近所付き合いって難しいよね
「ヒソヒソヒソヒソ」
「うわ、あそこに入っていったわ…」
「あの子、あの家の人なのね」
「あれが、あの噂の家よね??」
「そうそう。近所付き合いを全然しないで、もらえるものだけもらっていくトンデモ家族…」
「アタシ、色々旅行先のお土産とか渡してるのに、何も返してくれないのよ」
「うちもうちも。余ったお菓子とかよくあげてるのだけど、お返しはくれないのよね」
「普通、礼儀として何かしらお返しするわよね」
「そうそう。近所付き合いの常識よ常識」
「どんだけケチなのかしら」
~志村家にて~
姉「だってさ。私達、近所からめっちゃ悪口言われてるよ?(笑)」
父「ほう。それで??」
姉「「それで??」じゃねーよ!!最悪で気まずいだろーが!!」
父「別に、近所からの評価なんてどーでもいい」
姉「なんてことを!!」
父「大体、近所の人なんてもんは友達でも知り合いなんでもない。たまたま近くに住んだだけの人だ。」
姉「超絶ドライな住人!!」
父「そんな奴らと関わるもクソもないだろう」
姉「なら何ももらうなよ!!一切関わるな!!」
父「いや、余っちゃったとか言うから、仕方なくもらったんだよ。受け取って欲しそうだったから」
姉「だとしても、普通はお返しをするんだよ!!」
父「はあ!?なんでだよ。あっちがいらないあげるとか言うから、仕方なくもらってんだぞ??」
志村「めっちゃ助かってるけどな!!雑草以外の飯が食えるんだから!!」
姉「とにかくお礼しろ!!たまには!!」
父「じゃあお前がなんかあげて」
姉「絶対嫌だ!!」
父「俺だって嫌だ!!」
姉「アンタそれでも大人か!!」
父「大人ってのがそういうもんなら、俺は一生子供でいい」
姉「ナ〇ト様の神名言を、改悪して使うな!!」
母「まあでも、実際近所に嫌われすぎるのも問題よ。あの人達姑息で陰湿だから、何をしてくるかわかったもんじゃないわ…」
姉「姑息とか陰湿とか言っちゃったよ!?」
父「仕方ない。ここは俺に任せろ」
姉「任せられねえ!!」
父「とりあえず、何か物をあげておけばいいんだろ?それでアイツらは黙るはずだ」
姉「言い方!!」
父「だからこの、その辺で取った雑草の詰め合わせをあげよう」
姉「いらねーんだよ!!」
父「向こうだって、よくいらない物押しつけてくるだろ??それと同じだ」
姉「その「いらない物」とレベルが遥かに違う「いらない物」なんだよそれは!!」
父「まったく…どいつもこいつも雑草をバカにしやがって…」
姉「まだイノシシ肉の方がいいわよ…」
父「イノシシ肉は、いつ取れるかわからねえんだぞ!?そんな貴重な物を他人にあげるなんて、正気なのかお前は!?」
姉「私達は、一体いつの時代の暮らしをしてるわけ!?」
母「しょーがないわね…じゃあこの誰も着れなくなった赤ちゃん用の服とかオムツをあげましょう」
姉「なんでまだ持ってんの!?」
母「いやだって…ただ捨ててももったいないじゃない…」
父「流石は母さん。SDGsだね!!」
姉「やかましい!!」
母「でも、こういう時に使えるじゃない。やっぱり持ってて良かったわ(笑)」
姉「良くねーわ!!赤ちゃんがいても、他人のお古なんて使いたくねえわ!!オムツもそれ、何年前のオムツだよ!?」
母「うーーーんと…軽く10年前くらいかしら??」
姉「さっさと捨てろ!!誰もいらねえ!!」
母「あらそう。じゃあ今度再利用しましょ」
姉「何に!?」
志村「もうアンタら、マジで全然ダメだな…(笑)」
姉「ケンジ??」
志村「まずアンタらには常識が無い。こんなんじゃあまず無理だ」
姉「非常識人が何をほざいてんだ!?」
父「じゃあどーすんだ??」
志村「こう時はなあ、できる限りちゃんとしたものをあげるんだよ」
姉「ケンジがまともなこと言ってる!?」
父「例えば??」
志村「ゲームソフトだ」
姉「は??」
志村「クリアして、いらなくなったゲームソフトをあげるんだ!!」
姉「ゴミを押し付けてるだけじゃねえか!!」
志村「ゲームソフトなんて、1回やり終えたら基本的にはもうやらん。だからその使わなくなったゲームを押しつけて…」
父「バカかお前は!!」
志村「!?!?」
姉「流石の親父も怒るか…(笑)」
父「ゲームソフトはメ〇カリで売れるだろうが!!そんな高価なものを無料で渡すな!!」
姉「そっち!?」
父「せっかく金になるものを、タダで他人に渡すなんてありえん!!」
姉「本当に心が狭い!!」
