泣いている女の子が目の前にいたら普通もっと他にすることがあるんじゃないですか?
ラストの場面までの構想を珍しく作った。行き当たりばったりで書いてきましたが8年ぶりに再開し愛着のある奈々にふさわしいラストを・・・。終わらせたくないな。
「『奈々?』じゃないです! なんで奈々がこんなにも悲しんで泣いているのか、キ・ニ・ナ・ラ・ナ・イ・ノ・デ・ス・カ? って聞いてるんです! もう!」
っとあまりに美しい涙に騙された・・・。
いつもの奈々モードに急転回。
でも・・・まぁその方が気が楽さ。
「あ、いや何でなんだろうなって? 気にはなっていたんだけど・・・」
「『何でなんだろうなって?』こんなに献身的に健気に雅樹さんのそばにいる女の子が、大粒の涙を流して悲しんでいるのに、『何でなんだろうなって?』そんなのあります? 奈々のことじゃなくてまた他のこと考えてましたね! もう! 悔しい!」
そう言うとすぐそばにあった俺の二の腕をこれでもかとつねり上げる。
「イテテテッ! 他のことなんて考えてないって! 奈々? 奈々! 聞いて! わかったわかった奈々! 悪かったゴメン許して! 痛いって!」
「本当に悪いって思ってるんですか?」
「思ってる思ってる! 暴力反対!」
「もう! 」
『もう!』ってオイオイそりゃあ、こっちのセリフだって・・・
『ガブって噛んじゃいます!』『ギィーって引っ掻いちゃいます!』ってやってた時はものすごい可愛い仕草だったのに結局、女の子の超スタンダードアタック、つねり攻撃かよ・・・。
「イヤイヤ、奈々? 別に他のこと考えてたんじゃなくってさ、急に泣かれたらやっぱりこっちもちょっと戸惑うって・・・」
つねられた腕をさすりながら言い訳がましく言う俺。
「そんなの嘘っ! ・・・・泣いている女の子が目の前にいたら普通もっと他にすることがあるんじゃないですか? 奈々はそういうの良くわかりませんけど・・・」
プイッと他所をむきながらそう言う奈々、のちょっと拗ねた顔はやっぱり可愛い・・・。
ってこんなに容赦なくつねられた男が言うセリフではないが、これがまた男のどうしようもないところでもある。
そして、こうまでされても可愛いと思えることをむしろちょっと誇らしく感じたりするのだから・・・やっぱり男は救われない・・・のだ。
「奈々? 泣かないで」
そう言いながら奈々の肩に今更優しく手を差し伸べる俺。
「もう泣いてませんっ! べーっだ!」
と、振り向いておどける奈々。
こんな仕草をする奈々は珍しいが、泣き顔を誤魔化すための照れ隠しなのだろう。
「奈々? 冗談抜きでどうして泣いていたの?」
「教えてあげませんっ! 雅樹さんが自分で考えて下さいっ!」
まだやや怒っているようだ・・・。
「そんな意地悪言うなよ?」
「どっちが意地悪ですか?」
「意地悪して教えてくれない奈々の方が断然、意地悪だろ?」
「奈々は意地悪なんかじゃありません!」
「じゃあ教えてくれよ?」
「教えてあげません!」
「教えて?」
「教えないっ!」
「意地悪だな」
「意地悪じゃないっ!」
「悲しいな・・・」
「悲しいのは奈々っ!」
「奈々と離れるんだなぁ・・・」
「奈々は離れたくないっ!・・・あっ」
奈々はハッとした顔をして俺を見る。
「奈々? 俺だって奈々のそばにいて奈々の考えは少しは理解できるようになって来ているよ? 奈々がさっき論理的推測で導き出したことの一部をこれから先の俺達に照らし合わせればそう言う結論も無くは無いよな? 奈々?」
こういう話に持ち込むのは苦手だから・・・。
回りくどく言葉遊びみたいに引っ張り出した奈々の涙の訳・・・。
再び沈黙する二人の間の時は、なおも一層その流れを早めた。




