白波茜視点
中学生なのに【悪の魔道士】を倒した男の子。そんな風に世界中から注目を集めている一ノ瀬くんに私は、嫉妬をしていました。
私の両親は、【魔道士】で、その中でも順位が高く、父は87位で母が93位です。
私は【魔道士】のエリート家庭に生まれました。そんな私でも、出来ないことをやってのけた、一ノ瀬くんを私の両親が褒めるのです。「彼は凄い」「彼を見習いなさい」と。それが私は嫌でした。
私は、両親を尊敬しています。【魔道士】の中でも、順位が高く、とても強い両親を。
そんな、両親に褒めてほしくて、色々と頑張ってきたんです。
なのに、そんな私を褒めてはくれず、一ノ瀬くんばかりを両親は褒めました。
私は、一ノ瀬くんに激しい嫉妬心が生まれました。
だから、私は一ノ瀬くんを倒し、周りに、両親に、褒めてもらおうとしたのです。
初めて、一ノ瀬くんを見たとき、私は少し怖いなと思いました。
彼は、周りを遠ざけるような雰囲気を出しており、まるで「近づくな」と言っているようでした。
あと、彼の容姿は、整ってはいるのですが、目つきが鋭くとても怖いです。
他にも、私が初めて一ノ瀬くんに話しかけた時、一ノ瀬くんは、「ああ」としか返事をしてくれませんでした。
口数が少なく、クールな人なんでしょう。
でも、近づき難い雰囲気を出した目つきの鋭い、口数が少ない人。とても怖いです。
でも、そんな風に思っていた私に一ノ瀬くんがいきなり、「美人だな」と言ったんです。
あのときは、すごく照れてしまいました。本当にいきなりだったんです。
【魔高の戦い】がしたくて話しかけたのに、まさか容姿を褒められるとは思いませんでした。
ですが、それで彼のことが少し怖くは無くなったんです。
その後、彼は【魔高の戦い】をしてくれることになりました。
第1闘技場で、【魔高の戦い】をすることになったんですが、彼は場所を分からなかったようで、私の後ろを着いて来たんです。
その時、私はまた彼のことが少し怖くは無くなりました。
中学生で、【悪の魔道士】を倒した凄い人が、道を分からない。
そのことが、彼も普通の高校生かもしれないと思いました。
第1闘技場に着き、私は驚きました。観客がたくさんいたんです。
ですが、私はそれが好都合だと思いました。大勢の観客の前で一ノ瀬くんを倒す。そんなことが出来れば、みんな私を凄いと思って褒めてくれるでしょう。
もしかしたら、両親も褒めてくれるかもしてない。
そんなことを思い、観客がいる中で一ノ瀬くんと【魔高の戦い】をしましたが完敗でした。
一ノ瀬くんは、【魔高の戦い】が始まった瞬間に魔法を使ったんです。
私には出来ませんでした。初めての【魔高の戦い】で、普通だったら出来ないと思います。
なのに一ノ瀬くんは、当たり前のようにやっていました。
その後、私は色々な魔法を使い、一ノ瀬くんに攻撃をしましたが、簡単に避けられるか、当たっても傷一つ付けることも出来ませんでした。
それに、彼が攻撃を始めるとすぐに負けてしまいました。
とても強く、何もすることができずに、負けたんです。
それが悔しくて、私は泣きそうになってしまい、すぐに第一闘技場から出ました。
私は、第1闘技場から出た後、自分の寮の部屋で1時間泣いたんです。
ですが、それではダメだと思い、気分転換に少し寮の外を歩いていると一ノ瀬くんに会いました。
彼は、1時間も寮の場所が分からず迷子になっていたようです。
私はそんな一ノ瀬くんに思わず笑ってしまいました。
あんなに強くて、凄い一ノ瀬くんが1時間も迷子になっていたんです。
それで、私は一ノ瀬くんのことを完全に怖くはなくなりました。
凄いけど、普通の人。見た目や雰囲気は怖いけど普通の人。
そう、一ノ瀬くんは普通の人だったんです。
まだ、両親に褒めてほしいとは思います。ですが、一ノ瀬くんへの嫉妬心は無くなりました。
その代わりに、一ノ瀬くんを尊敬するようになりました。
戦ってみて、完敗し、一ノ瀬くんが本当に凄いことということが分かったから。
私、白波茜はいつか一ノ瀬くんに勝って見せます。
凄いけど、とても普通な尊敬している一ノ瀬くんに。
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