奈々だってガブって噛んじゃいます!
さぁこれから本格的に奈々を動かすぞー!って登場人物が・・・・。
この先のどうなるか全くわからない(考えていない)行き当たりばったり小説!お楽しみください!
奈々を浜辺美波さんのイメージで読むと・・・1000万倍楽しめます(笑)ちなみにYahooブログは実在しますので是非覗きに来て下さい(^o^)あちらはイメージ画像付きです!こっちではまだやり方わからないので、、、
しかし、皆様、深夜とか早朝とかに読んで下さっているんですね!ありがとうございます!どんな方が読んで下さっているのかとても興味があります!
是非コメント下さい(^o^)お待ちしております(^o^)
この異常な空間にもちゃんと朝がやって来る。
時間の止まった世界を朝日が優しく照らす。
「奈々〜朝だぞー!起きろ〜。」
けたたましい声が微睡む奈々に浴びせかけられる。
「もう!もっと優しく起こして下さい!せっかく良い夢見てたのに〜」
飛び起きた奈々がむくれて言う。
「なーにが良い夢見てたのに〜だ!こんなおかしな世界で現実逃避みたいに良い夢?に浸ってどうすんだ?それよりホラ!割りかし出来立てのサンドイッチみっけたから早く食べな!」
そう言うと奈々に向かって優しく放る。
「それからリンダさんのとこのコーヒー!タイミングよく淹れたて!」
「好い香り〜!ありがとう。嬉しい!先生のカフェにも寄ったんですね?」
「そ、これが欲しくてね!」
そう言うと一冊のノートを奈々の目の前に掲げる。
「それは、カフェに集まる皆さんが思いつきを好きにメモしていくノート…。どうして?」
奈々が訝しげに言う。
「カフェは各分野のスペシャリストが集まってるんでしょ?興味あるじゃん!どんなこと書いてるのか!それにさ、どうもこの空間にいると記憶が曖昧になったり、こっちで現実に起こっている事がデジャヴみたいな感覚に擦り変わる様な時があるんだよね。だからこのノートに奈々と話したことや思いついた事を残して事実を客観視できるようってね!」
「でもノートが無くなったらカフェの方が困ります!」
「多分これはこれでこの世界に存在して本体は別に存在するから問題ないさ。」
「そうなんですか?」
そう言うと、奈々はコーヒーを口にする。
「奈々だけはこのノート見ても良いよ。」
「?」
「多分このノートが重要な役割を果たす日がきっと来るから。ちゃんと覚えといて。」
「ハ、ハイ…」
心許なく返事をする奈々。
「奈々!ちゃんとサンドイッチも食べなきゃダメだよ?」
「でもなんだか朝起きたらお腹の辺りが痛くて…。」
「お腹が痛い?大丈夫?どこのあたり?」
「この辺り・・・」
そういって自分の腹部を指さす奈々。
「どれどれ?痛いの痛いの飛んでけ〜良い子良い子〜。」
「キャーくすぐったい!止めて下さい!くすぐったい!もう治りましたから〜」
「じゃあサンドイッチ食べるか?」
「食べますちゃんと食べますから〜」
「ならばよし!」
「もう!変態!」
奈々がむくれて言う。
「変態でもなんでもよろし、こんなおかしな空間で腹ペコじゃあ、何かあっても逃げられないだろ?」
「ハイハイわかりました!」
「ハイは一回!」
「やだ、そんな言い方、小学校の時のおじいちゃん先生みたい。」
奈々が可笑しそうに笑う。
「その笑顔!奈々はやっぱり可愛いな!」
「何ですか朝から止めて下さい。」
「ちっちゃい頃からモテただろ?」
「知らないっ!」
「いやいや、謙遜するなって!モテたでしょ?」
むくれる奈々の顔を可笑しそうに覗き込みしつこく聞く。
「モテません!」
プイと顔を背ける奈々。
「そっかこんだけ可愛くて超天才だと男達も声かけらんないか。でも好きな奴くらいいたろ?」
背を向けた奈々を逃がさないぞとばかりに追い詰める。
「・・・・・。」
無言で抵抗する奈々。
「若い身空で好きな人もいなかったの?不毛〜。」
