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元海軍少尉の受付嬢  作者: 影光
二章 狩場へ
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迎撃準備

 今から80年前、戦争があった。

 モンスターが今よりもはるかに多かった時代。

 当時のランデル国はハンターに代わるモンスターへの新戦力として、火砲を中心とした兵器開発に力を入れていた。

 艦載砲は水平線の彼方まで弾を飛ばすようになり、野戦砲は自らの足で大地を走るようになった。

 これらの兵器はモンスターと人との在り方を大きく変え、畏怖する存在から利益を得る手段の一つとなった。

 しかし人の欲と愚かさは果てしなく、強大な軍事力を持て余した国家は大陸統一を目指して諸外国に宣戦を布告。

 5年8カ月に及ぶアルガーノ戦役が幕を開けた。

 アルガーノ戦記 序章


「......」

 本を閉じてトラックから降りると、置かれた積荷をハンターたちと協力してミギナ山地に建造された要塞に運び込む。

 対竜重機関銃とその弾薬等は相当な重量があるのだが、さすがはハンターと言うべきか、片手で軽々と持ち上げる。

 私も牽引式の野戦砲を2人がかりで動かす。

 モンスター相手に造られただけあってとても重く、岩などをどかしながらゆっくりと要塞へと運ぶ。

 先の大戦で築かれたコンクリート製のトーチカの扉を開ければ、山を掘って造られた地下要塞の通路が視界に入る。

 山そのものの要塞化を目指して建造したものらしく、ミギナ山地のあちこちに続いているそうだ。

「A地点の準備、完了したであります」

 火砲と機関銃の設置及び弾薬の用意が完了したことをパトラ大佐に敬礼して伝える。

「確認する」

 自らの足を動かしてトーチカを確認するパトラ。

 トーチカの窓から覗く重機関銃や野戦砲や弾薬、万が一の時の医療品などがしっかりと用意されていることをきちんと確認する。

「ご苦労、アンカー射出装置の設置に取り掛かれ」

「は!」

 大佐の言葉に反射的に海軍時代の癖が出る。

「ティレルと言ったか?君はもしかして海軍出身か?」

 先程からしていた、手のひらを見せないようにする敬礼の仕方に反応するパトラ。

「は、第一海軍第三撃龍艦隊第ニ水雷戦隊に少尉として所属しておりました」

「そうか、少尉ともあろうものがなぜここにいるのかは置いておくとして、携行式対竜砲の使い方はわかるか?」

「はい、陸戦訓練で何度か使用したかとがあります」

「それは頼もしい。ならば君にそれを一つ与える。

 草陰に隠れて奇襲で翼を狙いうて」

「承知しましたであります」

 携行式対竜砲を背負い、大佐の期待に敬礼を返す。

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