真実と事実?
漠然とした不安が確かに置かれていた。
二人きりになった未知の空間と部屋で、俺の気持ちは彷徨っていた。
――なにがはじまるんだろう。
突然ドアが静かに開き、びっくりする。
視線を向けると、ナユさんともう一人、白衣を着た眼鏡の女の人が入ってきた。
「はじめまして。クルミと言います。」
俺はこの人に、いかにも知的という印象を受けた。
気づけば、ナユさんは座り込んでスマホをいじっている。
「まずお聞きしますが、あの寺院にいた理由は?」
ここにいると、なにを聞かれても責められているような気持ちになる。
「ニュース記事を見て...。」
「あんなオカルトの?」
「仲間に、出会えるかと思って。」
「......。」
クルミさんがまじまじとこちらを見つめる。
「...なるほど。未回収の能力者ってところか。そっちの大人さんは?君も能力者みたいだけど。」
「こいつの、付き添いです。」
「ふーん。」
しばらくの沈黙。
そして、クルミさんがはっきりとこう言った。
「まあ、ここに来たからにはもう向こうには帰れないと思ったほうがいいよ。」
「...え?」
「ちなみに君の出身は第7宇宙区Aブロック地球系銀河団の惑星No.26ってことでいいんだよね?過去に飛ばされたデータも特にないし...記憶の残骸も特になしか。」
――第七宇宙区?
助けを求めて視線を彷徨わせるが、宮原さんも事実を飲み込むのに精一杯のように見える。
「おそらく地球に生きた原因は能力自体が役に立つものじゃなかった...ってとこか。二人とも医療関係だから、ココに来るよりは地上の病院で働いたほうがよっぽど有意義だっただろうに。」
あのー、説明が足りないんですが...。
「うーん、よし!とりあえず部屋は手配するから、この本をしっかり読み込んでおいてねー。もちろん全文!なあなあに読んで規約違反しても知らないから、手は抜かないほうがいいよ。ナユ、部屋の案内と基礎情報のインプットよろしく、私は研究班から呼ばれてるんで、ここらへんで!」
「...え、え?」
机の上に勢いよく置かれた二冊の本。見た感じ、かなり分厚い。タイトルは――『HSO隊員の掟』。もうなにがなんだか分からないんだけど...。
「クルのやつ...こちとらコメント捌きで忙しいってのに。」
ナユさんの指が空中を叩き、ホログラムとともになにかが展開される。
――ガチャ!
突然ドアが開いたかと思うと、あの時の女性らしき人物が立っていた。
「ナユおつかれー」
「遅いってば。」
どうやらこの二人はコンビらしい。それにしても年の差がありそうだけど...。
「それじゃ、説明始めちゃうね!」
***
「ここは白界特異機構――通称HSOの活動本部。めちゃくちゃ広いから、はじめはマップが必須。」
「白界?」
「あ、この世界の真相に触れるけど大丈夫?」
そう言いながら表示したのは、大きな図。
「まず、この世界には三つの大界が存在する。『青界』『黒界』そして『白界』だね。そのうち、私たちHSOが管理する白界には全部で九つの宇宙がある。ひとつひとつの宇宙に数十の銀河が属していて、その銀河系に百近くの惑星が存在する――そのひとつが地球。地球系銀河は貴重で、一銀河につき多くて三つ、少なくてゼロ。とにかく、奇跡の惑星ってのは本当だったんだよ。」
「...質問です。地球がいくつも存在するってことですか?」
「まあ、九つの宇宙群は平行世界とでも思ってくれて大丈夫。」
「は、はあ...。」
「そもそもひとりあたりが担当する銀河範囲はひとつって決まってるし、この仕組み自体はベテランでもよく分かっていない人が多いから、分からなくても大丈夫。」
「そ、そうなんですね。」
「ここまで聞いていたら分かると思うけれど、この三つの大界が一番大きな組織単位かは分からない。だって、まさか無限に広がっていると思っていた宇宙が大きな世界の小グループだとは誰も思わないしね。ここにあるのは真実じゃなくてあくまで事実。」
「ん...?」
「つまり、私たちが誰かに管理されているような立場であったとしてもありえないことじゃないってわけ。少し難しかったかな。とりあえず、HSOについて詳しく話すね。それか、一旦休憩が欲しい?」
「休憩、したいです...。」
「考えれば考えるほどわからなくなるから...程々にね。」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!頭の中で構築されている僕のイメージ...ちゃんと伝わりましたか?なんか壮大すぎてどうしようって今更思いました。別にフォーカスを当てなければいい話なのですが、ここまで来たらしっかり書きたくなっちゃう笑
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次回も知識戦です。頑張って作者と同じ境地に立てますように。




