほどまで起こそうとしてもピクリとも起きなかった少女の瞼がピクリと動き、目を開けました。


寝ていた少女は、目の前にいた一の君に驚いたのか目を真ん丸にして尋ねました。


「あなたはだれですか?

わたくしの侍女たちは何処へいったのでしょうか?」


王女は一の君が触れていることに気付くと一の君を睨みながら言いました。


「無礼者!

わたくしはあなたがわたくしに触れる事を許した覚えは有りません。」



一の君は言います。


「ここは、ローズロード国私はこの国の国王の第一王子です。

あなたは、ロードリアの王女でよろしいのでしょうか?」


「はい、わたくしはロードリア国・国王の子オーロです。

・・・・ここはローズロード国などではなく、ロードリア国のわたくし部屋ですわ。

おかしなことおっしゃらないでくださいませ。」


王女様はからかわれたと思われたのか若干怒りながら言いました。


続けて、一の君が言います。


「オーロ王女には申し訳ないが姫の国ロードリアはすでに無い。

200年程前に無くなった。

今はそこから3国に別れてこの辺りを統治している。

その中の一つがローズロードだ。」


王女は大きな目をさらに見開いて驚いていました。


何も言わなくなった王女の手を引き一の君は城の外へ向かいます。

するとどうでしょう、城に入るまでは鬱蒼とした茨の茂みがあった森が消えています。


王子はつないであった馬で王女と一緒に父王の待つ城へ向かいました。


途中王女は見たことのない器具・設備・200年間で変わってしまった景観をただただ眺めていました。


城の広間にてオーロと名乗った王女さまはローズロード国の王様に会いました。


そこで、様々な質問をし、何かに納得すると王女様はハラハラと涙をこぼし言いました。


「なぜ、私を起こしましたの?

私は、あのままあそこで寝ていた方が幸せだった・・・

・・・お父様、・・・お母様。」


そういって泣く少女の顔があっと言う間に少女から女性へ、女性からおばあさんへと年を取っていきます。


そしてとうとうその場で泣き崩れるたと思うと息絶えてしまいました。


ただ人の身では200年という時を超えることが出来なかったのでしょう。


こうして魔女の呪いは成就されました。

オーロ王女は16歳で100年間の眠りにつき、起こす者がないが為に更に100年を眠って過ごし、国を守り、国を愛す王子様の口付けで目覚め、16歳であって16歳ではないまま死んでいきました。


オーロ王女の亡骸は丁寧に埋葬されました。


そして一の君は、後味の悪い思いを抱えて王位につくことが決まりました。


一の君が王位を継ぐことが決まり暫くしてから二の君と三の君も難題の旅から無事に帰ってきました。


結果はともかく一の君は危険な旅に出た2人の無事を涙ながらに喜んだと伝わっています。


帰国した2人は不帰森が無くなっていることにとても驚きました。

もちろん2人だけではなく、隣国2国でも大騒ぎになりました。


一の君をはじめ、ローズロード国の外交官たちは何があったのかを隣国に伝え、その経緯の中、一の君は隣国、リアノーチェの第2王女オーロラ姫を妃に迎え父王の後を継ぎ王様になりました。


二の君は軍を掌握、三の君は外交を担当し三兄弟でこのローズロード国を更なる発展へと導きました。


即位当初、3国をまとめ上げるのではないかと思わえていた、一の君はいたずらに起こし、泣かせて、死なせてしまった経験からか、国民が無駄に傷つくことを厭い、良く国を治めた賢王として歴史にその名を残しました。


また、一の君がリアノーチェ国のオーロラ姫を娶ったことに関して、自分が起こし不幸にしてしまったオーロ姫と名前が似ていたからだとか、オーロ姫とオーロラ姫は容姿が似ていたからとか言われていますが今となっては確かめるすべは有りません。



この王子たち三人統治の更に100年ほど後、ローズロードが三国を再び一つの国としてまとめ上げたのはまた別のお話です。



Fin


拙い作品お読みいただきありがとうございました。

少ないとはいえ、1日1話で最後までかけて良かったです。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

感想・評価・コメントなどいただけると嬉しいですし、励みになります。

よろしければお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