志村「確かに…流石は親父だ!!俺が間違っていた!!」
姉「納得すんな!!」
父「だから、使い終わった上に、まったく価値のない物をあげるべきなんだよな」
志村「確かに!!」
姉「そんなわけねえだろ!?いい加減にしろ!!」
父「だからやっぱり、この使い古してボロボロのタオルとか」
姉「ガチのゴミじゃん!!」
志村「ボロくなりすぎてメ〇カリでも売れない漫画とか」
姉「だからただのゴミじゃん!!」
父「使い古して穴だらけの衣服とか」
姉「もういいわ!!」
志村「そうだ!!いいこと考えた!!」
父「ホントか!?」
志村「どっかの山でキノコを取ってきて、それをあげればいいじゃん!!」
姉「危険すぎるだろ!!毒キノコだったらどうすんだ!?」
志村「いや親父と母さんなら、毒キノコかどうかわかるかなって(笑)」
姉「違ったらどうすんの!?」
父「ケンジ!!それはダメだ!!」
志村「ええ!?マジで!?」
姉「だよね。良かったー…」
父「山まで取りに行くのがめんどくさい!!」
姉「そういう理由!?」
父「そこまで苦労して取りに行って、新鮮なキノコを他人に無料であげるなんてありえねえ!!」
姉「どんだけケチなんだコイツ!!」
志村「チッチッチ。それは違うぜ親父」
父「なに!?」
志村「いつから俺が、「無料で」キノコをあげるなんて錯覚していた??」
父「なん…だと…??」
姉「は??」
志村「当然、金を取るに決まってるだろうが!!」
姉「いや、ダメに決まってるだろうが!!それじゃあタダの商売じゃん!!」
父「お前は…天才だ!!」
志村「だろ??」
姉「もう突っ込む気にもならん…」
父「よし!!そうと決まれば早速山にキノコを取りに行くぞ!!」
志村・母「「おーー!!」」
姉「今から!?」
~4時間後~
父「キノコ大量に採れたな。それにイノシシも狩れたし。今日の飯は豪勢だぜ」
姉「いや、近所にあげるためのキノコだからな!?」
父「あ、そーだった」
姉「忘れるな!!」
父「さて、何円で売りさばくか…」
志村「そうだな。まあ大体、1個100円が妥当だろ」
姉「売るなっつーの!!」
父「いやケンジ。それではスーパーで売ってるキノコとなんら変わらん。ここは少しだけ安く80円くらいにして、お得感を出そう」
姉「通販か!!」
志村「なるほど。それで「普通なら100円で売ってる物を、80円で提供します!!」って恩着せがましくアピールするんだな??」
姉「だから通販かって!!あと本当にやるならもっと安くしろ!!」
父「そうだな…もっと近所に恩を売るために、仕方ない特別価格1個60円で提供しよう」
志村「本当に感謝して欲しいよな。こんな新鮮なキノコを安売りするなんて」
姉「そもそも商売すんじゃねえ!!もういい!!私が配ってくる!!」
父「おい!!」
志村「ちゃんと金は取れよ!?」
姉「近所の人から取れるか!!」
ガチャ
バタン!!
母「しっかりマトモな子に育ったわねえ…ユウカ」
父「いやホントに。どうしてあんな常識人になってしまったのか…」
志村「いやそれは喜べよ!?」
ピンポーン
父「うん??誰だ??」
母「なんか、警察のコスプレした人が立ってるわね」
父「ほう。世の中には変な奴がいるもんだな」
志村「いやそれ、本物の警察じゃね??」
父「…………………」
母「…………………」
父「いやいや。本物の警察が我が家なんかに来るわけがないだろう??」
母「そうそう。私達は何もしてないもの」
志村「いいから早く開けろよ!!怪しまれるぞ!?」
ガチャ
警官1「はいどーも。ちょっと失礼します」
警官2「警察です。少々お話を伺いたいのですが…」
父「はい??どういったご用件ですか??」
警官1「実はですね、お宅に虐待の疑いが出てまして…」
父・母「「は??」」
警官2「この家の壁が薄いというのもあるとは思うのですが、夜中にギャーギャー騒ぐ声が聞こえたり、お父さんの「ぶっ殺すぞ」や「クソ娘・クソ息子」などの怒号が飛び交っているとの話を聞きました」
父「…………………」
母「…………………」
志村「…………………」
警官1「また、いつも大量の雑草を家に持ち帰るお父さんやお母さんの姿を見た人が何人もおりまして、その度に一体何に使っているのだろうということや、買い出ししているのを見たことがないので、一体何を食べているのだろうと近所で噂になっているそうです」
父「…………………」
母「…………………」
