鬼ごっこ2
「まさか、私から逃げきる奴が5人もいるとはな」
と先生が言った。今は、1時間目の授業が終わり、説明を聞いた最初の場所に全員集まっている。
先生から逃げきったのは、俺を入れて5人しかいないらしい。
凄いな先生、クラスの人数は、42人もいるのに、逃げきれたのが5人なんて!
37人も捕まえたのか、この森の中を!
「逃げきれた5人には、あとでポイントを送るからな」
よしっ! 10ポイントゲット! 嬉しいな~。
「あと、次は本気で追いかける。1回目の鬼ごっこで大体どのくらい魔法が使えるか分かったからな」
次は本気で追いかけるか。さっきは、俺たちがどのくらい魔法を使えるか、確認するために本気じゃなかったんだな。
そういえば、先生は俺をいつでも捕まえられたのに捕まえずに後ろを追いかけて来てた。
次はそれが無く、すぐに捕まえてくるんだろう。
「チャイムが鳴ってから始める。それまでは、自由にしてくれ」
と、先生が言うと白波さんが俺に近づいてきた。
「一ノ瀬くんは、逃げきれましたか?」
白波さんが俺にそう聞く。
「ああ、逃げきった。白波は?」
(ああ、逃げきったよ。10ポイントゲットだ! 白波さんは、逃げきれた?)
「私も逃げきりましたよ。でも、先生が本気ではなかったので次は逃げきる自信がありません」
「俺もだ」
(俺もだよ。先生が初めから本気で捕まえに来ていたら逃げきれていなかった。だから、次は逃げきれる自信がないよ)
「一ノ瀬くんもですか!?」
と白波さんが大きな声で言った。いきなり大声を出してくるなんて、驚いたよ!?
「ああ」
(ああ。それより、いきなり大きな声を出すなんてどうしたの?)
「一ノ瀬くんは、余裕で先生から、逃げきったんだと思ってました。ですが、そうではなかったんですね」
「ああ」
(ああ、ギリギリだったよ。それに驚いて大きな声を出したの?)
「驚きました」
と、白波さんと話しているとチャイムが鳴り始める。
「チャイムが鳴ったな。鬼ごっこを始める、お前ら逃げろ」
俺たちは、森の中を走る。俺と白波さんは、一緒には逃げず、バラバラに逃げた。
さぁ、どうやって逃げようか。先生が近づいた時に分かるように〈気配察知強化〉を使っておこうか。
「〈強化〉」
(〈気配察知強化〉!)
他にも魔法を使うべきか悩むが、使うと魔力が減るからなぁ。
まだ、鬼ごっこ2回目で、あと3回目と4回目が残っているし。
やっぱり、魔力温存のために他の魔法は、使わない方がいいか。
鬼ごっこが始まってから20分ほど経ったころ、先生の気配を察知した。
先生は、俺の背後に迫ってきている。
「先生」
(どうも先生!)
と、俺は、言いながら後ろを向く。
「よぉ、一ノ瀬。逃げないのか?」
「逃げます」
(そりゃあ逃げますよ!)
と、俺は言い魔法を発動する。
「〈強化〉〈強化〉」
(〈身体能力強化〉! 〈スピード強化〉!)
「〈加速〉」
だが、先生は一瞬で俺の背後を取った。
「はい、終わり」
と、先生は言い俺にタッチする。俺は、先生に捕まってしまったのだ。
先生の動きが見えなかった、速すぎだろ……。
「鬼ごっこを始めた場所で待機してくれ」
鬼ごっこを始めた場所とは、きっと始めに説明を聞いた場所のことだろう。
「分かりました」
(分かりました。先生速いですね)
「じゃああとでな。〈加速〉」
と、先生は言い魔法を発動して、どこかに消える。
他の生徒を捕まえに行ったんだろう。だが俺は、その先生の姿が速すぎて見えなかった。
目の前でいきなり消えたように感じたんだけど。マジで先生速ぎだろ。
やっぱり捕まったのが悔しいなぁ。3回目は逃げきりたいなぁ。
でも、どうやって逃げようか? 俺は先生から逃げきれる自信がないよ。
この話を読んでいただきありがとうございます。
もし、面白いと思った方はブックマーク登録と評価ポイントをお願いします。




