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第二十話 満ちる愛、そして……

こんにちは。これで完結となります。

長らくお付き合いくださってありがとうございます。


消えた誤解! 通じた思い!

しかし女神が「まだ終わりにできない」と言う!

最後に待ち受ける問題とは何だ!

シリアスが死んだ目で大団円を待っている!


それでは第二十話「満ちる愛、そして……」お楽しみください。


 存分に泣いたミライトは、息を整えて笑顔で問う。


「じゃあこれからも皆、一緒にいてくれるか?」

「勿論です!」

「聞くまでも無い!」

「了承」


 全員が頷き、笑い合う。

 ナイクも満足そうに頷く。


「ふむ、これで丸く収まったな」

「たーぅ!」

「いいえ、まだよ」


 しかし女神だけは表情が硬いままだ。


「女神、先程お前は『まだ終わりにできない』と言っていたな。それは何だ?」

「さっき僧侶ちゃんの話の中に、私が含まれてなかった……」

「どうでもいい」

「それと勇者ちゃん。あなた皆が勇者ちゃんのこと男として好きって事、理解してる?」


「えっ」


 目を丸くするミライトの表情から浮かび上がる、これまで考えもしなかったという事実。


「えっ」

「えっ」

「だと思ってた」


 それを受けてキュアリとフーリの目が丸くなり、ナクルの目が光を失う。


「ううう嘘だろ!? 俺の事、本当に……?」

「えぇ!? 旅の間あんなに好きって態度で伝えていたのに……」

「恥ずかしいのを我慢して頑張っていたのに、何一つ伝わってなかったのか……」

「半ば諦めてた」


 愕然とするキュアリとフーリ。

 表情が消えるナクル。


「え、どうしよ、嬉しいけど、あの、どうしたら……」


 助けを求めるように目を泳がせるミライトに、女神は最高の笑顔で親指を立てる。


「そりゃもう子作りよ! 産めよ増やせよ地に満ちよー!」


 女神の言葉に、キュアリの顔が真っ赤になる。


「こづ……!? い、嫌とかではないですけど、で、でもそう言うことは、もう少し順序を経てから、で……」


 隣でフーリも真っ赤になる。


「そ、そうだな! まずは手紙の交換とかから……」


 構わずナクルはミライトの手を握る。


「!?」

「ミライトの気持ちが決まったら、いつでも部屋に呼んで」

「ナクルさんっ!」

「ナクルっ!」


 キュアリとフーリは慌ててナクルを引き剥がす。

 強張っていたミライトは、我に返って距離を取る。


「と、とりあえずしばらくは現状維持でお願いします……」

「ミライト様! 遠いですっ!」

「無理矢理に何かするとか無いからぁ!」

「待ってる」

「あ、はい、前向きに善処させて頂きます……」


 明らかにかちこちになっているミライトを見て、嬉しそうに笑う女神。


「これは半年は進展なさそうねー。まだまだ楽しめそうだわー」

「人間とはよく分からないものだな。何をあんなに騒いでいるのだ?」

「……!」


 ナイクの言葉に女神は何かを閃いた顔をした。


「闇ちゃん、赤ちゃんに弟か妹、欲しくない?」

「何、兄弟? いればレイも喜ぶであろうが……」

「人間の身体になった今なら、それが可能なのよ」

「何と! それはどのようにすれば良いのだ?」


 女神はビシッとミライトを指さす。


「勇者ちゃんが知ってるわ! 手取り足取り教えてもらえばバッチリよ!」

「そうなのか!」

「そのためにはまず勇者ちゃんといっぱいくっつくのよ! くっつけばくっつくほど成功率は上がるわ!」

「分かった!」


 レイを抱っこしたまま、ミライトの元に駆け寄るナイク。


「ミライト! レイに弟か妹を作ろう!」

「なっなななナイク!? お前まで何を……!?」

「くっつくのだったな。行くぞレイ!」

「あーい!」


 ナイクはレイを挟むように、ミライトに抱きつく。


「ふむ、レイ以外を抱きしめるのは初めてだが、悪くないな」

「え、あの、ちょ、離、当たっ、柔、やめ」

「みー! まー!」

「な、ナイクさん! ずるいです!」

「ぬ、抜け駆けはさせないぞ!」

「好機」

「ぬわー! お前らまで何すんだ!」


 もみくちゃにされるミライト。

 その姿を優しく見守る女神。


「人の命は神に比べてあまりにも短い。でも命は繋がる。そうすれば私との繋がりも消えない。それに……」


 そして女神の顔が微笑みからニヤニヤに変わる。


「こんな楽しい人間のやり取り、ずっと楽しみたいもんねー☆ 頑張れ勇者ちゃーん! おっとこを見せろー!」

「あんたなぁ! ……うわっ!?」


 女神に文句を言おうとしたミライトの頬に、ナイクの頬が触れる。


「これでくっつき具合は更に増したな! さぁミライト! 我が腕に抱かれて子どもの作り方を教えるが良い!」

「だ、だめです! そういうのは、もっとちゃんと順序を追ってですね……!」

「ち、知識なら私が教えてやるから、とりあえず離れろ!」

「いっそ数で押そう」

「た、助けてー!」

「たーぃ!」


 ミライトの悲鳴と、皆に囲まれてご満悦なレイの歓声が、フィナーレを告げるように響き渡った。




 奥手のミライトがいつ漢を見せるのか、それは定かではありません。

 それはさておき、レイを囲むこの家族はいつまでも末長く幸せに暮らしましたとさ。


 めでたしめでたし。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。


色々ありましたが、無事最後まで書き切れて良かったです!

一日三回更新はなかなか大変でしたが、皆様のお力添えのお陰でやり遂げられました。


さて、実は色々書いているうちに、後三作品で百作品に届くので、『小心貴族と竜の姫』で百作品になるよう、かつ毎日投稿を両立させるために、昔書いたものを引っ張り出してきました。


2021/4/1追記

そんな作品に、四月咲 香月様が沢山のキャラ絵を寄せてくださいました!

まさかまさかのナイクにまで!


挿絵(By みてみん)


これは手取り足取り教えざるを得ないですねぇ……。


お陰様で百作品達成できました!

『小心貴族と竜の姫』も、よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 想像したのと違った! Σ(゜Д゜ノ)ノ 壮大だけど、最後は愛なのね~。(ちょっと違うが)
[一言] ボケちゃダメだボケちゃダメだボケちゃダメだボケちゃダメだ ボ・ケ・ちゃ・・・(チラっ ボケた~~~~~~!!
[良い点] シリアスさんが死んだ目をしていますが、大団円、おめでとうございます。 とりあえずミライト君は一回爆発するべき。 女神様が正座で脚が泣くほど限界になってて笑いました。 みんなに子供が出来た…
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