美術館は、一緒に行く人を選んだほうがいい
古手川「あのさ、ガッキーとよしこ」
新垣「何?」
花畑「どしたの?」
古手川「来週の土曜日、空いてたりする?一緒に美術館でもいかない?」
新垣「あーごめん、その日は空いてなくて…」
花畑「アタシも無理ね。」
古手川「そっかー、残念。」
新垣「でも美術館なんて珍しい。」
古手川「たまたまお父さんがチケット2人分もらってきだんだけど」
古手川「仕事だからその日行けなくなっちゃって…このまま使わないのも勿体ないし」
新垣「そっかー。行ける人見つかるといいね。」
花畑「え?2人分?」
古手川「そうだけど?」
花畑「なら、2人ともいけるって言ってたらどーしたの?」
古手川「よしこを切ってた(笑)」
花畑「最低すぎる!!」
古手川「いやだって、アンタ美術館なんて興味ないでしょ?(笑)」
花畑「なら誘うなよ!!」
古手川「1人よりはマシかなーって(笑)」
花畑「そんな保険みたいな扱いすんな!!」
〜移動〜
古手川「一通りあたってみたけどみんなダメね…」
古手川「せっかくだから美術館行ってみたいけど…」
古手川「しょうがない、1人で行くか…」
志村「お、なにそれ。チケット?」
古手川「げ、志村…」
志村「げとはなんだよ。で、何それ。」
古手川「幽明美術館のチケット。無料で2枚もらったから、誰かと一緒に行けたらなーって。」
志村「それ、俺にくれよ」
古手川「は??」
志村「チケット。1枚ちょーだい。」
古手川「え?行くってこと?」
志村「うんそう。だからちょーだい。」
古手川「あの志村が??美術なんて1ミリも興味なさそうなのに…」
志村「俺をナメるな。マジ美術超大好き。」
古手川「いつも美術の授業爆睡してるけど…」
志村「あれは睡眠学習だ。」
古手川「寝てて何を学ぶんだよ!!」
志村「寝ながら絵のことを考えてた。」
古手川「ならもう寝るなよ!!真面目に受けろ!!」
志村「とにかく、それを俺にくれ。幽明美術館のチケット。」
古手川「いいけど、じゃあ何時集合?」
志村「え?」
古手川「は?」
志村「なんで一緒に行くの?」
古手川「なんでいかないの!?」
志村「そんな俺と行きたいの!?」
古手川「いや、そういうわけじゃないけど…(笑)」
志村「だろ?だから別行動でもいいだろ?」
古手川「いや、まあ別にいーけど!!」
志村「なんだ?そんな俺と回りたいのか?(笑)」
古手川「いやそれはない。」
志村「だから、俺は1人で行くから。とりあえず1枚よこせ。」
古手川「…アンタ、転売する気でしょ」
志村「ギク」
古手川「転売して金儲けに利用するでしょ。」
志村「そ、そそそそそんなわけないじゃないかー!!」
志村「俺はただ、美術が大好きなだけサー!!」
古手川「アンタから美術好きの話なんて聞いたことないわ。絶対見に行かないわね。」
志村「見に行く見に行く!!一緒には見に行かないけど、絶対見に行く!!」
古手川「怪しすぎる!!」
志村「俺は嘘つかない。だからくれ。」
古手川「じゃあ、絵の写真撮ってきて。」
志村「え?」
古手川「いくつか撮影できる絵もあるらしいから。証拠としてそれ撮ってきてね。」
志村「ちょっとその日、用事があるのを思い出した。」
古手川「やっぱり転売じゃねーか!!」
高木「何をギャーギャー騒いでんだよ」
古手川「あ、加藤と高木」
志村「コイツが美術館無料のチケットを2枚持ってて」
志村「一緒に行く相手を探してるんだって。お前ら行けば?」
古手川「急に行く気なくなってる!!」
高木「いつ?」
古手川「来週の土曜日」
高木「あー部活だわ。すまん。」
古手川「そうよね。」
高木「あれ?加藤は?」
加藤「俺は…部活あったようななかったような…」
古手川「どっちだよ!!」
