Ex11話 余韻!
王都召喚獣大会は終わった。
そして、その大会を観戦していた、研究者で商人のフギリは召喚屋ギムズに目をつけた。
フギリは野望を進めるために動き出し、召喚屋ギムズに接触した。
しかし、同時にポタル達もフギリを追っており、相容れなかった双方は衝突。
フギリとポタル達の戦い、ポタル、サジ、オンのそれぞれの活躍。
勝利を収めた代わりに、サジは異世界から消滅、帰還。
そしてそれから、さらに時は過ぎ――。
◇◇◇
イニシアの街、召喚屋ギムズ――
夕方、召喚屋が閉店した後、一人の青年が、王都召喚獣大会のトロフィーを拭いていた。
中性的な顔をしたその青年は、艶のある、背中まで伸ばした長い髪を風に揺られながら、トロフィーを眺めている。大会のことや、サジがこの世界に来てから帰るまでのことを、思い返していた。
「んー?それ、気に入ってるの?よかったら、オンにあげようか。わたし達三人の思い出だもんね。」
店の主、ポタルが声を掛ける。青年の正体は、サジの使い魔、オン、その人間体。
フギリの蝕属性のマナを吸収したことで、急成長し、人間体を留めるまでになったのである。
「え……?ポタ姉、良いの?僕はただ観戦していただけなのに」
オンは、戸惑いながら答えた。
「いいのいいの。サジだけがオンにプレゼントしたっていうのも、なんか悔しいしね。」
「そっか……。うん、それなら、ありがたく、いただきます。ありがとう……!」
オンは、サジの使い魔だったために、サジの持つ記憶や経験、考えを、過去のものから、サジが世界を離れるそのときまで、リアルタイムで共有していた。
しかし、サジがこの世界を離れた今、もう、その繋がりは無い。
オンは、主を持たない「はぐれ使い魔」となってしまったが、ポタルの提案によって、サジの代わりに「後任の新規スタッフ」として、召喚屋ギムズの見習いをしていた。
彼は、こちらもポタルの提案で、サジとポタルのファミリーネームをそれぞれ借り、オン・オワリ・ギムズと名乗っていた。
オンは、独りごちた。
「主人にとって、この世界がきっと忘れられない『物語』になったように」
トロフィーを掲げる。
日は傾き、空は、マジックアワーと呼ばれる、赤い領域と青い領域が交わる姿に染まっていた。
「僕らにとっても、あなたは、忘れられない『物語』だったと思うんだ。」
マジックアワーはすぐに姿を変える。日は落ちる。
「さて、僕らの物語は、まだ、事件が続くのか、どうか……」
──物語は、次に召喚を望む誰かによって、また動き出すのかもしれない。
召喚屋ポタルの大会記 <完>
サイドストーリーの終わりまでお読み頂き、ありがとうございました
読者さんの貴重なお時間を頂き、読んで頂けて、光栄です!
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