シーズン2 第9話:偽りの査察と、閃光の反撃
『没落貴族から大企業の御曹司に転生した俺、前世の知識と裏工作で裏金(年22億円)を稼ぎつつ、冷徹な婚約者を捨てて純愛を掴み取る』シーズン2、第9話をお届けいたします!
一条グループ本社ビルへ突入した偽査察団と、影で迫る物理的暗殺の危機。絶体絶命と思われた状況の中、結衣の超絶オペレーションによって捏造データの証拠が暴かれ、立場は一瞬で逆転します。
「頼りない御曹司」の仮面を脱ぎ捨て、前世譲りの暗黒ガジェットで刺客を瞬殺する晃の圧巻の暗躍劇!
そして、父すらも戦慄させた圧倒的な手腕で「社会的抹殺」と「直接襲撃」の二重包囲網を完全に粉砕する、爽快度100%の反撃回をどうぞお楽しみください!
雨が打ちつける一条グループ本社ビル。
最上階の役員会議室には、重苦しい静寂が満ちていた。テーブルの端では、俺の父である一条家当主が苦虫を噛み潰したような顔で沈黙し、その向かいには「欧州監査機構」を名乗る三人の男たちが座っていた。
中央に座る男——査察団長のハインツが、白手袋を嵌めた手で書類を叩いた。
「一条会長。提出された西園寺グループとの取引データには、重大な『使途不明金』の記載が存在します。我々はこの事実を直ちに金融庁、ならびに国際報道機関へ公表せざるを得ません」
「な……そんな馬鹿な! 我が社は規律に従って清廉に……!」
父が声を荒立てるが、ハインツは冷酷な笑みを浮かべるだけだった。
彼らは本物の査察官などではない。ブラックウェル財団が抱える「表の工作員」だ。捏造した不正データを突きつけ、一条グループの株価を暴落させた上で、財団が会社を安値で買い叩く——それが奴らのシナリオだった。
その時、重厚な会議室のドアが静かに開いた。
「おやおや、随分と威勢のいい言いがかりですね」
全員の視線が一斉に注がれる。俺——一条晃は、濡れた折りたたみ傘を手に、優雅な足取りで室内へと歩み入った。
「晃……! お前、なぜここに……!?」
狼狽する父を制し、俺はハインツの真正面へと立ち、ソファーに深く腰掛けた。あえて「頼りない御曹司」の笑みを浮かべてみせる。
「君が一条晃か。噂通りの出来損ないのようだな。大人の話し合いの場だ、失せろ」
ハインツが蔑むように吐き捨てた。だが、俺は胸ポケットからスマートフォンを取り出し、テーブルの上に置いた。
「ハインツさん。君たちが提示したその『不正データ』……タイムスタンプの暗号署名が、三日前にスイスのダミーサーバーで人工的に作成されたものであると判明していますよ?」
「な……ッ!?」
ハインツの顔色が微かに変わる。
スマホのスピーカーから、クリアな結衣の声が室内に響き渡った。
『こちらオペレーションルーム。欧州金融査察機構の本部データベースへ直接照会を完了しました。ハインツ氏を含む三名の査察官IDは存在せず、すべてブラックウェル財団傘下のペーパーカンパニーによって購入された「偽造身分」であることを確認。ただいま、警視庁捜査二課および金融庁へ通報データを送信いたしました』
完璧なチェックメイト。
結衣の手によって、奴らの仕掛けた「社会的抹殺」のシナリオは、一瞬で捏造犯罪の証拠へと化けたのだ。
「バ、化け物め……!!」
ハインツは叫ぶと同時に、懐からサイレンサー付きの小型ピストルを引き抜こうとした。表の手が潰された以上、物理的な暗殺へと切り替えたのだ。
「晃、危ない!!」
父が悲鳴を上げる。だが——
(遅い)
前世の修羅場を潜り抜けてきた俺の知覚からすれば、ハインツの動作は止まっているも同然だった。
俺はジャケットの内ポケットから万年筆型の麻痺針発射器を抜き放ち、迷わずトリガーを引いた。
パシュッ、と微かな圧縮空気の音が響く。
「くあッ……!?」
ハインツの首筋に超小型の針が深々と刺さる。強力な筋弛緩剤が注ぎ込まれ、ハインツは目を見開いたまま、ガンッとテーブルに顔面を打ち付けて崩れ落ちた。
残る二人の工作員が慌てて構えようとするが、俺の合図とともに会議室の隠し扉から裏の私兵たちが雪崩れ込み、一瞬で圧殺・拘束した。
静寂が戻った会議室で、俺は呆然と立ち尽くす父に向かって、穏やかに微笑みかけた。
「父さん、掃除は終わりましたよ。あとは警察に引き渡すだけです」
「あ……晃……お前は……一体……!?」
実の息子が見せたあまりにも冷酷で完璧な暗黒の手腕に、父は恐怖すら交じった眼差しで俺を見つめていた。だが、俺は追及を遮るように身を翻した。
「俺には、待っている人がいますので。これで失礼します」
降りしきる雨が上がり、夜空に綺麗な月が覗いていた。
隠れ家マンションの部屋に戻ると、玄関で結衣が必死にこらえていた涙を溢れさせながら、俺の胸へと飛び込んできた。
「晃様……! 無事で……無事で良かったです……!!」
「ただいま、結衣。お前の作ってくれた証拠のおかげで、完璧な勝利だったよ」
俺は彼女の華奢な身体を抱きしめ、愛おしさを込めてその髪に唇を寄せた。
「晃様……もう私、生きた心地がしませんでした……」
「すまない。だが、これでブラックウェル財団の国内拠点は全滅だ。奴らは二度とこの国で好き勝手はできない」
結衣は俺の胸に顔を埋めたまま、静かに、だが力強く頷いた。
年22億円の裏金ネットワークと前世の暗黒知略。そして、何よりも尊い最愛の存在との純愛。
巨大な闇の脅威を退け、俺たちはついに、誰にも脅かされない「真の支配と自由」を手に入れたのだ。
俺は結衣を抱き上げ、静かな寝室へと歩みを進めた。月光に照らされた俺の口元には、どこまでも不敵な、王者の微笑みが浮かんでいた。
第9話をお読みいただき、ありがとうございました!
結衣ちゃんが突きつけたタイムスタンプ偽造の動かぬ証拠と、晃様の万年筆型麻痺針による一瞬の刺客撃破! 表と裏の両面から迫る脅威を完璧な連携で叩き潰す、二人の無敵ぶりが炸裂した最高のクライマックスとなりました。
あまりの冷酷さと手際の見事さに、実のお父様すら引きつっていたのが印象的でしたね(笑)。
ブラックウェル財団の国内拠点を壊滅させ、すべてを解決した晃様が向かうのは、もちろん大好きな結衣ちゃんのもと。雨上がりの月光の下で深まり合う二人の甘い純愛に、胸が熱くなった方も多いのではないでしょうか。
「晃様の無双っぷりがカッコ良すぎる!」「結衣ちゃんとの最高のハッピーエンド!」「スカッとして最高に気持ちいい話だった!」と思っていただけましたら、ぜひ評価やブックマーク、感想などで応援していただけますと大変励みになります!
次回、第10話「暗黒の覇者と、甘やかな誓い(シーズン2最終話)」。
巨額の裏金を手にした晃と、結衣が手に入れる最高に幸せな未来とは——!? シーズン2の感動のグランドフィナーレをどうぞお楽しみに!