高木「調べればすぐわかるだろ!!」
志村「その日は確かなかったはず。かわりに日曜日が練習になったんだよ。」
加藤「え?そうだったっけ?」
志村「うん。俺1日バイト入れたから。」
加藤「…………………」
古手川「…………………」
高木「…………………」
古手川「いや、何この空気!?」
高木「どうやら乗り気じゃないみたいだな。」
古手川「あーなるほど…」
加藤「いや、そんなことは…」
志村「あーあ。古手川カワイソ。」
古手川「え?」
志村「古手川は友達いないから一緒に行く相手が見つからなくて困ってんのに…」
古手川「いや、人を勝手にボッチ扱いすんな!!」
志村「そんな惨めな古手川を、1人寂しく美術館に行かせるのかー。あーカワイソ。」
古手川「惨め!?誰が惨めだコラ!!」
志村「ホントだよ。どーせお前だって友達いないんだから暇だろうに。」
加藤「ナメんな!!友達100人いるわ!!」
高木「小学生か!!」
古手川「別に、行きたくないなら無理しなくていいわよ?1人で行くし。」
高木「あーカワイソカワイソ。」
志村「冷たい男、加藤茶之助。」
加藤「うるせええええええ!!わかったよいくよ!!行けばいいんたろ?」
古手川「いや、そんなイヤイヤ来られても!!」
〜美術館当日〜
古手川「まさか、本当に加藤と2人で見に行くことになるとは…(笑)」
古手川「アイツ、美術館なんて興味あるのかしら…」
加藤「ごめん待った?」
古手川「いや、ちょうど今来たところ」
加藤「良かった」
古手川「てか、マトモな格好してるわね」
加藤「いや、俺をなんだと思ってんだよ(笑)」
古手川「てっきり半袖短パンでくるのかと…」
加藤「志村か!!」
古手川「志村そうなの!?」
加藤「ああ。アイツは年がら年中半袖短パンだ。」
古手川「小学生男子か!!」
加藤「まあとりあえず、入るか」
古手川「そうね。でも悪いわね、付いてきてもらっちゃって。」
加藤「いや別に。俺も美術に興味ないわけじゃないからな。」
古手川「あらそうなの?意外ね。」
加藤「だから無料で行けるなら全然ありがたいよ。」
古手川「なら良かったわ。」
加藤「まあでも、俺結構じっくり見ちゃうタイプだから、古手川待たせちゃうかも(笑)」
古手川「全然いいよ。私もじっくり見るしね。」
古手川「まあでも、一応合流地点をいくつか決めときましょうか。」
古手川「はぐれたら、このブースとこのブースの出口で待ち合わせしましょう」
加藤「おけ」
〜30分後〜
古手川「加藤の奴、マジでじっくり見てたわね…」
古手川「意外だったわ…あの3バカのうちの1人でも美術に興味あったなんて…」
古手川「でも普通に嬉しいわ。あんなに集中して見てくれるなんて。」
古手川「こっちも連れてきた甲斐があるってもんよね(笑)」
〜さらに30分後〜
古手川「さすがに遅くない…?どんだけ見てんの…?」
古手川「そんなに時間かかるブースだったしら…」
古手川「まあでも、じっくり楽しんでるのね。邪魔しちゃ悪いわね」
〜さらに30分後〜
古手川「いや、マジで何してんの!?流石にもう待てんわ!!」
古手川「まだ最初のブースだぞ!?美術館で1日終わるわ!!」
〜古手川、逆走〜
古手川「待って、どこにいるの?」
古手川「まさかと思うけど、待ち合わせ場所間違えた?」
古手川「というか、待ち合わせの話を忘れた?」
古手川「どちらにせよ、ぶち殺し確定ね…」
古手川「いた!!」
古手川「ってか、まだ最初の絵画見てる!!」
古手川「嘘だろ…?あれから2時間くらい経ってるぞ…?」
古手川「てかアイツ、鼻血出してね??」
古手川「この絵、『風呂で戯れる裸婦達』って、まさかコイツ…」
古手川「この絵画に、興奮してる!?」
古手川「え?嘘でしょ…マジでドン引きなんですけど…」
