プロローグ2
その映画館のシアタールームには、ある物語が上映されていた。
大きなスクリーンが、情景を、映し出す。
『破改勇者はひた進む』
『
平凡で、人生に希望を持てず生活に飽き飽きしていた高校生、比名 軸人。
彼は、帰宅途中に、突然、異世界へと召喚される。
そして、軸人は、異世界への道中、天使オレトゥエルにより、3つの起動型チートスキルを与えられるのであった。
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①数値の破改
相手のステータスを、オープンにして、確認することが出来る魔法。また、自身の持つ魔力とMPは、異世界の住人の平均の100倍になる。
②才能の破改
相手が持つ、「自分が持つ中で最強だと思うスキル」を奪い取り、自分のものとする魔法。
③精神の破改
打倒した相手の思考・記憶・精神を、自由に改変することが出来る。
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軸人を異世界へ召喚したのは、異世界の伯爵令嬢、メイテオだった。
彼女の父親である伯爵に、悪魔コントンスが取り憑き、乱心を起こしているのだと言う。
伯爵によって追放されてしまったメイテオは、旅の占い師パンドラの導きを受けて、伝説の勇者を異世界から召喚したのであった。
愛称として、「ジーク」と呼ばれることになった軸人は、メイテオとの冒険の中で、両手盾の女戦士ケイティ、金色の小人魔女ギラギラを仲間に加えた。
チートスキルと、心強い三人の仲間とともに。
ジークは、ついに、コントンスを打倒する。
伯爵領を救ったジークは、伯爵により、「勇者」として、伯爵同等の権力と財産を与えられるのであった。
』
物語は、ここで終わったかのようにも見えた。
画面が、暗転する。
その広いシアタールームには、入り口から一番遠い、最後方の端の席に、二人だけ、観客がいた。
だが、二人とも、席を立つ気配はない。
この物語は、まだ終わっていないのである。
そして、一見、終わりにも見えた、暗転していた画面は、再び、動き出した。
タイプライターの音が響く演出ととともに、その続きを映し出す。
黒字の画面に、赤い文字が刻まれる、
そんな、極めてシンプルな演出で。
『△1改訂:だが、この物語の、真のタイトルは――』
ここで、画面が止まる。
二人の観客は、席を立った。シアタールームの出口に向かって歩き出す、その二人の会話がシアタールームに響く。
「これはまた、ずいぶんと……。乱暴な、導入ですね。」
静かに、だが、楽しんでいるような、女性の声。
「はっはっはっ。ギム。あなたが演出してくれた、『義務の自由さ』を見せてくれた物語も、大変素晴らしかったよ。」
「だからこそ、同じような話をしても、芸がないじゃあないか。私はね、反対に、『窮屈な権利』の話をしようと思っているんだよ。」
それに応える、自信に満ち溢れた、力強い、男性の声。
役割を終えた、とでも言わんばかりの足取りで、二人は、シアタールームから退出する。
残されたシアタールームの明かりは、誰もいなくなった後に、消灯された。
だが、その部屋の見せる、暗い空間は、先ほどの二人とは対照的に、まるで、次の出番を待っているようであった。




