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残る赤目の一人が自分の住んでいる市内にいることが判った。
しかも、自分が通っている高校の関係者であることが濃厚で、学校内で黒目が出始めている。
高校の中になると、通っている俺が対応するしかない。正直、めんどくさい。
判る範囲で感染者を確認し、学校の外で何かあれば、叔父達に治療を依頼することにした。
新しく出てきた黒目は、女子ばかりだった。赤目は男で間違いないだろう。
男は女を好み、女は男を好むことが多い。無差別な奴も結構多いが…。俺としても口を当てるなら野郎の首よりは、女の子の首の方がいい。
感染した人はまず、エサとなる人を探す。本人は自覚なく、女であれば自分だけの男、いわゆる「恋人」を探し始める。飢えがひどくなければ、人としての自分の好みも反映させるだろう。恋愛の手練れであれば、自分の言うことを聞いてくれる者を誘惑し、とっとと捕食して次を探すこともある。
とかく、感染者を増やすわけには行かない。発症した時点ですぐに治療薬を打ち込むために、偽の恋人になって、発症を待つ。
感染者はさほど時間を置かず、二人になりたがった。早ければ付き合い始めたその日のうちだ。甘えた素振りで接触が多くなり、微笑みながらすり寄って首に手を回してくるとそのまま首筋を狙ってかぶりつく。立派な犬歯が変異の証拠だ。
頭を押さえ、額に治療薬を打ち込む。
その効き目のすごさには、いつもながら驚かされる。
かわいい女子高生が、妖艶な恋人に変わり、そして凶悪な怪物になって襲いかかってきたかと思うと、普通の人間に戻る。いつもながら、その豹変ぶりにはあきれる。
治療薬を使った人間の血は、正直言って、まずい。ヴァンピールに合わない成分があるんだろう。だからと言って、毒があるわけじゃない。足りていない時は、我慢して少し頂戴する。けど…
「…うえっ」
思わず声に出た。まずいなら飲まなきゃいいんだが、健康なエサを手に入れることができないうちに次の感染者の対応しないといけなくなることが多い。そして、その対応には一族の力を使わなければいけない。血が足りないのはこっちも一緒だ。
赤目の貪欲さが目につく。下手したら人に戻れなくなる。その前に、何とかしなければ。