古手川「え?男子高校生って、こんなに低レベルな変態だったっけ…」
古手川「ちょっと加藤!!」
加藤「…え?」
加藤「あ、ああ古手川。どーしたんだ?」
古手川「どーしたんだ?じゃないわ!!アンタ、2時間も私を待たせてたのよ!?」
古手川「そりゃ心配して探しにも来るでしょ!!」
加藤「おいおい。ここは美術館だぞ?静かにしろって(笑)」
古手川「うるさ!!表出ろや!!」
〜表〜
加藤「おいおい。なんで連れ出すんだよ」
古手川「美術館内だと話せないだろーが!!」
加藤「まだ俺、1枚しか見てないんだぞ?全部ちゃんと見たかったのに…」
古手川「アンタのペースで見てたら、1日で回りきれねえわ!!」
加藤「え?そうなの?」
古手川「1枚で2時間も待機する客なんて想定してねえんだよあっちも!!」
加藤「いやーすまんすまん。あの絵があまりにも魅力的すぎて、つい魅入ってしまった。」
古手川「いや、魅力的というか、興奮してただけでしょ?」
加藤「は??」
古手川「鼻血出してたし。アンタどうせ、裸婦画で興奮してたんでしょ。この変態。」
加藤「は、はああ!?俺をなんだと思ってんだ!!」
古手川「変態。」
加藤「違う!!俺は目が肥えてるんだ!!だから絵の後ろに見え隠れする作者の生い立ちや暮らしなど、様々なものが見えてしまうんだ!!」
古手川「嘘つけ!!」
加藤「ホントだし!!マジで俺、1枚1枚を超じっくり見てるから」
古手川「あーそう。ならあの裸婦画から、一体何がわかったのかしら?」
加藤「えーーと…お風呂気持ちいー。とか?」
古手川「あっっさ!!誰でもわかる!!」
加藤「と、とにかく、俺にはやましい気持ちなど一切ない!!」
古手川「嘘つくな!!」
加藤「俺は絵画を見るのが好きなんだ!!決して裸婦画だからガン見してたわけではない!!」
古手川「いーや怪しいわ…」
加藤「なら次のブースで証明してやるよ」
〜30分後〜
古手川「やっぱり裸婦画の前で止まってるじゃねえか!!」
加藤「だから、お前のタイミングが悪いんだってば!!部屋に入ってくる母ちゃんか!!」
古手川「うるさ!!そして絶対嘘!!」
加藤「いや、お前は勘違いしている。俺は芸術作品を見ているだけだ。」
古手川「だったら他の絵も見ろや!!」
加藤「見てるわ!!」
古手川「なら、どんな作品があった?」
加藤「えーーーと…裸婦画。」
古手川「それしか置いてない美術館なんてないわ!!」
加藤「うるさいな!!そういうお前こそ、さっきからその彫刻のちんこをガン見しているだろう。」
古手川「してねーわ!!」
加藤「いーや。普通の絵画よりもおよそ3秒くらいその彫刻の前にいる時間が長かった。」
古手川「誤差じゃねえか!!」
スタッフ「お客様。美術館ではお静かに。」
加藤・古手川「「しゅ、しゅいましぇん…」」
〜移動〜
古手川「アンタのせいで怒られただろーが!!」
加藤「人のせいにすんな!!お前が変な濡れ衣を着せてくるからだろーが!!」
古手川「美術を邪な心で見やがってこの変態!!」
加藤「ああん!?もうキレたわ。」
古手川「え?」
加藤「そこまで文句言うなら、見せてやるよ。」
古手川「いや、何を!?」
加藤「俺がどんだけ早く絵を見れるか思い知らせてやる!!」
古手川「なんでスピード勝負みたいになってんの!?」
加藤「本気出したら、お前より絶対速く絵を見れるから!!」
古手川「いや、美術館ってそういう場所じゃねえから!!」
〜5分頃〜
(LINE通知音)
加藤『はいもう出口ー!!』
古手川「はっっや!!」
加藤『はい俺のかちー!!ザーコザーコ!!』
古手川「小学生か!!」
古手川「でも、なんで急にこんなに早く…」
『ここから先、風景画コーナー』
古手川「だからか!!」
〜完〜




