080話 5月22日#07
待った!!これ!!マジで死ぬやつ!!!!
――今までにも何回か『落下』したことはあったが、ここまで怖い思いをしたことはなかった。
「ああああああああああ!!!!」
――しかも、長い!地面が見えない!!どんどん加速する!!!
「きゃあああああああ!!!!」
リアが必死に俺にしがみついてくるが、たぶんあんまり意味ない。てか、しがみつかないほうが、空気抵抗で落下速度が下がると思う。
そんなことを考えたかどうかすらもわからないうちに、あっという間に雲との距離が近くなった。
「ぐええええええええ!!!!死ぬ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
――あれ?落下速度が下がった??何で???
そう思っているうちに、俺の体はピタリと落ちなくなった。
「れ、レイ〜〜〜〜…………」何が起こったのか悟って、俺は力が抜けた。「ありがと〜〜〜〜〜………………」
すると、俺の上着から何かが落ちた――リアだ。
それを優しく受け止める手を見つけて、俺は顔を上げた。
――レイが、首を傾げている。
「そんなに叫んで……何か怖いものでもあったのか?」
「怖いに決まってんじゃん!何十メートル落ちたと思ってるんだ!!」
息が苦しい。心臓がバクバクする。今の状態でも十分死にそうだ。
「私は別に怖くなかったけど……」
「お前は飛べるからな!!!」
はあはあはあはあはあ……………………
はあはあはあはあ………………
はあはあはあ…………
はあはあ……
はー……
「少しは落ち着いたか?」
「…………うん」俺は涙目で答えた。
「まあ、高度がそんなに高くなかったからな。息も普通にできるだろ?」
「…………うん」
「やはり、神様助ける方が先かなと思ったんだが……怖かったならすまん」
「…………うん」
何にも、他の言葉を口から出すことができなかったが、言えたなら「『すまん』で済ますな!」と言いたいところだった。
「とりあえず地面に下りるが、」レイは、額に手を当ててきょろきょろした。「んー、ドラゴンは遠くへ行ったみたいだな。私の『インフェルノ』が効いたんだろうか……?」
「分析は、まず地面に下りてからにしてください…………」
俺は、心からそう思った。
その後、俺たちは無事に地面に下り立つことができた――いや、ウソだ。俺は地面に這いつくばっていた。
「よかった…………普通に通り抜けられる雲で………………」
「……まあ、『乱層雲』だからな。そんなに激しい感じのじゃない」レイは、どこまでも冷静だ。「『フュルフュール』が作った『積乱雲』がまだ残ってたら、私たち全員死んでたな」
「そういう話……今、止めてもらえます……?」
『と、とりあえず助かりましたが……』月の神|(幼虫)は、地面にゴロンと転がっていた。『ワタクシたち、今どこにいるんですか……?』
「…………知らん」
「いや、『知らん』じゃなくて……」
『乱層雲』は、しとしととした雨をもたらします。
『積乱雲』は、大雨・強風・落雷などを引き起こします。一番危ないやつです。




