098話 5月23日#09
起きたらそこは、見慣れない部屋の中だった。
「……何、ここ?」
暗くて狭い部屋の中に、俺はいた。
自由に動けはするのだが、部屋には1つしか扉がなく、しかも鍵がかかっていて出られない。
ふと足元を見ると、仲間たちが折り重なるようにして眠っていた。
「みんなー!起きろー!」
俺はレイ、テン、ソラの3人を叩き起こした。レイを起こすのはめちゃくちゃ大変だった。
「……やっぱり、こういうことが起きるんだねー」
「何か暗い……地下?」
「困ったな……本が取り出せん」
3人が言うには、魔法の類が全く使えないらしい。
ちなみに、俺の剣と、テンの銃と帽子も取り上げられていた。
「……で、どうする?」
「リアとピエール33世がいないのは、何か意味があるのか……?」
「……忘れられた……?」
「……本がないとヒマだ」
俺たちが悩んでいると、突然部屋の中央が明るくなった。
そして現れたのはデーンさん……の映像?
どうも、天井に取り付けられた水晶玉みたいな姿形の機械が映しているらしい。デーンさんに触ろうとしても、手に光が当たるだけで触った感触はない。
『やあ、君たち!こんにちは!』
「「「こんにちはー」」」
――素直だな、お前ら。
『さっそくだけど、ここでちょっとゲームをしよう』
「……ヒマつぶし?」
――物は言いようだな。
『これは、いわゆる『脱出ゲーム』だよ!そこから出て、最上階の私の部屋まで来ること!……でないと、君たちの大事な武器と魔法を返してあげないよー』
「……ひでえな」俺は思わずつぶやいた。「あの剣手に入れるのに、いくら稼いだと思ってんだ」
『ちなみに、スリルを味わうために、命をかけて遊んでもらうからねー!』
「たかがゲームに、命をかけたくないね!」
――テンの言う通りだ。
『というわけで、早速、その部屋から脱出してもらうよ!……ルールは簡単!毒ガスが充満していくから、なるべく早く外に出てね!扉に鍵かかってるけど!……では、Good Luck!』
「……ベタだけど、面倒なことしてくれるな」俺は他のメンバーの方を振り返った。「どうする?」
「めんどーだから、ここで死にたい……」
「いきなり棄権かよ!?」
――気を取り直して。
「うーん……」ソラが考え込んでいた。「毒ガス、どこから……?」
「確かに、それは問題だね」テンは周囲を見渡した。「どこかに発生する機械か何かがあるはずだけど……」
そこで俺たちの視線が、天井の水晶玉みたいな機械に移った。
「……アレか」
「アレだね」
「……壊す……?」
「それは、やめた方がいいと思うよ?」
「……じゃあ、どうする……?」
「うーん……」
「とりあえず、先に外に出る方法を探すか」
俺とテンは扉に近づいた。
「これは鉄の扉だし、道具で鍵を開けることもできなさそうだね」テンは、扉を調べてそう言った。
「そもそも鍵穴がねえよな」俺は腕を組んだ。「こっち側からは開かないんじゃね?」
「でも、これは『脱出ゲーム』……」ソラはつぶやいた。「開かなかったら、ゲームにならない……」
「……確かに」
「とにかく、探そう!」テンは、上着のポケットの中をごそごそ探り出した。「……こういう時に役に立つのは……ジャジャーン!!」
「それは……?」
「電池式の小型ライト!」テンは俺に、棒状の道具を手渡した。「魔力がいらない便利グッズ!君たちに1つずつ貸してあげる!」
「お前はどうするんだ……?」
「レイさんと一緒に、毒ガスを止める方法を探してみる!」
――ウィンクをして、余裕そうだな。
「何か……変な臭いが……」
「ガスの臭いだね」
「……時間がねえってことか」
俺は後ろを振り返った。
「レイ!早くやる気を出せ!」
「うーん……めんどーだから、爆破すれば?」
「お前、魔法が使えねえんだろ!?」
「……じゃあ、死ぬ」
――こっちはこっちで、かなり骨が折れそうだな。