嘲笑も合わせて抵抗する奈々を追撃する。
「好きな人くらい奈々にもいました!」
奈々がムキになって言い返す。
こっちの手にかかったな。
「へぇ〜どんな人?」
いかにも疑っていると言う風に聞き返す。
「教えません!」
「教えませんっ!て、本当はいないから言えないんでしょー?不毛で堅物な奈々っ」
さらに挑発する。
「います!」
さらにムキになる奈々。
「じゃあどんな人?」
「優しくて、優しくて・・・。」
言葉に窮する奈々。
「優しい人なんだ。どこであったの?名前は?」
「名前は知らないんです。」
反転、心細そうに言う奈々のことが流石に可哀想になる。
「片思いだったんだ。」
「ハイ・・・。」
「どんな人?もっと教えて。こんなに可愛い奈々に恋されるなんてちょっと妬けるな。」
「もう、何言ってるんですか!例えば満員電車でお年寄りや小さなお子さんがいるとすぐに立ち上がって席を譲ろうとする人・・・プッ。」
「プッって?笑うとこか?」
不意の笑いを怪訝に感じ奈々に聞く。
「だって元気なおじいちゃんに席を譲って『私は大丈夫!次の駅で降りるから、そして私は鍛えているからね』なんて断られちゃったりして、それでそのおじいちゃんが電車を降りる時に『ありがとう!元気でな!』なんて大きな声でお礼言いながら肩なんかポンって叩いて・・・そうすると顔を真っ赤にするんです。それで満員電車の中がなんだか優しい空気に包まれて・・・。奈々もちょっと助けてもらったことあるんです。」
「奈々も?ふーん、それから?」
「それから・・・電車の中で寝ていることが多いんだけど、そんな時はだいたいマスクをしているんですね。」
「口開けてる姿を見られないためかな?」
「たぶんそうだと思うんですけど、時々携帯電話いじりながら寝落ちしちゃうことがあって・・・」
「あって?」
「寝顔が子供みたいで可愛いんです。」
「はは、寝顔が可愛いってか?」
「そう!可愛いんです。」
「奈々に可愛いなんて言われるなんて幸せな奴だな。」
奈々の笑顔につられ、こちらも笑顔になる。
「それで・・・・。」
「それで?」
口ごもる奈々。
「携帯で一生懸命何をしているのか気になって・・・。」
なんだ?急にそっちに話が行くのか?
「覗いたのか?」
返事をする代わりにコクリとうなずく奈々。
「いやーそれは、まずいだろ奈々?携帯覗いちゃー。」
「だって、とても気になったんですもの!」
奈々が顔を真っ赤にして反論する。
「奈々・・・案外大胆だな。どうやって覗いたの?」
奈々の意外な一面に益々興味津々となる。
「覗くなんて・・・いつもは誰かの肩越しに姿を見るとか、電車の窓に映った姿を見るとかなんですけど・・・」
おずおずと言う奈々。
「って奈々、それってちょいストーカーチック・・・。」
「だって・・・直接見るなんて恥ずかしくてできません・・・」
「だよな、奈々の性格じゃあな。」
「その時は、寝落ちしちゃってたからこっそりそばに行ってハンカチをわざと落として拾うふりをしながら・・・。」
「奈々・・・スパイかお前は?」
「だって・・・もしかしたら恋人とか居て・・・その恋人にメールでもしているのかな・・・だとしたらいっつもあんなに一生懸命メールしてるってことはそんなに大切な女の人なのかな?きれいな人なのかな?とか、やっぱり恋人いるのかな・・・とか・・。」
口ごもる奈々。
「とかとかとか気になったらもう自分を抑えられなくなったんだ?やっぱり案外大胆だな奈々。」
またも返事の代わりにコクリとうなずく奈々。
その仕草のなんと可憐で可愛い事か。
「で?どうだったの?やっぱり彼女へのメールだったの?」
「ううん、違いました。」
「なんだったの?ゲーム?」
「それも違います。」
「なんだったの?もったいぶるとストーカー奈々って呼ぶぞ!」
「奈々はストーカーじゃありませんっ!ブログでした。」
