集結
午前10時。
ミギナ山地陸軍基地に本作戦に従事するメンバーが集まる。
ここに来て日の浅いサクラや竜人のクリカラを始めとするロウレン支部に所属する大勢のハンター。
上級モンスターとの戦いとあってか近隣のギルドからも増援が送られており、ここでは珍しい人狼族のハンターの姿も見かける。
「ティレルさん、これをお願いできますか?」
「任せてください」
カレンに頼まれたのは使い捨てタイプの携行式対竜砲の搬送。
一撃離脱の奇襲戦術の下に設計された代物であり、一発しか撃てない代わりに製造コストを抑えることができ、数をそろえることも容易だ。
陸軍の兵士と協力して基地に置かれていた代物をトラックに積み込むと、装填する弾頭の詰められた箱も荷台に移動する。
「いやーさすがは陸軍、こんなのまで用意するなんて」
携行式対竜砲に感嘆するカレン。
ランドファング程度の中型ならば一撃で撃破可能な兵器であるが、素材目当ての商業狩猟を主とするハンターズギルドでは当然ながらこれを扱う機会がほとんど無い。
「ティレルさんは、これを使ったことは?」
「訓練で何度かあります」
「試しに構えてもらっても?」
カレンのリクエストに応え、陸軍士官の許可の上で装填されていないそれを試しに構えてみる。
片膝をつき、砲を肩に担ぐ。
横に付けられたスコープを覗き、反射的にトリガーに指を掛けながら安全装置を解除する。
「やー凄いですね。まさに軍人です」
無駄のない姿勢に、カレンがにわかに声を上ずらせる。
「こういうのがお好きなのですか?」
姿勢を戻し、士官に砲を渡してカレンに向き直る。
「実は大砲や戦車などの大きな兵器が好きでして、陸軍に志願しようとしたことがあったんです。
両親に猛反対されて諦めましたが…」
「そうだったんですか」
カレンの意外な一面。
ようやく仲良くなれるかもしれない糸口を見つけつつ、用意された物資を荷台に積む。
遠くではパトラ大佐が指揮下の士官と作戦の話し合いをしている。
「ティレルさん」
後ろからの声に振り返ると、そこには片手に袋を持ったクリカラ。
「皆さんにと思い、携行食を作ってきました」
受け取った袋を開くと、そこには大きめのおむすびが三つ。
「ありがとうございます」
彼女の好意に礼を述べる。
一通り作戦の準備が終わった午前11時。
アララガルの討伐作戦に向けて、兵員と物資を載せた5台のトラックが要塞エリアへ向けて動き出す。




