シーズン2 【外伝1】白石結衣の秘められた決意
『没落貴族から大企業の御曹司に転生した俺、前世の知識と裏工作で裏金(年22億円)を稼ぎつつ、冷徹な婚約者を捨てて純愛を掴み取る』シーズン2・外伝第1話をお届けいたします!
本編では年50億円規模の暗黒資金を操る「最強のオペレーター」として覚醒した結衣。
外伝第1話では、そんな彼女が晃のために裏社会の暗号ネットワークを泥臭く管理する健気な姿と、深まる二人の甘く深い夜のやり取りを描きます。
二人が共有する「誰にも引き裂けない暗黒の絆」と、晃様の甘い意地悪に翻弄される結衣ちゃんの可愛さをどうぞお楽しみください!
晃が裏社会のネットワークを駆使し、巨額の資金を動かしていることを知る者はごくわずかだ。そして、その核心部でシステムを運用し、彼の「影」として完璧なサポートをこなしているのが白石結衣だった。
隠れ家マンションの書斎。青白いマルチモニターの光が、結衣の美しい横顔を照らしている。
画面に並ぶのは、暗号化された無数の口座データと、政財界の裏情報を交わす専用ネットワークのアクセスログ。年間22億円——いや、ブラックウェル財団との戦いを経て今や50億円規模へと膨れ上がった暗黒資金の「管理キー」が、彼女の華奢な指先に委ねられていた。
「よし……暗号キーの更新、完了」
結衣は小さく息を吐き、キーボードから手を離した。
かつて、親の作った膨大な借金に追われ、絶望の縁にいた自分。そんな自分を救い出し、温かな居場所と「生きる意味」を与えてくれたのが一条晃だった。
『結衣、お前がいるからこそ、俺は無敵なんだ』
晃がかけてくれた言葉を思い出すだけで、胸の奥が熱くなり、頬が自然とゆるむ。
(晃様は、ご自分のことを『冷酷な暗黒の覇者』とおっしゃるけれど……本当は誰よりも優しくて、温かいお方)
前世で裏切りに遭い、すべてを失ったという晃。彼が二度と傷つかないよう、二度と誰にも脅かされないよう、自分はこの命をかけて晃様の「盾」であり「剣」になろうと心に誓っていた。
「結衣、まだ起きていたのか?」
背後から低く心地よい声が聞こえ、結衣はハッと振り向いた。シルクのガウンを羽織った晃が、ドアのフレームに寄りかかり、優しく目を細めて立っていた。
「あ、晃様……! はい、明日の資金ルートの暗号化処理を念のためチェックしておりまして……」
「頑張り屋なのは良いことだが、夜更かしは体に毒だぞ」
晃は歩み寄ると、椅子に座る結衣の肩を後ろからそっと抱きすくめた。彼の体温と、ほのかに香る柑橘系の香りが結衣を包み込む。
「晃様……あ、あの、私……少しでも晃様のお役に立ちたくて……」
「もう十分すぎるほど役に立ってくれている。お前のオペレーションがなければ、俺はブラックウェル財団の刺客を返り討ちにすることなどできなかった」
晃は結衣の耳元で囁くと、愛おしそうに彼女の頬に唇を寄せた。結衣は顔を真っ赤にしながら、キュッと首をすくめる。
「それにしても……こうして二人きりで画面を眺めていると、出会った頃を思い出すな」
「出会った頃……ですか?」
「ああ。怯えた目で俺を見つめていたお前が、今では世界規模の闇ファンドをハッキングで返り討ちにする最強のパートナーだ。……頼もしくもあり、少し寂しくもある」
「寂しい……ですか?」
結衣が不思議そうに見上げると、晃は不敵に、そしてどこか甘やかに微笑んだ。
「俺の手の中だけで守られていた頃のお前も、可愛かったからな」
「あ……晃様ったら……っ!」
意地悪な言葉に真っ赤になる結衣の手を、晃は包み込むように握りしめた。
「結衣。お前が俺のために戦ってくれるのは嬉しいが、無理だけは絶対にするな。お前の安全と笑顔こそが、俺が稼ぎ出す50億円の資金よりも価値があるんだからな」
「……はい、晃様。私も……晃様のお側にいられるだけで、世界で一番幸せです」
結衣は椅子から立ち上がると、愛する男の胸へと自ら飛び込んだ。晃はそれをしっかりと受け止め、力強く抱きしめる。
表の世界がどれほど穏やかに回っていようと、二人が共有する暗黒の絆と純粋な愛は、誰にも引き裂くことなどできない。
深夜の書斎で、二人は静かに唇を重ね合わせた。
外伝第1話をお読みいただき、ありがとうございました!
出会った頃の怯えていた結衣ちゃんを思い出しつつ、今や世界規模の闇ファンドをハッキングで退ける最高のパートナーとなった彼女を愛おしむ晃様。二人の信頼関係の深まりが感じられる甘い一幕となりました。
どれほど膨大な暗黒資金よりも「結衣の安全と笑顔」を優先する晃様のスパダリっぷりは、外伝でも健在です!
次回、【外伝2】「西園寺エリザの落日」。
晃と結衣をバカにし、全てを失った元婚約者の惨めすぎる「その後」をお届けします! どうぞお楽しみに!