「ブログ?」
「そうブログでした。で、ブログタイトルが見えたので・・・。」
「検索してブログの内容見たとか!」
「ハイ・・・。」
おずおずと奈々がうなずく。
「やーそれってどうなんだよ奈々?」
「えっ?ダメなんですか・・・?」
「ダメなんですか?ってブログとかってさ、匿名性高いじゃん?だいたいは本名じゃなくてハンドルネームでやってたりとかさ!電子の世界で匿名性の中、普段は表現しない自分の本音とか言っちゃって現実世界とは切り離した中で遊ぶ空間じゃん?つまり・・・ネット上では知り合いでも現ですれ違っても面と合わせてもお互いに感知できない環境だから本心言えるわけだろ!それをさ奈々は相手の存在、認知していて相手は奈々の事知らないんじゃ晒し者?笑い者状態じゃん!」
ちょっとイーブンじゃない関係性について一気に捲し立てる。
「そんな!奈々は晒し者にしたり笑い者になんかしません!ただ・・・ただもっと知りたかったんです・・・。」
「ただもっと知りたかった・・・まぁ恋する乙女はみんなそうか。で、奈々みたいに知的探究心が旺盛な女の子だったら尚更か・・・。で?なんてブログタイトルでどんなこと書いてたの?Yahoo?」
「ハイ、『ニャーの神殿』っていうタイトルで野良ネコちゃんとの触れ合いとかを写真入りで投稿していたりあとは、自作の小説、それから・・・これはちょっとアレだったんですけど、可愛い女の子の記事・・・。」
「ああ、女の子の記事取り上げてるのは気に入らなかったのね?笑える、奈々らしい。」
「笑い事じゃありません!」
「奈々って焼もちやきだよね?」
「・・・・・・。」
「で?女の子の記事とかで幻滅しちゃったのか?」
「ううん、全然!女の子の記事はちょっとイライラしましたけど・・・かわいいとか、魅力的だとかいろんな女の子の事取り上げてて・・・。小説は何本も書いているのに全部未完なんです。空想科学小説で奈々も興味深く読めました!でも奈々が一番好きなのは野良ネコちゃんの事を書いた記事です。最後はいなくなっちゃってすごくさみしかったんですけどエピソードが奈々も共感できたっていうか。」
奈々はやや紅潮しながら話し続ける。
「どんなエピソード?」
「2泊3日で旅行に行って帰ってきたら、にゃおんが、あっ、『にゃおん』ってなくから、にゃおんて言う名前の猫なんですけど、にゃおんが首元に飛びついてきて喉元を『ガブっ』って噛んだんですって!その記事を見てもう奈々は、にゃおんに共感しちゃいました!2泊もおいてけぼりにされたら、奈々だってガブって噛んじゃいます!」
ガブっと噛むジェスチャーをしながら奈々が・・・笑顔で言う・・・。なんとかわいい仕草か・・・。
「・・・・・」
「ん?黙ってしまって?どうかしましたか?」
無邪気な顔で奈々が言う。
「奈々?ガブって噛んじゃうんだ・・・・。」
「ガブって噛んじゃいます!」
「奈々は嫉妬深い怖い女だなーヤバイヤバイ!奈々ヤベー」
殊更煽りたてるように奈々を茶化す。奈々にこんなに愛されているブログの男への嫉妬心だったのかもしれない・・・。
「奈々は怖い女なんかじゃありません!」
「みなさ~ん奈々は嫉妬深くって喉元ガブリのスプラッター女ですよ~!気をつけて~」
誰もいないとわかってはいるのに奈々は狼狽え怒り出す。
「奈々はスプラッター女なんかじゃありませんっ!、変なこと言うやめて!」
そう言う奈々の意識が不意に混濁し始める・・・。
「もう!京子ちゃんやめて!・・・・・・」
奈々が叫ぶ。
「・・・・・奈々??急に『京子ちゃんやめて!』なんてどうした?夢でも見たか?」
外はもう薄暗くなっている。
車窓に映る俺の目と奈々の目があった。
奈々がバッとシートから起きだす。
「雅樹さん・・・?奈々眠ってた?」
寝ぼけ眼で奈々が言う。
「可愛い顔で眠ってたよ。」