志村「…………………」
警官2「以上のことから、あなた方は虐待をしているのでは?という結論に至りました」
父「…………………」
母「…………………」
志村「…………………」
警官1「何か言うことはありますか??」
父「まあ、大方その噂は合ってますが、虐待ではないっすね」
警官1「大方あってんの!?」
警官2「それで虐待じゃないとか言われても…(笑)」
姉「ただいまー…って、何この空気…」
母「なんか、警察のコスプレをしたクレーマーが我が家に来てるのよ」
姉「どういうこと!?」
警官1「正真正銘の警察官だわ!!」
父「確かに、我々は毎日雑草を食べさせてるし、美味しいご飯を食べにいったこともほとんどないし、日々ケンカばかりしている!!それは事実だ!!」
警官1「なら虐待じゃねえか!!」
父「虐待じゃねえ!!ちゃんと栄養は取れてるだろうが!!」
警官1「取れてねえだろ!!雑草じゃタンパク質は取れねえよ!!」
父「ちゃんと、たまにイノシシを狩ってタンパク質も取ってるわ!!」
警官1「いや、いつの時代の人!?」
父「肉もしっかり食べてるし、それにコイツらには日々の食費代も渡してる」
母「この子はすぐに余計なもの買って使い切るけどね
志村「てへへ…(笑)」
父・母「「褒めてねーわ!!」」
警官2「そもそも、なんでアンタ達はそんな金が無いんだ??」
母「私が以前働きすぎてうつ病になって、現在マトモに働くことができないからです。夫も給料が低いので、少ないお金でやりくりするしかないんです」
警官1「それで、なんで雑草を食べるって発想になるんだ!?」
母「おかげさまで食費は0です(ドヤ顔)」
警官2「そういう問題じゃねえ!!」
警官1「てかアンタ、普通に給料低いとか言われてるけど、それでいいのか!?」
父「いやだって、事実だし」
警官1「悲しい!!」
父「あのなあ、よく考えてくれよ。生活するだけで金がかかるんだよ。コイツらの学費は超高いし、家のローンもまだ残ってるし。何より何かあった時の保険のためにお金がいるだろ??」
警官1「何かあった時のため??」
父「そうだ。俺も嫁も死ぬかもしれんし、病気になって入院生活をするかもしれない。バカ息子やアホ娘が不登校とか退学とか事故とか浪人とか留年とか、何かやらかすかもしれねえし、犯罪に巻き込まれるかもしれない。そういう時に、金が無いと超困るだろうが!!」
志村「お、親父ィ…」
姉「そこまで考えてたんだ…(笑)」
警官1「それにしたってやりすぎだろ!!」
父「いーや。だったら何かあった時、アンタが支援してくれるのか??」
警官1「いや、それは…」
父「みんな、最後には自分の力、家族の力だけで生きていかなきゃいけねえんだよ!!だから、俺達は毎日毎日切り詰めて生活してるんだ!!」
父「あと学費がバカ高いんだよ!!このバカども、2人とも私立の高校行きやがるし、大学も私立しか受からなかったら、とてもじゃねえけど貯めるしかねえだろうが!!」
警官1「いや、それにしても雑草はやりすぎだと思うけど!?」
警官2「うう…グス…」
警官1「え!?」
警官2「か、感動した…」
警官2「グス…ひっく…なんて良い親なんだ…」
警官1「マジで!?!?」
警官2「うう…涙が止まらない…」
警官2「君達、良かったな!!こんな良い親御さんで!!(涙)」
姉「いや、全然良くないし、もっと良い親はたくさんいるわ!!ねえケンジ!?って…」
志村「うううう…なんて良い親だったんだ!!俺は勘違いしていた!!」
姉「アンタもかい!!」
志村「今まで悪口ばっか言ってごめん親父!!俺、ようやくわかったよ!!」
父「わかってくれればいいんだケンジ!!」
姉「わかるな!!」
母「わかりあえた記念に、みんなで今朝採りたての雑草を食べましょう!!」
姉「いや、そんな山菜みたいな感じで言われても…(笑)」
警官1「食べます食べます!!」
警官2「いただきます!!」
姉「おい警察官!!用が済んだらさっさと帰れ!!」
母「雑草を煮込んで、切り刻んで、しっかり味をつけて、と…」
母「はいどうぞ。採れたて雑草のハーブ和えです」
姉「なんかうまそう!?」
警官1・2「「いただきまーす!!」」
パク
ゴクン
警官1「あ、美味しいですねこれ。これならみんな安心して食べオエエエエエエ!!」
警官2「なんか、土臭いオロロロロロロ…」
姉「さっさと出てけ!!」
※絶対にマネしないでください
~完~




