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元海軍少尉の受付嬢  作者: 影光
二章 狩場へ
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屋台

 夜風の吹く土の道。

 帰路にあるクリカラの営む屋台で静かに軽食を取る。

 最近は彼女の作る料理を口にするのが、仕事帰りのささやかな楽しみになってきている。

 肉野菜料理と肉のスープと緑茶を注文。

 先に出された茶に口をつける。

「最近顔色が優れないようですが、いかがされましたか?」

 注文した汁物をお椀に入れながら、クリカラがそう呟く。

「ここのところ色々とありまして、忙しくなっているんです…」

「もしかして、上級モンスターでも現れましたか?」

 彼女の言葉に、緑茶を持つ手がぴたりと止まる。

「そうですか、大変なことになりましたね。

 詳しくお聞かせ願えますか?」

 厚切りの肉の入ったスープを置きながら、話の詳細を伺う。

「実は、ミギナ山地にアララガルが現れまして…」

「アララガルですか、確かに脅威的ですね。

 私もかなり昔に遭遇したことがあったのですが、逃げ回るのがやっとでした」

「そうだったんですか?」

 遭遇したという彼女の話に、興味を持つ。

「あれは、確か300年前くらいですね」

「……」

 スケールの大きすぎる言葉がいきなり出てきたことに反応に困る。

 アイリーンでさえ200歳と少しなのだが…

「ここから南方にあるレイネス霊峰で遭遇したことを覚えています」

「レイネス霊峰…ガイドマップによると、古代人の遺跡があると記されていますね」

 ギルドに置かれていた国内のガイドマップを開きながら、レイネス霊峰に視点を置く。

 南方にある寒冷帯にそびえる山岳地帯。

 永久凍土に包まれており、氷漬けになった古代の生物が時折発掘される他、国家の研究機関が調査中の遺跡が点在している。

「あの遺跡は竜人族の儀式の場でありました。

 一年の吉凶を占う儀式の場にて、かの竜は現れました」

「それで…どうなったんですか?」

「必死になって逃げ回ったくらいしか、よく覚えていません。

 ただ、あれ以降あの一帯は禁足地として立ち入りが禁止され、長い年月を経るにつれて忘れられていきました」

「そうでしたか」

 茶を飲み干して一息つく。

 ハンターとしての職業がこの大陸に根付いたのは200年程前。

 彼女の語った当時では為す術がなかったのは考えるまでもない。

 昔の竜人達が遺跡一帯を禁足地にしたのは、アララガルにまつわる出来事を忘れてしまいたいからだろう。

「.....」

 討伐作戦のことを彼女に言おうか迷う。

 彼女は優秀なハンターだ。

 それは数々の指名依頼が来ていることからわかる。

 しかし、それでも上級モンスターとの戦いとなれば無事ではすまないかもしれない。

「何か言いたいことがあるようですね」

 こちらの心情を見透かすクリカラの言葉。

「実は、アララガルの討伐作戦が行われることになりまして…」

 彼女に対して、作戦の詳細を伝えた。

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