116話 5月25日#02
たどり着いた先にあったのは、なんと学校だった。
「な、何で……?」
「ウィルゴ……この学校の校長先生……」
「え……」
ひと口に『学校』と言ってもいろいろあると思うが、ここにある学校は、かなり小規模なものだった。校舎は1つ、あとは講堂か体育館みたいなのが1つあるだけだ。
――そんな小さな学校とはいえ、校長先生が星霊使いなのか?『校長』というからには、わりと年配の人なのだろうか……?
そう思った矢先、
「……ずいぶん若い校長だな」と、レイがつぶやいた。
「『若い』?」
「星霊使いはほぼ同世代の子どもの中から選ばれるから、どんなに年長でも20代前半ぐらいの人のはずだ」
「ウィルゴは……たしか22……」ソラは振り返って言った。「ここは、普通の『学校』に行けない子どものための特別な学校……ここだけじゃなくて、他の街にもある……」
「普通の『学校』ねえ……」テンは、何か思うところがあるのか、いつもよりも真剣な顔をしていた。
「障害がある子とか……『学校』に居場所がなくなった子とか……」
――理由は異なるが、俺も普通の子どもが行く『学校』には通っていない。孤児院で文字の読み書きなど初歩的な勉強をした後、すぐに剣士の専門学校へ入った。
だから、今の話が他人事のようには思えなかった。
――しかしモルガンは、予想どおりだが、そういうことには興味がないようだった。
「そんなことはどうでもいい。それより早く、ウィルゴを呼べ」
切り捨てるように、ソラにそう命令した。
「……講堂で待ってる……」ソラは顔を強張らせた。「こっち……あれが講堂……」
講堂の中は椅子も机もなく、壇上に1人の女性が立っているだけだった。緑色の長い髪はきれいで、顔立ちもかなりの美人だが、灰色がかった青色の目は鋭く光り、モルガンをまっすぐ見ていた。
服は、青と白を基調とした独特のデザインだった。何だか異国の聖職者みたいだ。
それなのに、両手に2本の小斧を握っていて物騒だった。正直こんな先生がいたら、子どもたちは怖くて学校に通えなくなりそうだ。
「……来たんだな、モルガン」女性は静かな声で言った。
「そうだ」モルガンは女性を睨み返した。「約束は、覚えているな?」
「『私と戦って勝ったら『鍵』を渡す』だったな」
「ああ、そうだ……約束は、守れ」
「心配しなくても、ここに『鍵』は用意してある」
女性がそう言うと、壇上に突然植物の蔓のようなものが生えてきた。蔓は棘だらけで、その棘に引っ掛けるようにして小さな古い封筒がくっついている。
「……それをもらおう」
「……私に勝ったら、な」




