148、自爆!!
148、自爆!!
蓄電池の微細な振動と、じわじわとした温かさが不気味に伝わってくる。
無数の蓄電池がでたらめに接続された上に、墜落の衝撃であちこち損傷、短絡しているので、魔人オカマが何もしなくても発火する運命だったのだ。
そしてダメ押しの過充電。大爆発は必至だ。
「くそっ、このままやったら全滅やで……何とかリーちゃん達だけでも……」
「しっかりしろ! 今助けてやるからな! 離せコノヤロ」
「ワーッ、おっちゃん離れて! ……こいつ自爆する気なんや……そんなので殴ったら速攻で爆発するわーっ」
みんなを助けようと、拾った棒っ切れで殴りかかってきたおっちゃんをレジャズベは、慌てて制止した。
おっちゃんは持っていた棒っ切れを地面に叩きつけ、悔しそうな顔で拳を握りしめた。
「ギャハッハー、ざまあみろ! 派手に弾けてやるギャ!」
「ク、クッソーどうすりゃいいんだ」
「ベフッ! ベフベフ……ベフ! 何やて?」
ベフが吠えて、シッポコードをシュルシュル伸ばし始めた。ベフの言っていることはジャブ君にしか分からないが、ベフが何をしようとしているのかみんなはすぐに分かった。
「マーキングベフ? どこに飛ぶつもりなの?」
「ワープしてもみんな一緒やん、おっちゃんは別として」
「ベフベフ(やったことないけどやってみる)ワン」
ベフは伸ばしたシッポコードをオカマの体に絡め始めた。いつもならシッポで作った輪っかに体をシュッと通すのだが、今日はいつもとやり方が違う。
「アオーーン!」
「えっ? わわっ」
ドサッ
「いてて……あれ? 出られたぞ。おーい大丈夫か?」
「うん、大丈夫、あれ? オカマは、レイちゃんは?」
「どこに行ったのかしら」
ベフの遠吠えと共に魔人オカマが消え、どういう訳かリーちゃん姉妹とサンシャインスリーは、その場に放り出されるように解放された。
5人は首を傾げ、あたりを見まわした。
「何をしたのか俺には分からんが、俺とお前らを助けるためにアイツをどこかに連れていったんじゃないか?」
「えーっそんな、どこよ、どこに行ったの?」
「おれに聞かれてもなぁ、とにかくフッと消えてしまったんだよ」
初めてマーキングベフを見るおっちゃんには分かるはずがない。マーキングベフはベフがマーキングした場所にオシッコをかけたりした人や物を瞬間移動する魔法だ。
今回ベフは、リーちゃん達をシッポコードの輪の中に入れないように、シッポをうまく取り回し、瞬間移動した。
そう、リーちゃん達が爆発に巻き込まないよう場所を変えたのだ。
マーキングベフはベフが行ったことのある場所にしか瞬間移動できない。その中で爆発の被害が一番少ないところ、と言えば?
「ここは……学校か、校舎がないから一瞬どこか分からんかったわ」
ベフちゃんが移動先に選んだのは小学校。その校舎の裏側にある「絶壁」とみんなが呼んでいる石の記念碑の横だ。校舎はリーちゃんが投げてしまったので裏側という感じでは無くなったが。
「ここなら爆発しても大丈夫やろ……よっしゃ! 一気に片付けるで」
「クソッ、ならば……」
魔人オカマは悔しそうに舌打ちをし、そしてなぜか、拘束していた髪の毛状のものをひっこめ、レジャズベとダイトコを解放した。
突然、自由になり、ポカンとする二人の周りで、大量の蓄電池がバラバラと崩れ落ちた。そのうち何個かは火花を散らし、火を噴きあちらこちらで小さな爆発を起こした。
「なんや、自爆はやめか……電池もこれやったらもう使いもんにならへんな……オカマはどこー? この中に隠れてるのー?……クンクン、ベホッ、ゲホッ」
ベフの鼻を効かせ、魔人オカマを探してみるが蓄電池の焦げた匂いが強くよく分からない。暗闇に紛れて逃げてしまったのか? というかタマシール単独で動けるのか?
何にしても自爆する覚悟でいたヤツだ、何をするか分からない。二人は警戒しながら魔人オカマのタマシールを探した。
と、その時、ダイトコがレジャズベの横顔を見て不思議そうに言った。
「おい、レジャズベの、お前そんなところにホクロあったか?」
「何言ってんねん、冷蔵庫にホクロなんかあるわけないやろ」
「だよなぁ……じゃその黒いのは、えっ! まさか」
「あ、めっかっちゃたギャ」
何と、魔人オカマは、レジャズベらの拘束を解いたとき、どさくさに紛れてレジャズベの体に潜んでいたのだ。
魔人オカマのタマシールは小馬鹿にしたようにくるっと回り、レジャズベちゃんにペタッと張り付いた。
「グッ! ガ、ガ……」
魔人オカマのタマシールは、レジャズベにダークパワーが注入し始めた。苦悶の表情を浮かべ、ガクッと膝をつくレジャズベ。
このままではレイちゃん達4つの魂はダークパワーに染まってしまい、「大魔神オカマ」に、もしくはそれを拒絶して大爆発してしまうかだ。
5つの魂の爆発となると、その威力は相当なもの。この町くらいは余裕で吹っ飛んでしまうだろう。
「おいおい、冗談じゃねえぜ、サイクロンバキューム!」
ダイトコは吸い込み口を魔人オカマのタマシールにあてがい、必死に吸引するがタマシールはびくともしない。
そんな大変な事になっているとは知る由もないリーちゃん達。どうしようか話し合っている中、サンヨーが何か思いついた。
「おい香織、カミテレコンを使えばレイちゃんらを呼び戻せるんじゃないか?」
「あ、それいけるかも。サンヨーにしてはいい考えね」
「ボタンの色も緑だし、魔人オカマをやっつけたのよ」
「そうだな、ぼくらもダイさんとトコちゃんを呼んでみるよ」
き、君たち、それはちょっとヤバいのでは?




