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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
バッカス編

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107/129

107話 5月24日#01

 翌朝。


 どこかへ姿を消していたテンが、俺たちが朝飯を食べている間にふらりと戻ってきた。今日の朝刊を手にしていた。



 「言うまでもないことだけど、昨日の騒動が一面記事に載ってるよ」


 「どんなふうに書いてあるの?」


 「そうだねえ……」テンはざっと紙面を眺めた。「大きく分けると、『ウグイロン』のことと、『カジノの火事』についてかな」


 「「「あ……」」」



 ――そういえば、カジノの1階を、ほぼ全焼させたまま放置していた。



 「……まあ、あのカジノについては、あんまり大きな問題はないみたいだね。領主がケガをしたくらいで」


 「そ、そうか……」



 ――それなら、まあ、いっか。



 「問題は……ドラゴンの方かな」



 テンは次のページをめくった。



 「さすがに僕たち、目立ちすぎちゃったからねえ」


 「え?」


 「『ドラゴンを倒した人』の性別とか見た目の特徴とか、いろいろ書いてあるよ……」


 「………………」


 「……さっさと逃げるぞ」



 レイはそう言って立ち上がった。



 「でも、わざわざ桟橋まで歩いて船に乗ろうとするのは、見つかるリスクが高いわね」



 リアの言うことはもっともだ。



 「じゃあ……」


 『このまま別の街に移動しますか?』


 「……そういえば思ってたんだが、」俺は首を傾げた。「ピエール号で直接ヴィクトリアへ行くのはダメなのか?」


 『ムリです』ピエール号はきっぱりと言った。『ワタクシ、実は飛行できる高度がそんなに高くなくてですね……間にある山脈が越えられないんです』


 「だったら、海の上を行けば……」


 『たぶん目立ちますね』



 ピエール号はため息をついた。



 『普通の飛空艇|(軍艦を除く)は、海の上や海の近くを飛ぶのが難しいんです。理由を説明するのは難しいんですけど……』


 「……じゃあ、海の近くを通ると、『普通の飛空艇』じゃないってバレるってこと?」


 『はい。巨大ドラゴンを倒すのと同じくらい目立つことになります』


 「それは……避けたほうがいいかもね」



 そうつぶやくと、テンは新聞を閉じて、裏面の記事を見つめた。



 『ここから西は山が多いので、どうしても谷筋の森の上を移動することになりますが……』


 「谷筋の森……嫌な予感がする」


 『そうですよねー。モンスターの宝庫ですもんねー』


 「でも……他には方法、なさそう……?」 


 「……いや、あるよ」



 テンはそう言うと、テーブルの真ん中に新聞を広げた。



 「今の話、西の方を進むってことでしょ?……僕は逆に、東へ進んだほうがいいと思うよ」


 「……ヴィクトリアが西にあるのに?」



 みんなで首を傾げていると、テンは新聞の下の方を指さした。



 「これ、イェリナで運行している定期船全部の航行スケジュールなんだけど、『トリトン』って街からヴィクトリアへ直行する便がある」


 「トリトン?」


 「ここの東にある小さな街。人気のある景勝地だよ」



 その言葉を聞きながら、俺はガイドブックのページを探した。



 「おお、ホントだ。『漁業と観光業が盛んな街』……湖もあるんだな」


 「うん」テンはテーブルに手をついて、身を乗り出した。「ここから東の方はほぼ乾燥地帯で見晴らしがいいから、逆にモンスターに襲われにくいと思うんだけど」


 『確かにそっち方面の方が、行くのは楽かもしれませんね』


 「じゃあ、そうする?」俺は他のメンバーを見回した。


 「まあ、森の中突っ切って、昨日一昨日みたいなことをまた体験するより、ずっといいわよね」


 「目立ちにくいなら……それがいい……」


 「じゃあ、そうするか!」レイはそう言って、謎の方向を指さした。「朝のうちにさっさと『トリトン』へ出発するぞ!」


 「そっちは南西方向だね……」テンは苦笑いしていた。


 『決まりましたね!』ピエール号がガタンと動いた。『テンさん、方向の指示をお願いします!』


 「りょーかい!」テンは、テーブルの上のパンを2つ手に取った。「じゃあ僕、船長室行ってくるから!」


 「楽しそうだな……」



 俺はぼんやりとテンの後ろ姿を見送りながら、「また面倒事が起こらないといいけどな……」と心の中で思った。

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