123話 5月25日#09
俺たちは、ピエール33世を感動させた後、一緒にヴィクトリアの街を散歩していた。途中で食料や武器|(テンの銃弾)や、その他道具類|(主に、テンの蜘蛛の巣とか害虫駆除剤みたいな小道具)を買い足し、現在はちょっとした散歩コースみたいな道を歩いていた。
時々、道端の草むらでのんびりしている人の前を通り過ぎたり、ジョギングしている人や犬を連れている人とすれ違ったりしながら歩いていると、前から見覚えのある人がやって来た。
「……モルガン?」
「貴様らか」モルガンは目を細くした。「何だ?我に何か用があるのか?」
「別に用はないよ。たまたま同じところにいるだけで」
テンがそう説明すると、モルガンが「あ、そ……」と言って、俺たちの前を通り過ぎようとした。
「……あ。レジェンダリ」
「何だ?」モルガンはめんどくさそうにレイの方に顔を向けた。
「何で『黄金の林檎』が欲しいんだ?」
「……わかりきったことを言うんじゃない。レジェンダリが力を求めるのは当たり前だ」
モルガンは少しいらついているようだ。
「そうか……」レイは頷いた。「なら、ウィルゴに再戦する気はあるんだな?」
「……何が言いたい?」
「再戦するなら、私が手伝う」
「「「「…………はあ!?」」」」
俺とテン、リア、モルガンの声がハモった。
『え……何でそんなことをお考えに……?』
ピエール33世も戸惑っていた。
「カイトは「味方は多い方がいい」と言った」レイは真剣にモルガンを見つめた。「だから、モルガンの力を解放する手伝いをする」
「ふざけたことを!」モルガンはレイを睨んだ。「だいたい、何で我が貴様の手伝いを受けねばならないのだ!?」
「じゃなきゃ、いつまで経ってもウィルゴには勝てないぞ」レイはぴっと人差し指を突き立てた。「さっきの戦いを見ていたが、あれはどう足掻いても勝てる要素はない」
「「「見てたんだ……」」」
俺たちのつぶやきは無視された。
「私たちは味方が欲しい。だから、ウィルゴとの勝負に勝てたら、仲間になってくれると嬉しい」
「つまり、貴様が我の手助けをしてやる代わりに、我が貴様らを手助けすると……貴様、我を侮辱する気か!?」
モルガンは、本気で怒り始めたようだ。
だが、レイは涼しげな顔をしている。
「ここにいる月の神に恩を売っとけば、ご利益あるぞ」
「『月の神』……?」
『え、えへっ』ピエール33世はピンク色に光った。『ワタクシ、実は神なんです!』
「私たちは、この月の神のために旅をしている。だから、私たちの味方になれば、月の神に貢献できる」
――横で俺が聞いてても、めちゃくちゃな論法だ。
当然、モルガンはぷいっとそっぽを向いた。
「……誇り高きレジェンダリは、例え神が相手でも、恩を売ったりしない」
「昔はそれでよかったかもしれないけど、今の世の中は月の神と太陽の神が創ったものだ。だから、これからもレジェンダリが生き残っていくためには、神様を敬うのは必須だと思うけど?」
「意味がわからない。我の邪魔をするな」
モルガンは、スタスタとどこかへ去っていった。




